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【海外クリエイティブ分析】各放送局の冬季オリンピック中継

オリンピックが始まり、各国放送局の関連クリエイティブが続々と集まってきましたのでご紹介しようと思います。

アメリカNBC 

大きく変わった開会式中継

NBCは前回と大きく変わった開会式中継をご紹介します。冒頭からいきなり米国代表の家族の映像に。前回東京大会には無かったように思います。選手の幼少期や親としての想いを語ります。

途中にはネイサン・チェンの小さい時の映像も。

代表選手が親に別れを告げ、飛行機で現地に向かいます。航空会社は米国代表スポンサーのデルタ航空。


そして現地からマイク・トリコが、NBCスポーツの本拠地コネティカット州スタンフォードからサバンナ・ガスリーが登場します。ちなみにトリコはスーパーボウル中継も担当しているため滞在は1週間でした。

前回の東京大会では2人とも現地から出演していました。

東京大会より

番組の構成も非常にユニークでした。中国の専門家2名が登場し、緊張する米中問題を積極的に取り上げていました。もちろん前回の東京五輪でも日本国内の状況は紹介されていましたが、専門家をずっと出演させることはありませんでした。


スタジオについて

スタジオについて簡単にご紹介します。ロッジのようなテイストにしていましたが、正直変わり映えはしないものでした。まあトリコも1週間しかいないからでしょうか。

アメリカ国内のスタジオも通常のスタジオのようです。しかしUSAネットワークで中継してるとは言えNBCSNがなくなったことでだいぶリニアでの中継が減ったように感じます。

そして今回はどの放送局も東京大会のように現地の景色をバックに使用していないのは何かしらのレギュレーションがあったのでしょうか。それとも映える景色がなかった?前回は多くの局がレインボーブリッジをバックにしてダイナミックに展開していました。

東京大会より
東京大会より


ヨーロッパ Eurosport

ユニークさがない今回のスタジオ

ヨーロッパ全域で中継するEurosportはスタジオについてご紹介します。前回英語放送のスタジオは和のテイストを入れたものになっていました。

東京大会より
東京大会より

しかし今回はどの言語放送でもユニークなテイストを入れたものは見当たりませんでした。下記はドイツ語放送。

引きの映像だと、何か東洋にありそうなデザインの建物というのがようやく分かります。

フランス語放送はCM明けで照明がビカビカ光って謎でした。

前回のフランス語放送はこんな感じ。

スペイン語放送は前回と同じスタジオのようです。

ひとつ興味深かったのは、バーチャルのインタビュースポットを設置したこと。下記はドイツ語放送ですが、現地にいる選手とヨーロッパのスタジオにいる出演者を並べています。ただ目線がだいぶずれていたので違和感しかありませんでしたが。

フランス語放送でも似た感じでした。海外のライブインタビューの時インタビュアーはカメラにお尻を向けることはよくあるのでその形を取る方が自然かもしれません。


プロモ&イントロ

ジェネリックプロモは前回の東京五輪と同じ方向性、「競技を最前線で見られる」というメッセージを込めたものになりました。

前回東京五輪のジェネリックプロモ

今回のジェネリックプロモ

英語放送のニュース番組イントロ、前回と今回の比較です。前回は漢字やカタカナを使っていたのですが、今回は何も使われていません。


イギリスBBC

プロモや番組イントロで使われるBBCのメインイメージを見た時に率直に思ったのが「こんな重いテイストでいいのか?」ということでした。黒を背景にまず出てきたのが氷の中にいる選手です。

この「閉じ込められた」というのがウイグルの人種問題などの中国が隠し続ける様々な問題を暗示しているように思えました。

そして最後のシーンです。氷を突き破りました。スポーツは政治に負けないと言いたかったのか、中国の国民に立ち上がれと呼びかけたのか…前回の華やかなテイストとは正反対の、とても重いオープニングでした。

スタジオについて。前回東京大会ではビックサイトのような外観のバーチャルスタジオを作り、その中もカタカナや漢字をふんだんに使っていました。

東京大会より

しかし今回はどうでしょうか。山のロッジのように見えますが、使い回しができるユニークさに欠けるセットになってしまいました。

華やかな祭典とは呼べない、地味なクリエイティブになりました。
前回のイントロとの比較でより違いがハッキリ分かります。

前回の開会式イントロ映像

今回の開会式イントロ映像


フランスF2

前回東京大会は東京湾にスタジオを浮かべるという非常にユニークなことをやって話題になりました。ちなみに場所的には芝浦埠頭の南あたりでした。

東京大会より

一方今回もポツンとスタジオを作りましたが、ちょっと私ではどこだかよくわかりませんでした。

中国のどこかの橋のように下が丸見えになってるという、高所恐怖症の方には辛いバーチャルスタジオになっています。ちなみにイントロはFrance TVがどのスポーツにも展開しているもので東京大会と同じものでした。

前回の開会式イントロ映像

今回の開会式イントロ映像


ドイツZDF&ARD

開会式はZDFが中継しました。前回東京大会のスタジオはレインボーブリッジをバックにして畳や襖をイメージしたスタジオでした。

東京大会より

しかし今回はあまり趣向を凝らしたものとはなりませんでした。

同じくオリンピックを中継しているARDの時は同じスタジオで照明やデスクを変えているようでした。

前回の開会式イントロ映像(ZDF)

今回の開会式イントロ映像(ZDF)


カナダCBC

今回私が見た中で唯一、イントロで漢字をデザインに組み込んだカナダCBC。

開会式のスタジオは前回東京大会と同じスタジオのように見えましたが、今回はアイスホッケー専用の別スタジオを新設したようです。

アイスホッケー専用スタジオ


オーストラリア Seven

最後はオーストラリアの地上波、Sevenネットワークです。他の放送局とは違い、多くのスタッフを現地に派遣したということです。


今回は冬季オリンピックのクリエイティブをご紹介しました。同じコロナ禍の状況とは言え、前回の東京大会とは大きく雰囲気が違う冬季オリンピックとなりました。それだけ対立が深刻であることを表しているのです。


前回東京大会のクリエイティブについて詳しくはこちらをご覧下さい。


(Courtesy: NBCUniversal, Eurosport, BBC, France TV, ZDF, ARD, CBC, TSN, Seven Network)

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