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連載小説「憂鬱」-4 初めてのバレエレッスンに身体が反応してしまう

美里の家は高層ビルの頂上に位置し、ブルックリンからマンハッタンの摩天楼が一望できるペントハウスだった。彼女は初めてのバレエレッスンのため、ユリアを招待した。

レッスンは広々としたリビングルームで行われた。窓から差し込む夕日が部屋に柔らかな光をもたらし、美里が丹念に育てている白い鉢植えのポトスの緑が映える。

雰囲気は穏やかで温かかった。ユリアは美里に基本的なポーズや動きを教え、彼女の身体のリズムに合わせて指導した。

最初の動きは簡単なものだった。軽やかな足取りでリズミカルに歩くことから始まり、次第に腕の動きやバランスの取り方を学んでいく。ユリアの指導は的確でありながらも優しく、美里は彼女の言葉に集中し、真剣に取り組んでいった。

すると、突然のことだった。ユリアが美里の腰に手をそえ、彼女の姿勢を整えようとした瞬間、美里の体がビクリと震えた。

ユリアの細くしなやかな手で、くびれの衰えかけている腰を触れられた瞬間、身体が勝手に反応してしまったのだ。自分の反応に戸惑い、内心で驚きを隠しながらも、動揺を打ち消すようにユリアの指導に従った。

ユリアは美里の身体に手を添えたまま、彼女の姿勢を微調整していく。彼女の手は柔らかく、しかし確かに美里の身体に触れていた。その触れられる感覚が、美里の心をさらに乱れさせていった。

彼女たちはレッスンを続け、次第に身体のリズムが合っていく。美里はユリアの指導に集中し、彼女の優雅な動きに魅了されていった。彼女の美しい姿勢や優雅な動きは、まるで空中を舞う花びらのようであり、美里は彼女の魅力に惹かれていくのを自覚した。

その日のレッスンが終わり、美里はユリアに感謝の言葉をつたえた。
「ありがとう。いつもと違う筋肉を使ったり、姿勢を整えることで、とってもスッキリしたわ。まるで自分じゃないみたいな感覚よ。」

「まだ美里さんは筋力もあるので、バレエを続けていくことで、身体の可能性を広げることができるって思います。これからもバレエを続けていきませんか?いつでも私が指導に来ますよ。」

「えぇっ、本当に?」
「はい、もちろん。」

ユリアは微笑みながら、今後のレッスンでさらに美里をサポートしていくことを約束した。彼女たちは笑顔で抱き合い、この新たな友情が美里の人生に新たな光をもたらすことを予感したのだった。

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