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DAVID COFFEE STOP / 碧に、エスプレッソを。

『おいしい』
そう感じられるのって幸せですよね。
きっとそのカップやグラスにはいろいろな想いが注がれているはず。
聴いてみたいと思いませんか?

OUR STUFFは
"想い" をもって『美味しい一杯』をつくる人たちに、会いにいきます。

入谷の交差点をひたすら東に徒歩5分。
歩いていくと、左手に目のさめる碧色の格子戸がありました。
ガラス越しに見えるサインには、”DAVIDE COFFEE STOP”の文字が浮かんでいる。

少々重い戸を引いて中に入ると、すぐにダビさんと目が合う。
「何にする?」
「じゃあ...エスプレッソを」
同じく碧で塗られたカップで飲む一杯。
そこに注がれた想いを聴いてみた。

お店を出すにあたって、エスプレッソのカップはけっこう厚みのあるものがいいなと。いくつか飲み比べてみて、このチューリップ型っていうのかな、この形のものを初めて使うことにしたんだよね。下に向かって細くなっていくから、最初に口に入ってくる液体は空気にたくさん触れているんだよね。そうすると飲み進めていくうちに、酸化の状態が変わる。味のちがいっていうよりも、口にふっと入れた時の瞬間的な感覚、それを大事にしてる。

あとはもう色だよね。このターコイズブルーで茶色い液体を出すところもなかなか見たことないでしょ。お店を開ける前、カリフォルニアに行ったとき、まるまるこの色の建物を見つけてさ、それがもう街に映えていて。頭に残った、あの青の印象をここで出せないかなと。それでカップはもちろん、お店のいろんなところにこの青を使っている。実はもともとこの色が好きなわけじゃない(笑)けど、こういう色に囲まれて働くのもね、なんかいいよね。

このエスプレッソで使っている豆はブレンド。これは店を始めるときに、Caffe Vita(※1)の門脇裕二さんと一緒に作ったものなんだけど、きっかけはバンクーバーにある49th Parrallelっていうロースターで飲んだエスプレッソ。けっこう浅煎りでフルーティだったんだよね。過去に飲んだものの中でもすごい好きでさ。同じものは作れないけど、こういう印象のものを作りたいなっていうのがはじまり。それでその豆をがっつり買って、日本に着いてすぐ空港からCaffe Vitaに送ったのね。もうその前には裕二さんに「もしお店をやるときはいろいろ相談したいと思ってるんで、そのときはよろしくお願いします」って伝えていたから、こういう印象のエスプレッソを裕二さんのやり方で作れないかってお願いしたわけ。無茶ぶりなんだけどね(笑)

※1 島根県松江市にあるコーヒー店

そしたらね、もうすごかったよ。二日後には三種類のブレンドが送られてきた。それぞれ飲んでみて、もうフルーティで美味しいの。でもカフェラテにしたときにエスプレッソが負けちゃう。俺はそういうものじゃなくて、もうちょっとボディがしっかりバチっとくるものがほしいなって伝えたんだよね。イタリアンがベースになっている裕二さんだからこそできると思って。それから何度かやりとりがあって、最終的に2つに絞られたんだ。そんで『じゃあ最後、俺がそっち行きます』って、島根の裕二さんのお店まで行って、抽出方法の調整をして。最終的に自分が落としたものを裕二さんにも飲んでもらって、『せーの』で二人が指さしたのがこのエスプレッソ。

わざわざ足を運んでもらっている。来てくれたお客さんみんなに対して、俺はそう思っているのね。なんでかっていうと、この入谷って他にあまりないじゃん?それに駅から徒歩6分もかかる場所。だからコーヒーはもちろん、それ以外のドリンクも手は抜けない。コーヒーは飲まなかったけど、ここでこんなスムージーが飲めた、『すげえ美味しかった』って思ってもらえたら最高だよね。天井も高いしね、心地いい空間だと思うから、もう好きなように過ごしてもらえれば。二階の席でしっぽり本を読んだりするのもありだと思う。

あとうちのお客さんって人見知りしない人が多いから、お客さん同士で会話が生まれるのも面白いね。赤の他人だった人たちが仲良くなって、あるとき一緒に来たり。そういうことも含めて、うちのお店なんだよね。

DAVID COFFEE STOP / 松下 大介さん(東京都台東区入谷2-3-1)

松下大介さんは、入谷のコーヒースタンド「DAVIDE COFFEE STOP」のオーナー兼バリスタ。「ダビさん」の愛称で呼ばれることも。「同じものはつくりたくない」という彼が、これまで国内外で感じた「良い」を落とし込んだお店は、 ターコイズブルーが散りばめられたどこか海辺を思わせるゆったりした空間になっている。ラテをはじめとする豊富なエスプレッソドリンクに加えて、スムージーやアルコール類もグッド。注文をして何気ないやりとりをしながら、ダビさんがドリンクをつくるのを眺める。なんというかそういう”安心感”こそが、このお店にわざわざ足を運びたくなる理由なのだろう。

Text & Photo by Taiga Kato
All credits go to OUR STUFF.

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