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明日は続くよ、どこまでも[2024/5/8(水)〜5/14(火)]


2024/5/8(水) どろんこハッスル

朝から洗濯機を回す。義実家への出発前にかごに入れた洗濯物などが溜まっていた。連休前に洋服を石鹸で手洗いしてバケツに浸けておいたのをそのままにしていたら、バケツの中が動物園のような臭いになっていた。なぜ洗っていかなかったのだろう。困った。とにかくもう一度石鹸でごしごしして、洗濯機に入れる。

早めに起きてきた娘と朝ご飯。食後に膝の上に座って降りようとしない。「お弁当つくるから降りて!」となんとか下ろし、お弁当をつくり、娘をようちえんへ送る。

仕事。仕事に次ぐ仕事。朝お弁当用に作ったおかずをご飯に乗せて食べる。溜まっていた日記を書く。

友達に放課後の預かりをお願いしていて、大変捗った。

迎えに行った娘は、白いブラウスに花柄のワンピース、という朝と変わらない出で立ちでいた。「抱っこ!」と言われて、抱っこする。「あっちにプールができてるんだよ」と友達に教えてもらい、抱っこしながらそちらに移動した。

たしかに土壁の中に大きな泥の水たまりができている。子どもたちの膝下まで水があり、思いの外深そうだ。水は、蛇口のホースを使って、子どもたちが入れたらしい。ホースはここまでつながっていないから、少し離れたところから飛ばして入れたのだとか。

「みんなびしょびしょになったけど、〇〇ちゃんは濡れないように逃げ回って、“きれい”を保ってたよ」と友達に教えてもらう。さっきオムツですれ違った子や、朝と違う服を着ている子もいたが、娘はそういうわけで朝と同じ出で立ちだったのだ。

どろんこプールで遊んでいる子どもたちを眺める。大人は、水が漏れ出さないように、壁を固めている。娘も砂を運び、壁を固めるのを手伝い始めた。

やがて「入ってもいい?」とこちらにやってきた。どうぞどうぞ、と服を脱がせる。「髪汚れたくないからお団子にして」と言われて、三つ編みをくるくると巻いてお団子にまとめる。パンツと下着になった娘はそろりそろりとどろんこプールに入っていき、「冷たい」「すべる!スケートみたい」と笑っていた。

娘は慎重で、火が点くのが遅い。が、点いたら誰よりもハッスルする。

今日も案の定、プールに肩までつかったかと思えば、「さむいさむい」とあがって、今度は砂場で砂を体に塗り込み、また「温泉だ〜」とプールに入りを楽しそうに何度も何度も繰り返していた。

日暮れ前、急に風が出てきた。子どもたちも本格的に震えている。

「あがろっか?」と声を掛けると、茶色の斑点だらけになった顔の娘が「あがる」とやってきた。「わぁーさむいー」とこちらに手を伸ばしてくるので、「ちょちょちょっと待って!」と私も逃げる。子どもたちはみんなあがってきた。どろんこの服を脱がせて、とりあえずリュックに入っていた着替えを着せた。

今夜は集まりに顔を出そうかなと思っていた。そろそろ始まっている頃だ。どろんこの子がいるから、一度帰るほかない。どうしようかなと思っていたら、娘が「帰って、お風呂入って、着替えて行く!」と言う。間に合うかどうかなと思いながら車に乗る。

Sportifyから流れてきた音楽にノリノリになりながら信号待ちをする。娘は静かだ。振り返ると、体を二つ折りにして寝ていた。

家に到着すると目を覚ました。「やっぱりもう行かない」と言う。すぐにお風呂を沸かす。これから入ったら間に合わないかもなと思う。娘と私と順番に体を洗い、ゆっくりお湯に浸かった。

集まりに顔を出すのは諦めて、家で夕飯を食べる。夕飯を食べ終わると疲れがどっとやってきた。「疲れちゃった」と言うと、「どこか痛い?」と娘が聞いてくれる。「肩かな」と言うと背中に回って、肩をトントンとしてくれた。「どのへん?」「ここかな」と首元を触る。首の近くにトントンする手を移すと「ほぐれた?」と聞いてくれた。子はとてもやさしい。

あと少しでキリがつくはずの仕事を終わらせたかったけれど、眠くて眠くて眠すぎた。部屋に戻って靴下を履き、忘れ物に気づいて下の階に行く。上へ下へとバタバタしていると、先に布団に入っている娘が「ママー」と呼ぶ声が聞こえる。ようやく布団に入ってきた私を律儀に待っていた娘と、手をつないで寝た。


2024/5/9(木) 宇宙に飛んでいっちゃう

目が覚めて、今日はもう起きれない、と思う。なんだか疲れがとれない。そのうえ雨で、日差しがない。もう永遠に寝ていたい。そう思うけれど、足首を回し、少しずつ体を起こす。

朝ご飯を食べながら娘が「〇〇ちゃんはお母さんとお父さんのこと、宇宙に飛んでいっちゃうぐらい大好き」と言う。「お母さんは?」とにこにこしながら聞かれて「お母さんは〇〇ちゃんのこと、宇宙に飛んでいって一周回って帰ってくるぐらい大好き」と答える。「お父さんだったらなんて言うかな?宇宙のもっと向こうに行くぐらい大好きって言うかな」と娘が言った。

絵本『どんなにきみがすきだかあててごらん』みたいだなと思う。娘にあの本をまだあまり読んでやったことがなかったはずだから、今度読もう、と思う。

寒い朝だった。衣替えをする頃かと思っていたけれど、まだまだ油断できない。上着を手にとって出かける。

親子で参加するわらべうたの日で、一緒に楽しんだ。ひとつの歌を、速い・普通・遅いの3
パートに分かれて同時に歌うときれいなハーモニーになる、というのが面白かった。

家に帰ってひとつ仕事をこなして、オンラインミーティング。ミーティング終わりでお昼ご飯を食べて、すぐにお迎え。

子どもたちを預かる日で、車の後ろに乗せて公園に行った。娘は一緒に乗った友達ひとりひとりのシートベルトを締めてやって、最後に自分が座った。

みんなが砂場で遊んでいる間も私の膝の上に座ってみんなの様子を眺めているだけの娘に「遊んでおいでよ〜」というがなかなか動かなくて困った。

雨が降ってきたから、屋根のあるところへ移動して、おやつを食べる。娘は友達がもってきてくれたスルメイカが気に入ったようで「これはアメなの」とずっとしゃぶっていた。今度うちにも買っておこう。

やがて娘は「あっち行ってくるね」と私と別の方へ遊びに行った。離れてくれてホッとする。くっついているときはどうしよう、どこかに行ってくれ、と思うが、ときが来たら離れるものだ。成長もそうなのかもしれない。

預かっている子たちの、おのおののお母さんたちが迎えに来て、公園も閉まる時間がやってきて解散になった。

帰りにEコーヒーに寄って、Mちゃんのおにぎりとお惣菜を買っていこうと思う。「ゆっくりしないからね」そう娘と自分に言い聞かせ、すぐ帰るつもりでいた。だけど到着すると友達が集まっていて「おーい」と手を振るのに応えていたら、スルスルと奥へ引き込まれ、椅子に腰掛けていた。退屈している娘にスマホをねだられ、話がしたいものだからあっさり明け渡す。そういうときもある。また新しい友だちがやってきて、話し込み、すっかり長居してしまった。

夕飯を食べて帰ろうと、みんなと中華料理屋へ。ぱぱっと出てきて、温かくておいしくてありがたい。

家に帰って寝る準備をする。「これ読んで」と娘が持ってきた、こどものともの最新刊『うちゅうえんそく』を布団に腰掛けて読んだ。ペットボトルで作ったロケットに乗って宇宙に行く話。物語の中では、ありえない、が起こるのが良い。

向かい合って手をつないで娘と寝る。私が布団の中で体制を整えようとモゾモゾすると、娘の手にぎゅっと力が入る。何度かぎゅっを繰り返した後に、ほろほろと指がほどけていった。


2024/5/10(金) 野イチゴのお土産

朝、関西から東京方面に向かっているというメッセージが夫から届く。「お父さん今日早く帰ってくるかも」と娘に言うと、「ほんと!」と目を輝かせ「おとうさん あいたいな〜おとうさんにあったらぎゅってしたい〜」と歌い始めた。

娘をようちえんの集合場所まで送り、すぐ車を走らせ美容院へ。半年近く髪を切ってなかったから、気がついたらものすごく長く重たくなっていた。

ハサミを入れてもらうと、頭がふわっと軽くなる。

疲れが取れない感じがあったから、ヘッドスパもしてもらった。とても気持ちよく、すっきりした。

帰宅し、娘のお弁当に詰めたサンドイッチをパッと食べて仕事。ほとんど手を付ける時間もないまま、すぐにお迎え。

お迎えにいくと「お母さんお口開けて」と、娘が口の中に野イチゴを放り込んでくれた。今日はようちえんでお散歩に行ったらしい。ずっと手に握りしめてくれていたのだろう野イチゴは、やわらかく、色も少し黒ずんでいた。

娘と家に帰る。おばあちゃんに送ってもらったベストに着替えたいという娘。朝準備していたコーディネート、白いブラウスの上に、白いベスト、ピンクのチュールのスカート、白いスパッツ、白い靴下、と上から下まで全部着替えた。

お菓子屋さんのIでお祭りをやっている日で、顔を出す。お菓子をたんまり買って、娘といろいろ半分に分けながら食べた。

娘のバレエへ。先頭でスキップをして戻ってきた娘が窓越しに私を見つけたから、「いい感じ!」という意味を込めてうなづきながら親指を立てると、娘もてれ笑いして頷いた。

家に帰る。娘が100円ショップで買ってきたビーズで遊んでいる。その間に夕飯を作る。
夕飯を食べているうちに「眠たい」と目がとろとろしてきた。ようちえんでお散歩して、バレエも行って疲れたのだろう。

おばあちゃんに電話して、ベストや送ってもらった野菜のお礼を伝えた。

早く帰ってくるかと思った夫は、寝る前に帰ってこなかった。どうやら夜まで予定があって帰宅は夜遅くなるらしい。「朝起きたらお父さんいるかな」と言う娘と一緒に寝た。


2024/5/11(土) 明日は続くよ、どこまでも

目が覚めると娘の隣に夫が寝ていた。夜中に帰ってきたのだろう。ぐっすり寝ている二人を起こさないように布団から出る。

部屋でパソコンに向かっていると、夫と娘が起きてきた。「お土産タイムするから下行こう」と誘われて階下へ。「とおりもん」や広島のお客さんからもらったというお菓子、それから高松の本屋さんで買った本、エルマー展での購入品のあれこれなど、旅の思い出と触れ合い、整理する。

朝ご飯を食べる。「久しぶりに3人でご飯食べるね」と娘は嬉しそうだ。

午前中仕事する。3月から取り掛かっている仕事に、いよいよ区切りが付きそうで頑張る。

夫と娘はお店屋さんごっこをして、宅急便の営業所に荷物を取りに行ったようだった。

お昼ご飯を食べる時間になって、仕事の手を止める。パンをトーストして、具材をいくつか用意して、おのおのサンドイッチを作るスタイルにした。

後片付けを夫にお願いして、娘と2人、電車に乗って出かける。今日は仕事の関係で招待してもらったイベントに行く。

終わらせたい仕事が終わってなくて、グリーン車の中でパソコンを開く。娘はおやつのクッキーを食べ終わると退屈しだした。「紙とペンいる?」と聞くと頷いたから、私の手帳の後ろのページをちぎって、ペンと一緒に渡す。「見て」と言われて隣に顔を向けると、赤いペンで植木鉢と花のような線を描いていた。その周りに、私たちの家、庭、などどんどん書き足されていく。

「そうだ、お父さんにお手紙書こう!」。今度は紙に文字を書き始めた。「“ぼ”ってどう書く?」と聞かれて「は、に一本横の線足して、てんてん付ける」と答える。だいぶ字を聞かれることが減ってきた。「なんて書いてある?」渡されるとそこには「〇〇ちゃんがかえったら いっしょにあそぼうね」と書かれていた。

仕事がもう少しで終わりそう!というところで駅に到着。乗り換えをする。今度の電車は混み合っていた。到着するまでに仕事を終わらせたくて、立ちながらパソコンを開く。到着した駅が地下で、ドアの向こうに私と娘の姿が映った。「〇〇ちゃんとお母さんいるね!」と娘が私を見て言う。子連れで電車に乗り、立ちながらパソコン開いている私、どうかしている。急いで一通メールを送り、パソコンを閉じた。

錦糸町駅に到着。駅前の会場で開催されているのは、「ゆるスポーツ」という誰でも楽しめるスポーツの大会だ。開会式に続いて、会場のあちこちのブースを回りながら、好きなスポーツを体験した。娘は私と一緒にはできるけれど、私と離れてはやりたくないと言う。つまり二人で対戦ができない。困っていたら、後ろに並んでいたお姉さんや、スタッフのお姉さんが対戦相手として入ってくれた。ありがたい。

「フェイスマッチ」という、顔のアイコンに合わせて、自分の顔を動かすゲームが楽しそう!と思って並んだのに娘は「やりたくない」とやらなかった。後で聞くと、知らない人の前で色んな顔をするのが恥ずかしかったらしい。

だんだん場に慣れ、「XRキャッチボール」や「くつしたまいれ」など娘と楽しんだ。彼女は「ゆるミュージック」という楽器を演奏できるコーナーや、ダンス(という名の準備体操)が特に楽しかったらしい。

満喫して、帰路へ。娘に「お腹空いた」と言われて、錦糸町にはおいしいどら焼きがあったはずだ!と思い出す。以前ライター仲間がXでツイートしているのを見かけた。「どら焼き 錦糸町」で検索するとすぐに見つかって、買って帰る。

帰りの電車は空いていた。グリーン車に乗ってどら焼きを食べる。大判のしっとりした皮のどら焼きに粒あんのあんこが詰まっていて、絶品である。はあ幸せ。娘はすぐに寝始めた。私は仕事の続きをする。

家に着いて、すぐにお出かけ。月に一度の団地仲間との食事会へ。訪れると、たくさんのおかずが並んでいて、おお!と声が出る。今日は豪華な食卓だ。

友達と話している間、娘は外に出ていって、子どもたちだけで遊んでいた。よしよし。「お父さんも来て!」と途中で夫が駆り出される。

「汗かいちゃった」と帰ってきた娘と、カウンターに行き、凍っていたブラッドオレンジジュースを砕きながら飲む。Jさんが娘に「友達といると楽しくて帰りたくなくなっちゃうんだけど、どうしたらいんだろう」と“加減”について相談する。「それは、明日があるって思えばいい」と娘が言う。「でも大人になると明日が本当にあるかわからないんだよね」とJさんが言うと「明日は誰にでも続いてるから」と娘が答えた。Jさんがタオルで涙を拭いている。

しばらくして席についたJさんと、その話を聞いたTさんも号泣している。みんな感受性が豊か過ぎる。あと、お酒がそれを加速させている。それを見ていたAさんが「今日が続く、じゃなくて新しい明日が続いている、っていうところが良かったみたい」と解説してくれる。なるほど。

みんなに別れを告げて家に帰り、パッパと寝る準備をして、私たちに必ずやってくる新しい明日を迎えるために寝た。


2024/5/12(日) マニキュアとカルボナーラ

娘も夫もよく寝ている朝。
ラジオを聴きながら、爪を切り、久しぶりにマニキュアをしてみようと思いつく。

ものすごく久しぶりなものだったから、瓶の蓋がなかなか開かない。ギュギュっとひねって開けてみたところ、中身はカピカピに固まっていた。

違う色のマニキュアを取り出す。明るいピンク色のマニキュア。これはイギリスに留学していたときに買ったものだ。仲良くしていた友達がいつも爪をきれいに塗っていて、真似して私も住んでいる町のショッピングセンターで買ったのだ。それにしたってもう10年前か。

10年前にイギリスで買った、いちごシェイクみたいな色のマニキュアを爪に塗る。ああこんなツンとするにおいだったなと思う。

起きてきた娘が、「お母さん爪かわいくなってる!」とすぐに気がつく。「〇〇ちゃんもするね!」と言うと、宝箱に入っている子ども用ネイルで爪をピンクに塗り始めた。

遅めの朝ご飯を食べる。食べ終わって、テーブルに頬杖ついてぼーっとしていたら、娘に左腕をつんつんされて「うふふ、かわいくぼーっとしてる!」と言われた。夫も私のマネをして頬杖ついたら、「うん?ぼーっとしてるね」と娘が言って「かわいいって言われなかった」と夫は残念そうにしていた。

着替えようとクローゼットを開ける。濃いピンク色のズボン。この前GW中水に浸けておいたらすっかり動物園の臭いになってしまって、臭いが落ちない。このピンクのズボンには共布のサスペンダーも付属していて、イギリスに留学してた頃、クラスで一番仲良しだったジュリアというイタリア人の友達が「それすごくかわいい!」といつも言ってくれていた。思い出の服だが、10年履いたらもう十分だ、サスペンダーもないし。潔く「ありがとう」とゴミ袋へ入れる。

娘と夫が遊び始める。2人で以前作った折り紙のくす玉に、さらに60枚を折り足して、大きなくす玉にするらしい。「一人20枚ずつ折ればちょうどだ。ね!」と夫に言われるが「私は折らないよ〜」と言って、リビングでパソコンとノートとにらめっこする。娘と夫の楽しみだから、私は入らなくて大丈夫なはず。「〇〇ちゃんがたくさん折るからお母さんはいいよね」と娘がフォローしてくれる。

朝ご飯が遅かったから、すぐにお昼の時間がやってきた。卵とベーコンと玉ねぎが冷蔵庫にあったから、カルボナーラにする。イギリスでイタリア人の友達、フェドラにカルボナーラの作り方を教えてもらったのを思い出す。そのレシピをメモしたものはどこかに行ってしまって、イタリア流とは言えないものだけれど、たしか使っていた材料は同じだ。今日はよくイギリス時代を思い出す。

パスタを食べて、私は講演を聞きに、近所のホールに自転車で向かった。生物多様性についてのお話で、質問すればするほどスルスルと言葉が溢れてくる講演者のお話に、もっと聞いていたくなった。

産直とスーパーをはしごして、家に帰る。夫と娘は60枚の折り紙を折り終えていた。夫が足の上で折り紙のくす玉を抱えながら組み立てている。

夕飯は生春巻きにしようと、買ってきた具材を切ったり、茹でたりした。

母の日で、母にメッセージを送り、義理のお姉さんの家にいるばあばには電話をする。くす玉を見せるとばあばが大きくてびっくりしてくれた。甥っ子が科学館で作ったという万華鏡を画面越しに見せてくれると、今度は画面の向こうに宇宙が広がった。


2024/5/13(月) 雨の日の成長痛

夜中に娘が足が痛いと泣いて、2回起きた。成長痛だろうか。右足の脛のあたりをさすってやりながら寝る。

朝、雨と風が窓に打ち付けてくる音がする。激しく降っているらしい。

起きてきた娘に大丈夫?と聞くと、もう痛くないと言う。足が伸びたのかもね、と話す。「ようちえんのみんながびっくりするかもね!」。気づいてもらえるぐらい伸びていたらすごい。

お弁当を準備して、ようちえんの集合場所に向かう。今日はお当番の日だ。雨のお当番は初めてかもしれない。一日部屋の中で過ごす。

机と椅子を寄せて、工作コーナー、お弁当コーナー、絵本コーナーをひとつの部屋の中につくった。年少さんはまだママと別れたらさみしくなって泣いてしまう子もいて、抱っこする。言葉があまり出ない子もいる。年少さんてこんなに小さかったっけなあと思う。自分の子どもが過ぎ去った時期のことはすっかり忘れてしまう。絵本をいっぱいいっぱい読んだ。

娘は私から離れなかった。春からメンバーが変わったようちえんで、彼女もまだ全体の様子見をしているような感じがする。

ようちえんが終わった後、引き続き同じ部屋で、給食の会のメンバーと集まる。週末にある町のイベント・エコフェスティバルの準備だ。付箋を貼ってもらう参加型の展示を毎年しているのだけれど、真ん中に置く問いを何にするのか、いつも悩む。いろんなアイデアが出たが、最終的にこれで行こう!というテーマが決まった。

娘は今日のようちえん用に準備されていた米袋に入って、ぴょんぴょんと友達と飛び跳ねたり、走り回ったりしていた。

作業する段になって、子どもたちはメンバーのIちゃんの家に移動。娘はあんなに楽しそうに遊んでいたはずなのに、「お母さんと一緒にいる」というから、残ることになった。「お腹空いた」と連呼する。たしかこの子はお弁当を11時に食べていた。水しか持ってない、と水を与える。紙とペンを渡すと「絵本つくるんだ」と何枚かの紙に絵や文字を書いていた。

作業が無事終わり、帰宅。娘は紙をセロテープでつなぎ、絵本を完成させている。お腹が空いたから、2人で夫の九州土産「とおりもん」を食べた。カレーを作る。家で仕事していた夫が降りてきて、娘が喜ぶ。

カレーを食べて、夫と娘がお風呂に入った。その間に私は、一日外に出ていてチェックできなかったメールなどに目を通す。

二人があがった後に、私もお風呂に入り、ちょうど寝る準備を済ませたらしい娘と一緒に布団へ入る。1日中雨が降っていた。


2024/5/14(火) 幸せの赤いイチゴ


5時半過ぎに、トイレに行きたいと娘が起きてきた。トイレを終えた娘に「ママ一緒に寝よ」と誘われるが、お母さんはやることあるんだ、と断り、寝室に連れて行き、ドアを閉める。

6時半頃目覚ましで夫が起きてきた。娘も起きてきた。「お父さんと朝ご飯食べたい!」と、夫と一緒に階段を降り、2人でご飯を食べに行く。昨日のカレーを食べているようだ。

いつもより早く家を出る夫を見送る。「いかないで!」と娘。夫がドアの外に出ていくと、娘がドアの外に向かって「いかないで!お父さん!いかないで!」と叫ぶ。夫が笑いながら手を振り、去っていく。ドアを閉めると、「行っちゃったあ」と顔をゆがめて涙をこぼした。最近夫と離れるときによく泣く。

私も朝ご飯にカレーを食べた。さっき食べたはずの娘も「もう一回食べる!」とカレーをおかわりした。お弁当を作って、ようちえんの集合場所へ送る。

家に帰って仕事。今日は夕方まで友達に預かってもらえる日で、夕方までよく頑張る。

時間がやってきて、自転車で娘のお迎えへ。朝は三つ編みに結んでいた髪の毛をほどいていた。「どうしてほどいたの?」と聞くと「だってこのほうがふわふわでかわいいかなって。ひらーん」と髪を揺らした。彼女は“女の子”を楽しんでいるなと思う。

友達にありがとう、と別れを告げて、帰り際に我が家の小さな畑に寄り道。枝豆が芽を出していた。先日苗を植えたトマトもよく育っている。娘と草刈りをした。

いちごが赤く色づいているのを発見。良い色になっていたのを、娘にあげた。「甘い!」と喜ぶ。真っ赤になっているのはひとつだけで、残りはまだほんのりピンクや白だ。お隣の畝は赤くなったいちごがたくさん実っている。「いいなーいちごいっぱいあって」と娘が言う。なんとなく、実も大粒なように見える。お隣さんの畝はよく手入れされているからその差かもしれない。我が家のいちごの周りの草も少し刈っておいた。

自転車に乗って帰る。背中から聞こえていた鼻唄が聞こえなくなったと思ったら、背中にコツンコツンと何かがあたった。たぶん寝ている。

家に到着すると、娘は顔を天に向けて目を瞑り、脱力していた。「着きましたよ」と起こす。

起きて自転車からよいしょと降りた娘は、「ストライダーしたい!」と言う。早くご飯を食べて寝てほしい。あいにくご飯を炊くのを忘れていたから、「ご飯が炊けるまでね」と約束して、家の前でストライダーをした。

車が入ってくる道だから、大人が見ている必要がある。頭の中は書きかけの原稿のことでいっぱいだ。こんな暇があるなら、一文字でも多く書きたい。子どもが遊んでるのを見てるのってなんて退屈なんだろう。ふらふらと近くに生えている雑草を眺めたりする。

スカートに風をはらませて坂を降りてくる娘。口を開けて表情を変え、私の前でひゅるんと向きを変えると「おもしろいでしょー?」と聞く。「おもしろくない、つまらない、かえりたい」正直な気持ちを言う。「ママったら、なんてこと言うの」娘が両手を頬に当てる。たしかにもう少し言い方というものがあるかもしれない。「すごいでしょって、楽しませようと思ってやってたのに」。

私はただ娘が楽しんでいると思っていたが、娘はエンターテインメントしてるつもりだったのか。おかしくて、気が抜けて思わず笑う。「じゃあ今度は楽しんで見るね」。そういうつもりで見たら、両方の足を足置きにおいて坂をくだり、重心を変えながら見事に向きを変える娘の運転は気持ちが良かった。

そろそろご飯が炊けるだろう。「あと何回にする?」と聞くと「2回!」と言う。ぴったり2回して、「これであと0回」と娘と家に戻る。

戻る道すがら、我が家のプランターのイチゴに実がなっているのを発見した。赤くて大きいのが2つ。ひとつはアリが先に見つけたようで穴ができていた。

畑にもうないと思ったイチゴが、我が家にあった。青い鳥のような発見に心躍った。



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