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Liquid Democracy

液体民主主義“liquid democracy”という言葉を耳にしたことはありますか?

端的に言えばこれは「直接民主主義と間接民主主義の弁証法から生まれた新しい民主主義」です。

直接民主主義といえば古代ギリシャ世界のポリスでアゴラで行われていた民主制のイメージが強いかと思います。(少なくとも僕は高校の歴史学で学んだときから以降現在までそのイメージです。)しかし、現在例えば日本で、1億人以上が関わって国政レベルでこれを行うのは物理的に無理です。

一方、間接民主主義は現在ほとんどの民主主義国家で用いられる形態で、非常に効率はいいんですが、政策レベルにおいては国民の意思は正しく反映されていません。(選挙である政党を選んだとしても、一つの政党の全ての政策を全て支持するという人はあんまりいませんよね…)

そこでドイツで生まれた液体民主主義という民主主義形態では、一人一人が直接政治に参加することも、また投票権を他人に移譲することもできるんです。

これはなんのためにやっているかというと、簡単に言えば、だれでも平等に法案を起草し、提案することができるようにすることで政治に流動性をもたらすためです。提案された法案は参加者全体に共有され、参加者は自由に草案の改正案や代替案を提出することができるため、液体民主主義はつねにイシューベースで、代表者が任期中にほとんどの政策決定をする間接民主制とは大きく違います。

また、政治において個人がどの程度意思決定に携わりたいかを自身の手で決めることができるというのも画期的です。社会も一つの組織であるということをふまえたうえで抽象化すると、液体民主主義は「組織における意思決定のDX」とも言えます。

僕の所属するPHIチームでは、そんなLiquid Democracyを実現すべくチームメンバーで開発した“GUILD VOTING”という投票システムを参政党という政党内の意思決定プロセスに使っていただいています。(詳しくは下記URLの参照を願います。)

このような投票システムを国政レベルにまで引き上げることはまだまだ非常に困難です。しかし、21世紀になった現在、18世紀から、起源的には古代ローマから続く民主主義に、テクノロジーによるDXがもたらされる日が必ず来ると信じています。10人にも満たない僕らのチームがそれを実現できたらカッコいいんですが、それよりも早くどこかの企業が開発してそれが世に広まったとしても、それでも僕は心から嬉しいですし、それは誰もが暮らしやすい理想的な社会への大きな躍進となると信じています。


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