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だんだん気持ちがふくらんできた[2024/4/24(水)〜4/30(火)]


2024/4/24(水) シャーベットで冷えたお腹をココアで温め直す

パラパラ雨が降る中、集合場所に車で向かう。今日はようちえんの懇談会。娘の髪の毛をゆっくり結ぶ時間がなくて、部屋の入口でポニーテールを結って、私は別の部屋へ。

懇談会が終わってお迎えに行く。私を見つけた娘は、リュックと上着を持ってこちらへやってきた。帰りは雨が強まっていた。

家に帰る。娘が「シャーベット食べる!」と冷凍庫から出してきた。親戚からのいただきもので、数日前から冷凍庫で冷やしていたのだ。娘はぶどうの、私はいちごのシャーベットを食べる。おいしい。が、とても冷たい。冷える。こんな雨の寒い日に食べるものではなかった。

「あったかいもの飲みたいね」とココアを淹れる。それとスコーン。最初からこちらにしたら良かったと食べながら思う。シャーベットで冷えたお腹をココアとスコーンで温め直した。

私はリビングでパソコンを開く。娘はラップの芯を見つけると「そうだ!これで楽器つくろう!」と張り切り始めた。お菓子の空き箱とラップの芯を、テープでつなげている。「輪ゴムちょうだい!14個いる」と言って、黄色、紫、赤、青、緑、と色とりどりの輪ゴムをたくさん持っていった。ひとつひとつお菓子の空き箱に巻き付けているようだ。

「これは〇〇ちゃんじゃないと作れないんだ!ようちえんの小さい子たちはできない」。自信満々で作っている。

と思ったら「うわあああん」と泣き始めた。「へこんじゃったー!。」輪ゴムを巻きすぎて、箱がベコッとゆがんでいる。そうなるよなあ、と思う。「せっかくかわいくできたのにー」とボロボロ涙を流している。

輪ゴムを箱から取ってやる。「どうしたらいいのー」。泣きがどんどん激しくなっていく。「そんなに嫌ならやめたら?」「やりたいー」。もっと泣く。悔しいけど、諦めたくはないのだ。

輪ゴムを箱からとってやる。「落ち着いて。〇〇ちゃんは落ち着けばなんでもできるんだから」と、コップに余っていたココアを飲ませる。

やがて落ち着くと、「そうだ!輪ゴムなしでつくるの思いついちゃった!」と泣くのをやめて、ルンルンとまた新しく取り組み始めた。なかなか芯が思った方向に立ち上がらなくて苦心していたが、かくして自作の楽器は完成した。「できた!」とご機嫌である。

そんな格闘をしている間に、ようちえんで昨日当番だった友達から「(娘が)タケノコ掘っててうわんうわん泣き始めた」というエピソードがメッセージで届く。「ストレートな表現と根性が〇〇ちゃんぽくて愛らしいね」と。そんな風に見守っててもらってありがたいなあ。

パソコンに向かっていたら夕方で、夕飯をつくろうかどうしようかという時間帯になった。今日は町のカフェで「満月バー」なる、おいしいご飯が屋外で食べられるイベントが開かれている。最近行けてなくて、次は行こう、と娘と約束していた。

小雨降る中、二人でうきうきと出掛ける。娘は地面を踏むたびに光る靴を履いていて、暗い中でも足元がよく見えた。

娘を膝に乗せて座り、紙皿の上から奪い合うように、パスタやアスパラの肉巻きや、おしゃれでおいしいご飯を食べた。チーズケーキを半分に割る。「〇〇ちゃん大きい方がいい」と言うから、いつかは大きい方を譲ってもらった恩返しと思い、少し大きめに見える方をあげた。


2024/4/25(木) 泳ぎたいけど泳がなかった

キッチンでラジオを聞きながらお弁当の準備をしていたら、「ママー」という声が聞こえる。「はいはいー」と階段を駆け上ると、一番上の段に娘が座って「ママっていっぱい呼んだのに全然来てくれなかった」とふくれっ面をしていた。

ようちえんの保育当番で一緒に行く日。
張り切ってお弁当にいろいろ詰めたら娘のお弁当箱の蓋が浮いてしまって、ミニトマトを指でぎゅぎゅっと押し込む。

新年度になってはじめてのお当番だった。日差しのある温かい日。子どもたちは草花で遊んだり、水で遊んだり。タケノコの皮をはいで、火を炊いて煮た。娘は私と一緒にいたがった。

泣いている年中の男の子がいて「どうしたの?」と娘が言うと、泣かせたほうの男の子がやってきて、娘の背中を叩いた。「〇〇ちゃん助けようと思っただけなのにー」と娘が泣く。

ようちえんが解散。友達に娘を任せて一旦帰り、仕事のオンラインミーティングに参加する。終わって戻り、お迎え。

娘と家に帰る。夫が階段から降りてきた。「お父さん温泉行こう」。娘はストレッチを毎日しては自作の表にシールを貼っていた。この表が全部埋まったら温泉に行く、と約束していたのだ。

すぐに支度をして、車で温泉に向かう。前回行ったのは2月だったから、2ヶ月ぶりだ。「お父さんとお母さんとどっちと一緒に入る?」「ちょっと考えてみる」娘を振り返ると、手をあごに当てて考えるポーズをしていた。

これまで毎回私と入ってきたが、今回考える余地があるということは夫と入るかもしれない。「わかった」と心を決めた様子の娘は「おじさんと一緒に入るのいやだから、お母さんかな」と言った。あれれ。「お父さんと一緒に入ってみなよ。嫌だなって思ったら次は変えたら」とおすすめする。すんなり「そうしてみる!」と言って、夫と入ることになった。

温泉にひとりで入ることができる!娘が生まれて初めてぐらいじゃないだろうか。羽が生えそうだった。「泳いじゃうかも」と言うと、「人がいてもいなくても泳いじゃいけないよ」と娘に止められる。

しばらくぶりに、温泉にひとりで入る。温かくなって、洗い場で身体を洗うのもしんどくなくなった。洗い場と露天風呂との間仕切りがほぼほぼ開いている温泉で、寒い季節は洗い場でヒーヒー言いながら身体を洗っていたのだ。

自分のペースで好きな順番でお風呂に入れるというのは良いものだ。でも娘とおしゃべりしながら入るのもやっぱり楽しいものだったな、とも思う。

露天風呂のお湯を順にめぐって、最後は藤棚の下のお風呂に入った。ちょうど藤の花が咲いていて、きれいだった。ぬるめの白濁したお湯に浸かりながら、ミツバチが藤の花の中を順々に巡って蜜を吸うのを、ぼんやり眺めていた。

待合所に行くと、夫と娘はすでにいた。ストレッチしながら待っていたらしい。二人とご飯を食べにレストランへ。お腹いっぱい食べた。娘も残すかと思ったうどんを、気がつくとすべて平らげていた。

車に乗って、音楽をかける。鼻唄しながらいて、1曲終わったところで振り返ると、娘はすでに頭をかくんと斜めに倒して寝ていた。


2024/4/26(金) 「理知の誤り」を喉に流し込む

そろそろ冷蔵庫の中の鶏もも肉を使わなければと思い立ち、朝から鶏肉のてりやきを作る。お弁当に入れよう。あとは夫の朝ご飯と私のお昼ご飯に。

階段を寝ぼけ眼の娘が降りてきた。「おはよー」とぎゅっとする。娘も「おはよー」と笑っている。

朝ご飯を食べる。夫がてりやきを喜んで頬張る。娘はご飯を食べ終わると私の膝の上にやってきた。身動きがとりづらく「降りてよぉ」と言っていると「さっきはおはよーってニコニコでぎゅってしてくれたのに」と口角を下げて泣きそうな顔になった。

「二つ結びでお団子に結んで」と言うからその通り結んだ。「今日はバレエがあるからこの髪型なんだって言いたいんだ」。

ようちえんの集合場所に送る。帰って必死で仕事する。原稿が終わらない。

お迎えに行く。ようちえんのメンバーで、草木染めをする日。

今日の活動場所だった果樹園跡地で草花を集める。八重桜がたくさん落ちていたから、濃いピンク色でふわふわのドレスのような花たちをボールにいっぱい集めた。

鍋に入れて煮出す。重曹を加えると、じゅわじゅわと泡立ち、色が濃くなっていくのが面白かった。染めるさらしを鍋に入れる。持ってきた靴下などを友達が入れ始めると、娘も中に着ていたロンTを染めたいと言う。クリーム色のロンTを脱いで洗い、鍋に投入した。

娘をバレエ教室へ送る。着替えさせてバイバイすると、私は染め物のところへ戻った。染まってきたさらしやロンTをタッパーに入れて持ち帰る。

バレエ教室へお迎えに行く。1年前はみんなの後ろにくっついてやっていたはずが、お姉さんたちが相次いで退会してしまったり、新しい小さなお友達が増えたりしたこともあって、列の先頭になっている。私を見つけるとにこっと笑った。

家に帰る。夕飯を作っていない。どうしよう。豚ひき肉とキャベツやミニトマトがある。タコライス風を作る。かぶでスープも作った。えらい。

娘が「〇〇ちゃんね、小石食べられるんだよ」と得意気に言う。「口に入れて唾つけてべーってするだけ」。それは食べたと言えるのだろうか。

夕飯を食べたら急激に眠くなって、そのままソファに横たわる。昨日のお当番の疲れ、というか一日日差しを浴びていた疲れがまだ残っている気がする。

なんとか起き上がってお風呂に入る。娘が身体を洗いながら何か話しているのを目を瞑って聞く。「お母さん寝てるー」「聞いてるよー」。たぶんちょっと寝てた。

夜は原稿の続きをやろうと思っていたが、もう無理だ。今日は諦めて寝よう。

お酒が飲みたい、と思って冷蔵庫から焼酎を取り出す。「理知の誤り」と思う。アーユルヴェーダ用語で、わかっちゃいるけどやめられない、の状態を指す言葉だったか、滅多にない「お酒を飲みたい」という状態のときにその言葉を思い出す。コップに入れた焼酎をそのままガッと口に流すと、喉がヒリヒリする感じがした。慌てて残りに水を足して、「理知の誤り」を喉に流し込んだ。

「ママー寝よう」と言う娘と一緒にお布団に倒れ込むようにして寝た。


2024/4/27(土) いつも餃子に追われている

朝早く起きて、昨晩できなかった原稿を終わらせる。ホッとする。

昨日の残りのタコライスを朝ご飯にする。

GWの計画を立てようと夫がパソコンを持ってきてくれた。どこに行こう、何食べようと調べていると、娘が「〇〇ちゃん“一番うまいからあげやさん”見つけた。電話するね」と言って、木でできた「スマホ」を耳に当てた。「プルルル〜あ、予約したいんですけど、えっと何日?、あ、5月1日ですね、お願いします」。手早く予約を取ってくれた。「今度はホテルないかな?」というと「“5人どまりのいいホテル”っていうの見つけた」と言って予約を取ってくれた。あまりにもリアルなので、この子は本当に予約の電話ができるかもしれない、と思う。

娘は手早く予約してくれたのに、私と夫は方向性が決まらないままパソコンを閉じた。

今日は仕事させてもらいたい、と夫にお願いする。娘と夫は庭に出て遊び始めた。「Mちゃんあーそーぼー」とお向かいのお友達を娘が呼んでいる声がする。やがて夫が「Mちゃんは何して遊んでたの?」と話しかけている声がする。Mちゃんはやってきたようだ。

私は遊んでいるらしい3人の声を聞きながら、パソコンに向かっていた。

「久しぶりにお向かいのMちゃんと遊べてよかったなぁ」と思ったのもつかの間、娘の泣き声が聴こえてきた。「かいさんしたいー!」。おやおや。あまりにも早い解散宣言に夫も困っているようだ。

階下に降りて窓を開ける。「どうしたの?〇〇ちゃんはおうちに入る?」と聞くが「いやだー!Mちゃんのこと送り届けて!」と夫に言っている。お向かいのMちゃんは「はい!」と私にお花を持ってきてくれる。まだ遊びたいMちゃんと帰ってほしい娘と。

どうしたものかと思っていると、お隣さんの小学生のお姉ちゃんが玄関先で花あそびをしているのが見えた。そちらに行ってみよう!と二人を連れて散歩する。「お花つんでるの?」と話しかけると「これ」と小さなピンク色の野の花をまとめた花束を、ひとりずつに渡してくれた。「ありがとう」と受け取る。

お散歩中は気が紛れたようだが、散歩が終わった娘はやっぱり「帰ってほしい」モードだった。私はお昼ご飯を作りにキッチンへ。娘と夫はよきところで区切りをつけて、Mちゃんをおうちまで送っていったようだった。

お昼ご飯を食べた後、お散歩中に摘んだたんぽぽの花びらでたんぽぽクッキーをつくろうと思う。

娘と一緒にたんぽぽの花びらをバラバラにする。ぎゅっとつぼんだ根本の緑色の部分を開くとパラパラと黄色の花びらがほどけていって、ひとつの花にこんなに詰まっているのだとおどろく。

粉と材料を混ぜて花びらを加え、平らにのばしたら娘が型抜きをした。うさぎや桜やハートや星のクッキーが並ぶ。天板をオーブンに入れて焼く。

帰ってきたらクッキーを食べる約束をして、娘と夫は買い物に出かけていった。

15分焼いたところで確認したが生焼けのような気がして10分追加する。ピーッとなったオーブンを開けると、真ん中の方にあったクッキーが茶色くなって焦げていた。先日買ったばかりの新しいオーブン。よく焼けるようだ。

仕事の続きに取りかかる。

娘と夫は夕方帰ってきた。クッキーを食べる。責任を取ろうと焦げたところばかり食べたら、苦みが強くていまいちだった。口直しにちょうど良く焼けているところもいただく。ホロホロと崩れる食感が楽しい。もっともっと、と娘が食べる。「これで最後にしよう」と言うと「わかった」と最後のひとつを取り、蓋をしめた。

夕飯に餃子を作った。餃子は手間がかかるからなかなか面倒で取りかかれないのに、生協のカタログで餃子の皮を見るとついポチってしまう。厚めのモチモチの皮がおいしいのだ。購入しては、意外と賞味期限が短いもので、いつも追われるように餃子を作ることになっている。

包むのは面倒だけれど、家にある野菜を何でも刻んで入れられるからとてもいい。今日は残っていたキャベツと、葉タマネギの葉の部分を刻んで入れた。

餃子を焼いて食べる。娘はとても眠たそうだった。お風呂は諦めて寝た。


2024/4/28(日) 自分のことがもっともっと大好き

朝ご飯にホットケーキを焼く。家にある米粉や玄米粉を混ぜて、大さじ1つぶんずつ焼く。夫と娘が待つ食卓のお皿にどんどん小さなホットケーキが積み上がって、さながら「わんこホットケーキ」だった。

月に一度の親子で参加する農園の活動日に、自転車で駆けつける。あっという間に草が伸び放題になっていて、前回どこに種を植えたものだかわからない。にんじんとはつかだいこんの葉を見つけた。あとは...わからない。仕方ないから、えいやと娘と草刈りをする。空いたスペースにトマトの苗を植え、オクラと盆茶豆の種を蒔いた。

2時間ほど外で作業していたら暑い、熱い。「あつかった〜」と倒れ込むように入った我が家は涼しく感じた。お昼ご飯を作って食べる。

夕方、夫と娘は図書館に本を返しに行った。大変ありがたく、仕事させてもらう。

3月からこっち、ずーっと仕事が忙しい。自分のキャパ以上の仕事を引き受けてしまっているのだと思う。フリーランスは仕事量の管理を自分でしなきゃいけないのが難しい。特に私は「はい喜んで!」と引き受けてしまいがちだし、ガッツでなんとかしがちなところがある。誰か冷静な目で私の仕事量を管理してくれるマネージャーがほしい。

夫と娘は仲良く出かけていったはずなのに、娘が泣きながら帰ってきた。「おとうさんがワークショップの前にお風呂はいるっていう〜」と言っている。娘はカードづくりのワークショップ屋さんをして夫と遊びたいが、その前にお風呂に入るよ、と言われたらしい。

「お風呂沸かすの時間かかるよ」と言うと、その間に二人はワークショップをすることになった。娘喜ぶ。

娘とお風呂に入る。「〇〇ちゃんはお父さんとお母さんが一番大好き。お友達とかおじいちゃんおばあちゃんの好きとは違う」。そうかそうか〜と喜んで聞く。「それでね、自分のことはもっともっともーっと大好き」。ずっとそう思ったまま大きくなってほしいなあと思う。

昨日作った餃子の残りを、今日も焼いて食べた。娘が畑で摘んできてくれたサニーレタスが、食卓の彩りだった。


2024/4/29(月・祝) だんだん気持ちがふくらんできた

朝早めに起きてきた娘。寝室に連れていったが寝付かず、結局自室のデスクでパソコンを開く私の膝に乗ってきた。

「大きな月と大きな島がありました 大きな月と大きな島をくっつけて まじでっかい月ができました」

オリジナルの童謡を歌う。まじでっかい、に笑ってしまう。

朝ご飯を食べると、娘は夫とお店屋さんごっこを始める。娘のご機嫌がいまいち。早起きすぎて眠たいのだろうか。怒ったり泣いたりする。夫が耐えかねて「休憩!」と言ってトイレに向かうと。「お父さんがーー」と泣き始めた。

「ママー」とこちらにやってきた娘を膝に抱える。「ひとりでも楽しそうにやってたら、お父さんまた来てくれるかもよ」と言うと、「わかった!やってみる」。ひとりで「いらっしゃいませー」「こちらでございます」などと始めた。

ちょっとすると「だんだん気持ちがふくらんできた!」「ふくらんで、パーンてなりそう」と手を広げて笑いながらこちらを見た。

夫がトイレから出てくると「わ!楽しそう!じゃあ一緒に遊ぼうかな」とお店屋さんに加わる。

先日トークイベントで前の席のお姉さんが骨伝導イヤホンを貸してくれた話を夫にする。耳にかけるだけでよく、娘も聴きやすそうでいいなと思った、と言うと「あるよ」と持ってきてくれた。この人は色々持っている。

娘は喜んでそれをつけると、ばあばと電話し始めた。「お父さんはお布団に横になるとすぐ寝ちゃうんだよ」「笑ってるときって自分の体触ってみると震えてるよ」などばあばに話している。

電話中大変ありがたく仕事させてもらっていたが、そろそろ買い物に行かねばと思いついて、ばあばにお礼と別れをつげる。

娘と二人で買い物へ。スーパーも道も空いていた。みんなどこかへ出かけているのだろうか。

お昼ご飯にパスタを作る。

午後は散歩にでも出かけようかと思ったまま家にいた。

明日から夫の実家に帰省する準備を娘が始める。洋服を選んで、袋に詰めている。「明日になるから慌てちゃうからね、今日のうちにしておいたほうがいいよ。ピンポイントだよ!」と言いながら親指と人差し指でL字を作って娘が言う。「ピンポイントだね!」とピンポイントが何かわからないまま同じようにL字を作って繰り返した。

夕飯に夫が親子丼を作ってくれた。娘は夫が作る親子丼が好きだ。

娘の「ピンポイント」な教えを守らず、結局私は何も準備せずに寝た。


2024/4/30(火) アリエルに私の声は聴こえる?

トマトの芽が土の中から首をもたげて、ようやく発芽し始めた。それなのに、しばらく不在にしなければならない。「ごめんね」とトマトの芽に謝る。娘も「トマトちゃん、かわいいね。ちょっといなくなるけど、〇〇ちゃんたちは早めに帰ってくるかもしれないから、大きくなってね」と懸命に話しかけている。

出発の朝。昨日のうちに荷造りをしていた娘は誰よりも早く準備を終え、髪の毛を結い終わると、ライオンのぬいぐるみを抱っこ紐で抱っこし、靴を履いて、リュックを背負い、ポシェットを肩にかけ、「もう行こうよ〜」と玄関で待っていた。

私も出発の時間には間に合うように荷物を詰め終わったが、少しでも時間があるとあれもいるかも!と新しいことを思いつき、あちらへこちらへウロウロする。夫は出掛けるときになって「洋服が1枚足りない」と部屋に取りに行く。

バタバタしながらも、予定していた電車に間に合った。電車に乗り、新幹線に乗換え。連休の谷間を狙ったのが正解だったか、自由席にもゆとりがあった。

娘は新幹線の中で、夫のiPadを借りて、アニメ「リトルマーメード2」を観るのを楽しみにしていた。骨伝導イヤフォンを付けながら「〇〇ちゃんがしゃべったら、アリエルに聞こえちゃう?」と言っている。私は隣でそのかわいさを噛みしめる。

「リトルマーメード2」が終わってもまだ時間があった。少し休憩をして今度は「スヌーピー」を観ている。到着まであと30分ほどになったところでおしまいにしたが、娘の目は潤んでいた。見続けたから目が疲れてしまったかもしれない。

新幹線を降り、在来線に乗り継ぎ、夫の実家へ。

ばあばが電話を3時間かけてやっと予約が取れた(!)という幻のパン屋さんのパンを、お昼ご飯にお腹いっぱいいただいた。

食事が終わって、仕事をさせてもらう。オンラインでインタビュー。

「きゃー!」「わあー!」とじいじとばあばと遊んでもらっている娘が、大ハッスルしている声が聞こえた。

仕事を終えて階下に行くと、娘はピアノの前に座っていた。「これは“天使が星空へ消えた”っていう曲だから聴いてね」と言うと、オリジナル楽曲を気持ちよさそうに弾いている。

「これでおしまい」と言ってピアノの椅子から降りると交代で夫が座った。楽譜を見ながら、昔練習していた曲なのだろうか、何か聞き覚えのあるクラシックの曲を弾いている。

娘が「お父さんのピアノに合わせて歌います!」と言うと、歌い始めた。ピアノの物悲しい曲調に合っているとは言えない、ノリノリな歌を、声を張り上げて歌った。

娘と一緒にお風呂に入り、ばあばと娘と3人でストレッチをして、夕飯をいただく。幻のパン屋の食パンに、ハンバーグを挟んでハンバーグサンドにして食べる。ナッツやチョコの入ったパンもおいしかったが、水分をたっぷり含んだ感じのもっちりしたこの食パンは、スーパー幻級においしい。ビールもいただいて、すっかりお腹が膨れた。

娘の歯磨きをして、眠る。
暗い寝室でもいつもは目が慣れたら娘の顔が浮き上がってくるが、雨戸を閉めた和室は正真正銘の暗闇で、いつまで経っても何も見えず、不安な気持ちのまま寝た。




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