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共産主義者、友人Kの想ひ出#10

Kの青春は全く女っ気のないものになった。
それは千九百八十年四月上旬から五月下旬に尼崎市内の中等学校教育施設内で他者が存在しているにもかかわらずKの骨に絡みついた肉慾を遂行した事から派生したものと友人の私は断定できる。

そこから始まり、そのような行為を常習的に継続していたのだから、もうそれは綱の切れた風船状態である。

この世に生まれすぐ母が亡くなり、表現できない寂しい想いを抱きながら生きてきた。
人間は成年に至ってからも最も激しい孤独感に襲われたとき、最も好色になるという。

人間の孤独感というものが、人間を嫌うことからでなく、人間を愛することから由来している。
人間を愛すな、といったって、そうはいかない。
ただ人間というものを愛し、そこから離れることのできないのが人間なのではあるまいか。

と説く一流文学者、哲学者の坂口安吾氏のフレーズ。
25歳の時点でまだ浪人だったがその年、共通の友人が交通事故で亡くなった。
しかも数ヶ月後にまた一人。
一人は居酒屋のバイトの飲み会の帰り飲酒運転で降下の道路の入り口を間違えて進入してしまい、
正面衝突、即死だったという・・・
テレビのニュースにも流れた。
一人は東京でプロドラマーを目指して本格的に活動していた。
カワサキKR250ライムグリーンで片側交互通行信号待ちしていた際、後ろから普通車にぶつけられたという。
二人とも共通の13歳の時からの友人。
偶然とはおもえなかった。
まだ25歳。
あの時みたいに仲良くなれない。
あの時からもう歳を重ねても成長は止まってしまってる気がする。
あの時から色んな経験しても内向に行く正当な理由が加算された。


Kの浪人生活はマルキストの父の経営する学習塾を本格的に手伝いながら6年以上継続された。
始めは早稲田大学を受けたがその後も何回が落ちたが猛勉強し早稲田以上の一流大学に合格して東京に出るという。 
塾で教えていた娘と恋仲になり遂にリア充野郎ライフスタイルを獲得に至る事ができた。
従って長年の彼の願望であった「肉慾の遂行」に達しある種の一般人のカテゴリーに入ることができたと断定する。

彼女は関西の大学、Kは東京で一人暮らし。
ほんとに、幸せそうだったが一流大学に入り若い男性の間で心が揺れてるのが観えてきた二人は別れてしまった。

東京の郊外、26か27歳でキャンパスライフスタイルをスタートさせた。
120回払いで買ったカワサキ角Z1000も持ってきた。夢のキャンパス。東京。
しかしバイト先で嫌な奴が居て悩んでるという。
一度、思い切り右ストレートを打ち込んでみたいと言う。
学生同士のバイトで偏差値の高い一流有名大学在学という事で訳のわからない五流大学の歳下の奴から妬みを受け、みんなの観てないところで暴言を吐かれたり、嫌がらせされてるという。

中学しか出てない私は一見爽やかな若い大学生バイト同士でもそのような理由でそういった陰湿ないやらしい行為が行われているのかと妙に納得した。
税務署職員の親戚の結婚式が東京であるというので呼ばれて行ったときにKと会いにいった。

顔見た途端にそのバイト先の若い現役の五流大学生の陰湿行為の話を私に浴びせかけてきた。

そうとう参ってるんだなぁ・・

とにかく勉強もなんとか経済状態も大変で生活している。 

お笑い好きの2人。根は明るいお調子者。
ひょうきん者。
悩むのは後回しにして
とりあえず身体のメンテナンスを優先にし
合法的に肉慾の遂行へと向かう事にした。

Kと私は当然の如く吉原のソープランドに出かけた。もちろん私の奢りで笑笑

もう30年ほど前の記憶なので、肉慾遂行の細かい官能的シーンを読者にポルノ小説風に描写するつもりだったが、細かい映像が出てこない。
私についた嬢とはJAZZの話をして嬢がブルーノートのアナログ盤を沢山集めていたという会話は覚えている。
Kについた嬢の話も聞いたが容姿などの記憶内容は忘れた。

ま、とりあえず東京で独り頑張る友人Kと私は「肉慾遂行」の目的を果たし非常に爽やかな友情を確認しあった。
東京の私鉄が日曜日超満員なのはビックリした。
大阪も平日通勤時は酷いがさらにその3倍にギューギュー詰め。
しかも日曜日昼前だったのに。
都心部に大勢の人口まとめて出発するのか!

さらに印象的だったのは地下鉄の天井の広さと距離てきな長さ。

Kは4年間で一流大学を無事卒業する事ができた。
就職も悩んでいたがダメだったか、なかったか
それならそれで家の学習塾を継げば良いだけだ。

怪物のような虚栄心と人並みな自尊心の高いKは
「俺の欲しかったのは学歴だけ」
とサラリといってのける。

イヤ〜な感じも受けるが、今さら何ものにもなれる訳でもないしある意味、学歴社会では正論、正解、正直な意見だと思う。

しかしそのへんの奴より賢いのに学習塾だけでは稼げず、ファミマやマクド、コンビニ、今はUVERまでやってUVERを勧めてくる笑笑
やはり普通の人より肉慾と併存された基礎体力があるのだろうか。

知識階級血統で賢いのだからいわゆるヒロユキ氏やホリエモンの様にサクッとパソコンで稼げる仕事を企画マスターしたり、本気だせばネット開業もできるとKなら成就できると思うのだが。
なぜわざわざ一般の肉体労働をチョイスするのだろう。

しかしK自身の魂は思想的には実質的に真のマルキストに近いと想う。

何とか主義か知らないが彼には親の財産も貯金も退職金も家族もいない借金しかない年金未納者。私も親も財産も貯蓄もなく借金しかない社会的弱者。

自営業者K56歳。一流大学卒業。元ファンタジスタオナニスト。或いは肉慾遂行者。
今は彼の事は尊敬するようになった。

彼の社会的弱者に味方するその精神は不滅です。なぜなら己の貯金残高18000円しかないのに10000円貸してくれる友人は滅多に存在しないだろ・・・その魂、生き様は純粋無垢にさえ感じる。

友人Kも私もまだ人生が少し残っている・・・

       ありがとう友人K  未完。




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