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支援級の先生と関係性を築くための話し方


小学校や支援学校に入学すると、学校の先生と話す機会が多くなります。

学校での支援内容には、担任の先生の考え方が大きく影響します。

そのため、先生と、どのようなやり取りをするのかが大切になってきます。



小中高の12年の間には、子どもの見立てや療育の方針について、親と先生との考え方に隔たりが生じることもあります。

その隔たりを埋めるためには、やはりコミュニケーションをとっていかねばなりません。

そのことが、ときにストレスに感じる瞬間もあるでしょう。

就学以降は、『先生とうまくコミュニケーションをとる』ということが大切になってくるのです。



僕も子どもが小学校に通っている期間、何度も先生と協議をしてきました。

ときにはうまくいかないこともありましたが、繰り返すうちに先生との関係性を構築するコツみたいなものが掴めてきました。

子どものことを、先生に「自分ごと」として考えてもらえるようになれば、学校との交渉はラクになります。

その方法について話を進めていきます。




まず、前提条件として認識しておくことがあります。

それは「学校の先生は発達障害の専門家ではない」ということです。



先生は、発達障害についての知識をあまり持たれていません。

これは、先生方の努力不足というわけではなく、義務教育のシステム上、普通級と支援級を区別することなく勤務されることになっているので、仕方のないことなのです。

そのための「障がいのことをわかってくれてない」という不満を持つことには、ほとんど意味がありません。

むしろ必要な情報は親の方から提供していく必要があるということです。

その前提条件を踏まえた上、コミュニケーションの進め方を考えていきます。







①先生をリスペクトしていることを伝える


親が子どものために必要だと感じて伝えたいことがあったとしても、先生の中で「重要ではない」と認識されてしまうと、そこで話は進まなくなります。

つまり、こちらの話を聞くモードになっていただく必要があるのです。

そのために必要なのが「リスペクト」です。



なぜ最初にリスペクトが必要なのか。

それは人は自分のことを認めてくれている人の話を優先して聞きたくなるという習性を持っているからです。

何人もの父兄と話をされているなか、「この生徒の親は自分を認めてくれ、頼りにしてくれている」と認識してくれれば、それだけ耳を貸してくれやすくなります。


そのために必要な声かけは

「いつも先生が〇〇してくれるおかげで、子どもが〇〇することができています。とてもありがたいと思っています。」

という内容です。


〇〇の部分は、本当にそう思えることを探して伝えてみましょう。

どんな先生でも、子どもにとって良いことをひとつはしてくれているはずです。

それを探して伝えることで、親自身も本心から感謝の気持ちを伝えることができます。



②子どもの発達の状況を伝える


次に伝えることは「子どもの情報」です。

前述したとおり、先生は発達障害の専門家ではありません。

そのため、発達障害に配慮した教育に必要な情報を提供することが必要になります。



具体的な内容としては、「診断名」「できることと難しいこと」「自宅で行なっている対応方法」などです。


それを伝えるための声かけは

「病院では〇〇という診断を受けています。家では〇〇のようなことがあるのですが、担当のリハビリの先生からのアドバイスで〇〇して対応しています。今後は〇〇が心配です。」

という感じです。


ポイントは専門家から見た症状と解決策をさりげなく伝えるということと、今後親自身が心配していることを最後に付け加えるということです。

専門家からのアドバイスは、先生にとっても問題解決の糸口になりますし、解決の具体例を先生とシェアすることで対応の知識も共有でき、今後のやりとりがしやすくなります。

そして、最後に心配ごとをつけ加えることで、先生に取り組んでいただきたいことを、さりげなく伝えることができます。



③先生から見た必要な支援を尋ねてみる。


うまく先生に子どものことや親の心配ごとを伝えることができたら、その情報を元に先生自身が考えた支援の内容を尋ねてみます。 

そのための声かけは

「先生はウチの子どもに、どのようなことが必要だと思われますか?」

ということばです。


ポイントは親の要望を伝えるのではなく、先に先生自身に考えてもらうということです。

親からの「こうしてほしい」という要望だけで動くことには、仕事とはいえ若干の「やらされ感」が付いてきます。

それに配慮し、親から先に尋ねられることで、生徒の療育に対する答えを「自分ごと」として考えることができる機会になります。

先生自身で考え出した結論は、「自分がやるべきこと」として認識されるため、優先して取り組みやすくなります。

先生が「こういうことが必要だと思います」と言ってくれたら、その内容については継続して取り組んでもらえる可能性は高くなるのです。


もし複数のことを先生が取り上げてくれた場合には、「どれが1番重要だと考えますか?」ということも尋ねてみましょう。

先生は複数の生徒のマルチタスクに追われているので、どこに注力すべきというところまで決めてもらう必要があるのです。



④考えてくれたことに感謝を伝える。



③の質問に答えてもらった内容が、もし期待した内容で帰って来なくても、

「ウチの子どものことをきちんと考えてくれていて、ありがとうございます。先生が担当してくださって安心です。」

ということを言葉として伝えてみます。


ポイントは「否定しない」「感謝で終わる」ということです。

人は自分で考えたことを即座に否定されると、どうしてもやる気を失ってしまいます。



先生とのコミュニケーションで大切なのは「関係性を築く」ということです。

良い関係性が築ければ、問題が起こったときに、すぐ先生に伝えやすくなります。



何度か繰り返すコミュニケーションの機会を布石にしながら、有事の際に意見交換がしやすい関係性を築くことは、長い目で見れば、学校で行われる療育に親の意見が反映されることにつながるのです。

なので、親の多くの要望を一度に伝えるのではなく、「専門家のアドバイス」を踏まえた形で、少しずつ伝えていくのが良いと思います。



どうしても先生の答えが期待から離れすぎていて、納得するのが難しい場合には「先生のおっしゃるとおりだと思います」と一旦肯定したうえで「あとひとつだけ、こういこことにも取り組んでいただけたら、親としてはとても安心できます。」という形で伝えてみましょう。


まとめ
①先生をリスペクトしていることを伝える
②子どもの発達の状況を伝える
③先生から見た、必要な支援を尋ねてみる
④考えてくれていることに、感謝する。


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