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休日の朝のホットケーキに自由を取り戻す[2024/3/20(水)〜3/26(火)]

2023/3/20(水) 手触りのある日々が過ごしたくてここに戻ってきた

娘は6時に起床、と早起きだった。朝ご飯を食べ、今日着る服を選びにクローゼットの前に立つ。

「みんなに光をあげたいから黄色い服にする!」

そう言うと、黄色のワンピースを手に取った。

今日は年長さんたちの卒園式だ。

お昼ご飯は一品持ち寄り。おいしいキャベツとひき肉が家にあった。ロールキャベツにしようかと思うが、包むのが手間で作ったことがない。

調べてみたら、キャベツの芯をくり抜いて肉を詰める、包まないロールキャベツのレシピを見つけた。

キャベツの芯をくり抜くのに苦戦し、煮込む時間も1時間とレシピにあって、どうなるかと思ったが、ギリギリ出発までに作り終えることができた。

森のようちえんの卒園式はもちろん屋外で。
わらべうたや絵本を読む時間から、卒園証書の授与になる。

お母さんたちがそれぞれ自分の子どもに手作りした証書を子どもに渡す。一針一針思いをこめただろう刺繍でつくられた卒園証書が出てくるたびに涙してしまった。

恒例のわらべうた「うっつけうっつけ」で輪になり、ひとりひとりハグをして感謝を伝えあう。みんなの涙にもらい泣きし、込み上げてくるものがあった。

持ち寄りのお昼ご飯が並んだテーブルは鮮やかだ。春巻き、グラタン、サラダ、ちらし寿司、お赤飯、キッシュ、ひじきの煮物、あえもの、黒ごまプリン、チョコレートケーキ...ぐりとぐらの絵本に出てきそうな食卓を囲み、思い思いにお皿に乗せて食べた。

午後はバームクーヘンづくり。バターや砂糖と粉が混ざったタネを、竹の棒に垂らして、焚き火の上でくるくると回していく。

一本ができるのに途方もなく時間がかかるが、できあがったバームクーヘンを切ると、本当に切り株のようで感動する。

バームクーヘンを食べようとした2歳のKくんの手がどろどろに真っ黒で、声をかけて一緒に水道があるところまで行き、手を洗う。手の平の黒いものは水流に当ててごしごしすると取れていった。ぷくぷくの小さな手がかわいい。

娘は焚き火の側でバームクーヘンが焼けるのをじーっと観察していた。「やってみたい!お母さんと」と言うから、最後にはくるくると回す役をさせてもらった。娘の隣に座ると、Kくんも私の隣にちょこんと座り、一緒に見ていた。

疲れたらしい娘と交代して私が回し始めたところで、空から冷たいものが降ってきた。雨かと思ったら誰かが「ひょうだ!」と声をあげる。目の前で氷の粒が丸太に当たるのが見えた。

向こうの空が光、しばらくしてゴロゴロと音がする。みんな物置の中に避難する。バームクーヘンを焼きながら眺める物置の入口は、ぎゅうぎゅうに人が並び、まるで満員電車のようだった。

「春になるんだね」Sちゃんが言う。春分の日。新しいはじまりを知らせるかのような春雷だ。

やがて雨と雷は収まり、子どもたちは外へと飛び出す。

大人はたくさんしゃべり、子どもたちはたくさん走り回り、帰る頃、向こうの空にはピンク色の雲が広がっていた。

つるんと手から滑り落ちてしまいそうな幼少期を繋ぎ止めたくて、今年度の2学期に、2歳児の頃通っていた森のようちえんに戻ってきた。

よく話した。よく笑った。たまに泣いた。
ふわふわ、ほかほか、チクチク、ざらざら、ごつごつ。そんな手触りのある日々を過ごしてきたと一日の終りに思った。


2023/3/21(木) 休日の朝のホットケーキに自由を取り戻す

春休みの初日。朝日記を書いていると娘が起きてきて膝に座った。「〇〇ちゃんのお顔を見て!」というから、画面が良く見えなくて困る。

「“〇〇ちゃんはさみしがりやだけど かわいいなあ ぎゅってしてくれる ちゅーちゅーちゅーちゅーねずみちゃん”って書いて」とリクエストされた。ここに書いておく。

一段落して、朝ご飯を食べようとキッチンに立つ。ごはんがなかったからホットケーキをつくろうと思う。ご飯がないと、隙あらばホットケーキを作ろうとする私。休日の朝のホットケーキというものが好きなのだ。

ホットケーキミックスがあるかと思ったら見当たらない。家にある粉でできる方法を調べる。玄米粉とベーキングパウダー、砂糖と卵を混ぜてできそうだ。

いつもフライパンいっぱいにドンっと焼くのだが、見つけたレシピを真似して大さじひとつ分ずつの小さいパンケーキをつくる。かわいくて食べやすくて、娘が喜ぶ。「もっと食べたい!」と言われて、もう一度材料を混ぜ合わせてつくることになった。今度は生地にバナナを足してみる。

家にある粉を混ぜてつくるホットケーキは簡単で、なんだ、ホットケーキミックスいらないじゃないか、と思う。むしろミックスじゃない方が、砂糖の量も調整できて自由度が高い。「これがないとできない」と思っているけれど、それを手放したほうが簡単で自由、そんなことがいくつもあるだろうなと思う。

午前中の用事をこなしたら12時過ぎていた。急いで焼きそばをつくり、お弁当箱に詰めて車に乗る。昨日の卒園式を終えて、今日は午後からようちえんの仲間たちと、卒園生ママたちを囲んで、一年間の振り返りをする。

娘は自分のピクニックシートを、大人用の大きなシートの隣に敷いて、焼きそばを食べ始めた。食べ終わると、私の膝にやってくる。せっかくようちえんの友達と遊べる日なのだから遊びに行けばいいのに...と思うが、全然動かない。

組んだあぐらの上に座られているとだんだん足がしびれてきて「おりて!」と床におろした。めげずに私にくっつこうとしてくる。

私の顔の下あたりで鼻唄を歌っていて、みんなの話がよく聞こえない。「近くにいたいなら歌わないで、歌いたいなら後ろに行って」と言うと歌うのをやめた。でもしばらくしてまた歌い始めた。

シートにごろんとしている。眠たいのかもしれない。

娘を振り払うのをあきらめ、「抱っこしてあげる、眠っていいよ」と受け止めることにした。今朝も私が娘の顔をみないでパソコンに向かっていたから、何か足りていないのかもしれない。

抱っこしていたはずの娘は体勢を変え、私の膝に頭を乗せる。「まぶしい」というからストールをかけると、寝ていた。

日が暮れそうになるまでたっぷり話した。みんなとゆっくり一年を振り返ることができて、良い時間だった。

家に帰ると娘は「お誕生日プレゼント作るね!」と張り切り始めた。「リボンはどれにする?」と聞かれて、持ってきたいくつかのリボンの中からピンク色の太めのリボンを選ぶ。「ちゃ、ってどう書くの?」「じょ、は?」と聞いてくるから教えてやる。

しばらくすると「これ、お母さんのお誕生日プレゼント!」と小さな包みを渡してくれた。さっき選んだピンク色のリボンが巻かれている。「お誕生日に開けるの?」ちなみに私の誕生日は4月半ばである。「今見てもいいよ」。

リボンを解き、ピンク色の紙を開くと、内側に「なおこちゃん をたんじょをび をめでとう」と書かれている。「をってこれで合ってる?」と聞かれたときに、接続の“を”だと思って頷いたら、「を」がたくさんになっていた。

中には、貝殻が3つ入っている。「かわいい!ありがとう」。「大切にしてね」と娘は微笑んだ。

帰りが遅くなった日の夕飯づくりは億劫だ。「オムライスにしようかな」と言うと、娘が喜び、「オムライス オムライス」と歌いながらお風呂からあがってきた。ポテトサラダもつくりかけたが間に合わなかった。

私は疲れているときこそ、手の込んだものをつくろうとする悪い癖がある。ご飯を食べ終わってからポテトサラダを仕上げる。

毎日いろんなことが終わっていく。日々は進んでいるし、確実に仕事も終わらせていっているのだが、それでもまだ目の前にたくさんのやらないとならないことがあって、川の流れに逆らいながら、必死でオールを漕いでいるような毎日だ。


2023/3/22(金) 身体に愛が染み込んでいかない

8時まで仕事しよう、と思っていたら7時には娘が起きてきた。「いっしょに」と言われて、トイレに付いて行く。やるせない思いを「あなた〜もっと ゆっくり寝て〜いいのよ〜」とミュージカル調の歌に乗せながら階段を降りる。

朝ご飯を食べる。食べ終わってパソコンを開いていた私のところに、「〇〇ちゃんはいつもご飯食べたらお母さんの膝に座るんだ」と娘が椅子を乗り越えてやってきた。

「〇〇ちゃんのお顔見て!」。今日もパソコンを見させてくれない。ちょっと顔をずらすと、両手でぐいっと戻される。

私のほっぺにちゅっとする。真顔でいると、「どうしてお母さんの身体に愛が沁み込んでいかないの!?」と娘が驚いた様子で言った。

両手の指先を顔の前で合わせて、両頬に当てる、という動きをしている娘に視線をやる。「あ!こうしたら見てくれる」と娘は私の目をじっと見つめながらつぶやくとしばらくその動きを繰り返した。

「あのね、これからしばらく春休みで、〇〇ちゃんとお母さんは毎日一緒です」「やったぁ〜わーい...だから?」「だから、ちょっと離れようか」「だめ」

春休みの行方に早くも暗雲たちこめる。

しばらくそうしていたが、意を決して立ち上がり、着替えなどする。

私はちょこちょことパソコンを開いて、原稿のやり取りをしたりしながらいた。

あっという間にお昼になり、冷凍のピザを焼いた。あと昨日つくったポテトサラダ。

お昼ご飯を食べ終えて、近所のRちゃんのお店に行く。もっと早く行くはずが閉店間際になってしまった。野菜と草木染めの刺繍糸を買わせてもらった。Rちゃんちの子どもたちともっと遊んでいたそうな娘を促して、歩き出す。

コンビニ、八百屋さん、Mさんのお店、駅前の雑貨屋さん、銀行...などなどをぐるりと散歩しながら帰った。

買ってきたいちごをパックから取り出す。「牛乳をかけて、スプーンでつぶして食べるのがいちごの一番おいしい食べ方だ」と、誰かが言っていたのを思い出した。

お皿に洗ったイチゴを乗せ、牛乳をかける。フォークの裏で潰すと、いちごの浸っている白い海が、みるみるピンク色に変わった。娘が歓声をあげた。

ぎゅぎゅっとつぶれてやわらかくなったいちごを口に運ぶ。甘くてまろやか。「もっと!」と娘が言うから、2粒ずつおかわりをした。

おやつを食べて一段落したところで、バレエに行く時間になった。髪の毛を結んで着替えを準備して向かう。

先週見学に来ていた新しい年下のお友達が加わった。お休みの子もいたため、年齢順で並んだときに、娘が一番先頭になる。始めて1年。急にお姉さんになったかのよう。

帰りに子どもたちはシロツメクサを摘む。ずいぶん茎もながく、頭も大きい、立派なシロツメクサがたくさん生えていた。お友達のOちゃんと100均でお買い物をして帰ってきた。

私たちの乗った車がまさに家に着くその手前の道で、夫が歩いてくるのが見えた。散歩に行くところだろうか。娘が窓を開けて「おとうさーん!」と声をかける。気がついてUターンする姿が見える。

家の駐車場に停めたところに戻ってきた夫が合流した。そのまま二人は散歩に行くと言うから、私は家に入って夕飯をつくる。

今日はモツ鍋。Mさんのお店で買ったキャベツが甘くておいしい。顎関節が痛い私は、モツを噛むのに一苦労した。

何日か前に大きくて固いものを噛もうとして、顎がガクッとなったような覚えはあるのだが、何を食べようとしたときだったか思い出せない。やわらかくなったキャベツや豆腐をできるだけ前の方の歯で、ハムハムしながら食べた。

モツ鍋にはビールかと、冷蔵庫からビールを取り出す。食事が終わるとやっぱり膝の上にやってきた娘が「いいなぁおいしそうだな」と缶の中を覗き「お母さんのお口がおいしそうなにおいだもん」と飲みたがった。

缶ビールは最初の半分ぐらいがおいしくて、いつも途中でお腹が膨れて飲みきれない。「ほしい」という娘からするりと逃れて立ち上がり、キッチンで残りをグイッとお腹に流し込んだ。


2023/3/23(土) 雨上がりの春の一夜

夫が娘を起こす。今日は二人で朝、近所のA山に登るらしい。娘は起きないかと思ったら、しっかり目を覚ましていた。

着替えた二人は、雨が降る前にと出かけていく。午前7時。私はパソコンに向かう。

9時頃「おかあさーん!ただいま!おみやげあるよー!」と娘の声が聴こえた。

玄関に行くと、ピンク色の花びらや木の実などを乗せた、両手の平ほどの大きな葉っぱを娘が持って帰ってきた。道端で宝物を発見しながら歩く姿が想像できる。

「これ持ってたから、ゆっくりしか歩けなかったんだよね」と夫が言う。そーっとそーっと歩いて帰りが遅くなったらしい。

帰ってきた二人と朝ご飯を食べる。ご飯を食べ終わると娘は私の膝の上にやってくる。「ちゅーするから、にっこりしてね」と言われて、ほっぺにちゅーしてくれるから、ニコッとした。

今日は夕方まで仕事デーにさせてもらう約束を夫としていた。お腹が落ち着いた二人は、家の植物の植え替えを相談をするために、植物屋のRさんのところへ出かけていった。

12時近くなると「おかあさーん!サンドイッチパーティしよう!」と帰ってきた。パンやハムなどを買ってきてくれて、お昼ご飯はサンドイッチをつくりながら食べた。

再び仕事へ戻る。今度はホームセンターへ出掛けたはずの夫と娘は、思いの外早く帰ってきた。階下で折り紙をしているようだ。

仕事が一段落したところで、出かける時間になった。夕方からEコーヒーで主催しているイベントがある。一日パソコンに向かっていたから少し疲れた。

娘も一緒に行く!と言う。いつまでも折り紙をしていたい娘に、このままだと置いていくよ、と最後通告をして、車に乗った。

月に一度の読書会を一緒に主催しているHさんとの「おはなしの会」イベント。誰も来なかったらどうしよう...と思っていたけれど、Hさんのお友達や私の友達も顔を出してくれたり、Eコーヒーのインスタで知ったという人が来てくれたり。にぎやかでほっこりと、楽しい夜だった。

娘は私が『100万回生きたねこ』を語り始めると「その話知ってるー知らない話がいいー」とヤジを飛ばし始めたが、やがて静かになって最後まで聞いてくれた。

終わった後に、Mちゃんのおいしいご飯を食べながら、来てくださった方たちとおしゃべりするのも楽しかった。

友達と遊び始めて、永遠に終わらなそうな「おうちごっこ」をしている娘をなんとか車に乗せて、帰った。

Eコーヒー夫妻が「気楽にできた」と言ってくれていたのがうれしい。楽に楽しく、みんなが過ごせたら良い。外は寒いけれど気持ちは温まった、雨上がりの春の一夜だった。


2023/3/24(日) 種さえまけば、実りがあったりする

昨日寝るのが遅かったわりに、いつもどおりの時間に娘が起きてきた。「もっと寝ていいわよ」と言うと「〇〇ちゃんは好きなときに起きるの」と寝ぼけ眼のまま返された。その通りすぎて、唇を結んだまま何も言い返せない。

今朝は夫がひとりでA山に散歩に出かけた。娘は今日は行かないらしい。

月に一度の農園の活動日だ。都合で休んだり、雨が降ったりして、今年はじめて活動に参加する。日々のいろんなことに追われて、畑はついつい二の次三の次。数ヶ月ほったらかしになることもめずらしくないから、今年は継続するかどうか実は悩んだのだが、娘が「やりたい!畑で野菜とるの楽しいじゃない」と言うから続けることにした。

畑の雑草を鎌で切りながら平らにし、種をまく。娘が2歳の頃に始めた畑。その頃に比べると、娘も鎌を使えるようになり、一緒にできることが増えてきた。

数日前に収穫したサニーレタスの他に、小さなにんじんもできていた。そういえば種を撒いたような気がする。なんでも種をまかないと芽はでないし、種さえまけば、こちらの応援が不十分でも実りがあったりする。

農園仲間とおしゃべりしながら、久しぶりの畑時間を楽しんだ。

昼ご飯は収穫したサニーレタスに、にんじんの千切りを載せて、小さなサラダができた。それから家にあったものでパスタ。

食後に夕飯のカレー作りにとりかかる。今日は夕方からバレエのお姉さんお兄さんたちが出場するコンクールに向けたお披露目会があるから、帰ってきてすぐ食べられるように準備しようと思っていた。

ブロッコリーを素揚げする。昨日Eコーヒーで買ったとき、一緒にいた人が「素揚げするとおいしいのよ」と教えてくれたから早速試してみたのだ。おいしくてつまみ食いの手が止まらない。

娘と夫は折り紙をしていた。2人が取り組んでいるのは、たくさんの同じ形を折ってつなげて立体をつくるもので、昨日は折り紙30枚使ってくす玉をつくっていた。今日も何か作っているらしいが、そっちに視線を向けると「見ないで!びっくりさせるから」と娘に言われた。

カレーができあがる頃、娘がやってきた。手にした立体の折り紙は娘の両手の平に乗るぐらいのサイズで、花のような形をしている。中心に指を入れると外側に開き、くるくると回転する。「万華鏡」というらしい。

「すごい!よく作ったね」と驚く。「〇〇ちゃんとお父さんが半分ずつ折ったんだ」得意顔の娘がくるくると回転させてくれる様子を動画に収める。

夕方車に乗って今日のコンクールお披露目会の会場まで出かける。「寝ていいよ」と娘に声をかけるが、振り返るたびに目をギンっと見開いてこっちを見ているから笑ってしまった。

お披露目会はとてもよかった。みんなの頑張りにぐっと来たり、表現に心動かされたり、何度も涙が出た。

車で家に帰る。行きと同じように振り返ると目をギンっと見開いていた娘も、気がつくとすっかり脱力して寝ていた。

今日は夕飯の準備もしてきたしバッチリ!と思ったら、ご飯を炊き忘れたことに気がついた。痛恨のミス。

帰宅しご飯を炊く。その間に娘と夫はお風呂。娘がひとりでしゃべっている声が聞こえる。最近の流行りは、鏡に向かって、「まず、桶を用意します」「次にスポンジにせっけんをつけて」など解説しながら身体を洗うことらしい。お風呂系YouTuberである。ちなみに娘のYouTuberネームは「ふくいシャワー」。夫が「ふくいおふろ」。私は未デビューだが、「ふくいせっけん」という名前をもらった。

二人がお風呂をあがる前にちょうどご飯が炊けた。カレーにブロッコリーの素揚げを乗せて食べる。

食後にぼーっとしていたら「今日のお姉ちゃんたちのダンス、すごかったね」と娘が言う。まさにそのことを考えていた私は「なんでそのこと考えてるってわかったの?」と聞く。娘は「だって遠く見て何か考えてたから」と。私のことを良く見ている。

私もお風呂に入り、先に布団に入っていた娘の隣にもぐりこむ。忘れ物に気づき、一旦布団を抜ける。走って戻り、暗い部屋に駆け込んで「お待たせ〜」と布団に入ろうとすると、足の先に固いものがあたった。布団から夫がバッと出てきた。私の布団にもぐりこんでいたらしい。娘と夫が大笑いしていた。


2023/3/25(月) 家事から解放されると娘は孫のようにかわいい

雨降りの月曜日。その昔会社員だった頃、カーペンターズの「雨の日と月曜日は」を聴きながら電車に乗り、「Rainy days and Mondays always get me down」という歌詞に浸りきっていたのを思い出す。

雨で月曜日だけど全然憂鬱ではない今朝。娘は9時過ぎまで良く寝ていた。おかげで今日締め切りの原稿が終わり、やろうと思っていた請求書も提出できた。ありがたい。

起きてきた娘と昨日のカレーを朝ご飯に食べる。食べ終わって私の膝の上にやってきた娘が、「おてらのおしょうさんしよ」と言って手遊びをする。「次はグリンピース」と、今度はチョリンチョリンパリンを始める。2人でチョキを出したところで、娘が「ドン」と言った。この前まで必ず私が先に言っていたのに、娘が先に「ドン」を言えるようになっている。

もう一回「おてらのおしょうさん」をして「ぐるりと回ってじゃんけんぽん」したところで、2人でパーを出すと、思わず私が「ドン!」と言ってしまった。すっかりグリンピースと混ざっている。2人でしばらく笑いが止まらなかった。

世間が全く歩みを止めない春休みは、保育園に通ってない子育てフリーランスにとって一番の鬼門である。子どもが常に一緒にいる、そして年度末ということもあって仕事は多い。

そういうわけで今日から実家に避難する。着替えなど持っていくものをカバンに詰めた。

お昼ご飯を、町のおいしいパン屋Yさんのカフェに食べに行く。大好きなアーティストMさんの展示を開催していて、実家に帰る前に行こうと決めていた。

Yさんの中は、Mさんのイラストに包まれて、光を放っていた。席に座るのを待っている間、花と鳥をモチーフにした4つの作品をさして娘が「お母さんはこの中でどれが好き?」と聞く。

「私はこれかな」と外側が青くて内側が黄色いお花がたくさん咲いたものを指差すと、娘は「〇〇ちゃんはこれ」と白い花がしだれるように咲いたものを指差した。

娘と向かい合ってカフェの席に着く。やがて運ばれてきたパンを、娘は鼻唄しながら食べている。ご機嫌でご飯を食べるとき、彼女はいつも鼻唄している。

バジルとトマトのパン、ブルーベリークリームチーズのパンを平らげる。一口ちょうだい、と言うと「はい、おいしそうなところ」とクリームチーズがたくさん乗ったところをくれた。

私が先に食べ終わり、歩いて作品を見て回りたかったが、娘に「座ってて」と言われて、座ったまま首をあちらやこちらへ回していた。

やっと食べ終わると娘が「いこ!」と言って、一緒に店内の作品を見て回った。在廊していたMさんにご挨拶。

Yさんを後にし、実家の父へのお土産に、落花生のWさんでバターピーナッツを買って家に帰る。

用意をしていた荷物を取ると、電車に乗って実家へ向かった。グリーン車に乗り込むと、私はパソコンを開く。娘は窓の外を眺め、駅の発車音を「次の駅はどんな音?」と楽しみにしていた。

温かくて揺れが心地よく、どうしようもない眠気がやってきた。パソコンを閉じる。娘も「お母さんのお膝にごろんしたい」と言うと、私の膝に頭を乗せた。

気がつくと、目的駅の2つ前の駅を発車したところだった。私が目を覚ましたところで、ちょうど娘も起きてきた。真っ赤なほっぺをしている。「まだ眠たい」と目を細める。私も眠たい。目的駅に近づいたところで出口まで移動し、手を繋いで電車を降りた。

駅の改札を出たところで母と落ち合い、迎えにきてくれていた父の車で実家へ。母と娘はすぐに買い物に行った。

買い物から帰ってきた娘は、ディズニープリンセスが表紙のスケッチブックやディズニープリンセスの子ども用ネイルなどたくさん買ってもらったようだ。

早速自分の爪にラメが入ったピンクのネイルを塗っている。私の母が「おばあちゃんにも塗って」というと、「ダメ!」と言う。「ケチーお母さんならいいの?」と母が聞くと「いいよ!」と言って、私の爪に塗ってくれた。娘は私に優しい。左手の爪はショッキングピンク、右手の爪はピンクのラメラメになった。

娘が顔の前に指を揃えた手の甲を出して「うふふ」と笑い、「お母さんもやって」と言う。同じようにすると「かわいい!」と言ってくれる。

鼻をかむときも爪が見えてかわいいから、と教えられて、指をピンと立てて鼻をかむ。今度も「かわいい!」と言われた。爪塗ったらなんでもかわいくなるのいいな。

一緒にお風呂に入る。私が身体を洗っていると「お母さんを見るとまぶしいな。お母さんはキラキラのお姫様ってことね」と娘が言う。「〇〇ちゃんはお花のお姫様ね。瞳がバラで、ドレスもバラが付いてて、ピンク色のハイヒールで、髪の毛はピンクで...」イメージはどんどん広がる。

夕食後、おばあちゃんがおじいちゃんに「スマホとって」と言い、おじいちゃんが渡す。「はい」と受け取ったおばあちゃんを見て「ありがとう言わないんだ、ヤバっ」と娘が言う。

この「ヤバっ」は最近娘の中で流行っている。ようちえんの友達のEちゃんやJちゃんのエッセンスが入っているのを感じて面白い。ヤバっを連発する娘は、ギャルみたいだ。

そんなこんなで「ヤバっ」と言ったり、もっとこうした方がいい、と指導が入ったり、手厳しい娘に、祖父母は笑いながらもてんてこまいだ。家事から開放された私には、娘がひたすらかわいく見える。孫のように「かわいい、かわいい」と目を細めて眺めていた。


2023/3/26(火)  呪いをかけないように言い換える

実家の一室で早朝から仕事をしていると「ママー」と呼ぶ声が聞こえた。「いっしょにねよ」呼ばれて布団に入る。しばらく布団の中で目を開けたり閉じたりしていたが、やがて「起きる」と布団から出た。

今日は弟家族が遊びに来る。娘も2歳年下の甥っ子と遊ぶのを楽しみにしていた。朝ご飯を食べたら、マットを出したり、おもちゃを出したり、準備をする。娘も張り切って手伝いながら、「まだ来ないの?」と言っている。まだ8時だ。

私が昼頃までオンラインでミーティングに参加しているうちに、弟一家は到着していたようだ。ドアの外でにぎやかな声が聞こえる。部屋のドアをパタパタさせながら、娘がいろいろと物を取りにくるからソワソワした。

ミーティングが終わった私が部屋から出ると、娘が「あっついわー」と言っている。トランポリンをしていて汗をかいたらしい。

昼ご飯にみんなでぼたもちを食べる。食べ終わった娘は、甥っ子とバランスボールを投げ合って遊ぶ。娘が「よいしょー」と投げ、ボールに触れた甥っ子も「できたー!」と嬉しそうだった。大きな声を出して笑い、はしゃぎ、テンションはマックス。昼寝し始めた赤ちゃんの姪っ子も、すぐに起きてしまった。

家の中で遊ぶのもだんだん退屈してきた。しかし雨で外では遊べないからと、車で図書館へ移動。子どもの本のコーナーで、娘が絵本をとってきて、椅子に座って読む。車の本を持った甥っ子もおじいちゃんと一緒にやってきた。娘を見つけると、「ここで読む」と隣の椅子に座った。

図書館に併設されているカフェでお茶をする。娘がおやつを食べたい、というから、クッキーを「みんなで食べよう」と買った。よく食べる甥っ子が「まだいる」と何度もクッキーに手を伸ばした。

カフェの椅子の背もたれのところに娘が立ち上がる。私の父が「周りの人に変な子だって思われるからやめなさい」と言う。私は「周りの人にどう思われるかはいいの。でも落ちそうで危ないからやめてほしい」と言い換える。

父や母はたまに無意識にこういう言い方をすることがある。私は「誰かに変と思われることは悪いことだ」という呪いを娘にかけたくなくて、必ず言い換えるようにしている。少し細かいかな、と思っても。

やがて娘と甥っ子は、手をつないで図書館をあとにした。駐車場に入ると甥っ子が「ホンダ、トヨタ、クラウン、レクサス」と車を指差しながら、順番にメーカー名を言う。「カローラ」とか「スペーシア」とか車種も教えてもらった。ついこの前喋り始めたと思ったのに。すごいなぁ2歳。

実家に帰る。荷物をとりにきた弟一家も帰っていく。朝から張り切ってハイテンションだった娘は眠いようだ。「ねむいないー!」と言いながら走り回り、必死に今すぐ眠ってしまいそうな自分と戦っている。

限界ギリギリな娘は、それでもお風呂に入り、何事かに大笑いしながら夕飯を食べ、ストレッチをして歯を磨く、という夜のルーティンをこなしてから布団に入った。




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