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曾祖父と弟、血の繋がり


#エッセイ部門 #創作大賞2024


亡父方の本家は、ある程度お金のある本家だったらしい。

亡父の祖父、つまり私にとっては、曾祖父だが、曾祖父は本家の長男として生まれた。

だが、非常に遊び人で家のお金を好きなように使い込み、勘当されたという。

曾祖父は、婚姻届を出さず、ある女性に、亡父の父、つまり、私の祖父、を産ませた。

曾祖父は、祖父を捨て、何処かへと消えた。

捨てられた祖父は本家に預けられた。

幼少期、とても辛い思いをしたらしい。

本家の金を使い込んだ男の息子として、ひどい扱いを受けたのだろう。

どれだけ居心地が悪かったのか、私には想像もつかない。

ある程度成長した祖父は、本家を出た。

そして、東京へ向かった。

東京の台東区と荒川区にまたがる地域、山谷、だった。

そこは日雇い労働者たちが働き、寝る場所で、江戸時代から宿場町として栄えたそうだ。

祖父はそこで日雇い労働者として、裸一貫、毎日毎日働き続けた。

ある程度お金が貯まると、祖父は山谷を出た。

そして就職した。

そこでも毎日毎日、懸命に働き続けた。

同時に大学の費用を貯め、夜間大学に入学し、昼間は働き、夜は大学で勉強を学んだ。

夜間大学を卒業した祖父は、転職をし、より高いお給料をもらえる会社で必死に働いた。

祖父はその頃、ある女性と出会い、結婚をし、息子をもうけた。

日々節約をして、真面目に働いてきた祖父は、都内に広い庭のある一軒家を購入した。

祖父は妻と息子の為に、日々仕事に励んだ。

祖父は息子が、私立中高一貫校に進学出来るためのお金を貯めた。

息子は見事合格し、都内でも有数の偏差値の高い有名中学に合格した。

その後、息子は高校を卒業、有名私大に入学し、三菱御三家に入社した。

祖父は、株の勉強もし、一人だけの力で、一銭から全ての資産を築き上げた。

そうして、自身の建てたお墓のなかで、今、眠っている。


父は社内で、母と出逢い、私と弟が生まれた。

弟は明るい大らかな子でとても人気のある子だった。

だが、とてもルーズな子だった。

お金に対して、全くブレーキが効かない子だった。

弟は少ない稼ぎではなかった。

ただ、遊び人だった。

お金に関して曾祖父と同じことをしている。

覚醒遺伝は、身体の病気の場合、50%の確率であるという。

遊び人も、心の病であり、遺伝することがあるそうだ。

弟は、曾祖父の心の病を、受け継いだのだろうか。


今、私は将来を憂いている。

私の身体が健康なら働けるのに、と悔しい思いをしている。

母を守ってあげたい、母の願いを叶えてあげたい、

今、私は無力だ。



祖父は自分史を残したという。

私は読んだことがない。

父も母も読ませたくないようだった。


父方も母方も両親は亡くなっている。

父方の祖父母も、母方の祖父母も、とても立派な人間だった。

そして亡くなった父も。

今、私を支えて一緒に生きてくれている母も。


私は実は願いというものが叶った記憶があまり無い。


私が15歳の時に、癌になった母が完治したこと、その願いは叶った。

神様にどれだけ感謝してもしきれない。


弟にお願いしたい。

私と、母と、愛犬との幸せな暮らし、

お願いだから、

私の唯一の幸せを壊さないで。








さらに祖父は努力し、都内に家を買った。

息子のために、私立中学

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