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面談の失敗はいつも始まる前に

才能とは己の能力を証明する力のコトだ

ブルーロック 絵心甚八

ブルーロックの絵心さん。総監督的な位置なんですがこの人こそがエゴイスト。自分の目標、日本を世界一に導くために高校生の夢や希望を簡単に潰していきます。ただそこにはロジックがあって強い選手、チームを作る仕組みがあります。面白い。

今回は組織作りの最も基本的な部分。関係性の質、部下との関係性を改善していくための面談、いわゆる1on1について記事にしていきたいと思います。
私自身が0から部門から立ち上げて約10年のマネージャーの経験でたくさん失敗してきました。人を育てること、部下と関わること、組織をつくること。最初は何もわからず、とりあえず「ちゃんと説明すればわかってくれるでしょ」ぐらいの気持ちでマネージャーとして仕事し、何度も組織壊滅の危機に立たされ、その度にいろんな人に相談し、様々な本を読み勉強してきました。

以前の記事で


1U1(ラポール形成優先の1on1の名称)について触れましたが、私はこれを意識することで上司として再現性がある関わり方ができ、少しずつ部下に信頼されてきたように思います。部署や組織をまとめるような立ち位置になって苦労されている方に少しでも参考になれば幸いです。

読んでほしい人


・はじめて部下をもつ方
・組織づくりがうまくいかない方
・面談のやり方に悩んでいる方

結論


そもそも面談はなんのためにするのかという「目的」の部分をお互いが共有しておく必要があります。え?それだけ?と思われるかもしれませんが、これ意外とズレていることが多いです。ちなみに半年に1回や1年に1回の目標確認の面談や評価内容を伝える面談と1on1は分けたほうがいいです。これの理由も目的が曖昧になるから。なんとなくはじめてみて、ダラダラ話す、決められた用紙通りに実施していくと「愚痴を聞くだけ面談」「雑談で終わる面談」「業務連絡だけ面談」のように「もったいない面談」になってしまいます。
そうならないために気を付けておくべきポイントを4つにまとめます。

まず面談1on1はなぜ必要か。


理由は2つあります。1つは部下との信頼関係の構築のため。もう1つは方向性、ベクトルを合わせるためです。1+1=2の成果では意味がありません。いい組織になれば1+1=3にも4にもなります。


そのために社長の頭の中の言葉、もしくはその組織のトップの頭の中の言葉を言語化する必要があります。つまりMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)。


なんのために組織があるのか、その組織で何をするのか、その組織で大切なことはなにか。それらを言語化し「あるべき姿」をつくります。私の感覚として職員が10人ぐらいまでならなんとかなる、というかなんとかなりました。でもそれ以上増えると把握するのが難しくなります。MVVは難しい言葉を並べるというよりも、いつもトップが言っていること、考えいること、思っていることを言語化しておく必要があると思います。
それを設定した上での面談です。ここからポイントの説明をしていきます。

ポイント①上司としての前提


マネージャーや上司と部下との信頼関係。これが築けていなければ、どれだけかっこいい言葉を並べても全く響かないしら指摘しても反発されるし、褒めても不審がられる。「こいつ(上司)に評価されたくない」そう思われたら終わりです。信頼関係は必須だと思います。
それは自社のこだわりがあっても当然いいと思います。私が考える前提条件としてはマインド的な部分が3つ

①上司自身が成長しようとする姿が見えるか
②自社のMVVに賛同している
③部下の成長を願っているか

さらにあったらいいものは2つ

④有能さ(技術や能力の高さ、仕事の実績)
⑤あたたかみ(人間性)


これらを兼ね備えていることが理想だと思います。
有能さとは技術や能力、仕事の実績なので定量的でわかりやすい。でもわかりにくのはあたたかみとは人間性な部分。どうしても定性的になってしまいますが、具体的には「偽りがない、弱みを出せる、一緒にいて安心できる、感情的になり過ぎない、部下の成長のために時間を使える」等です。

MVVが曖昧な小さい組織がよくありがちなのは部下から「私は部下の育成に興味がない」「自分は専門家として仕事を極めたいからその仕事しかしたくない」と言われることです。その理屈を通すにはいわゆる仕事を自分が選べる状況にならないといけないため自分が経営者になるしかありません。(個人事業主なら可能ですが経営者になった部下育成は必須ですが…)。会社に所属している以上は会社に貢献することが仕事になります。特に専門職だと若い時期から先生と呼ばれ「出来る人=権限がある人」のように勘違いされることが稀に発生しますが、これは早めにルール設計を変更するか、教育体制を見直す必要があると思います。

ポイント②目的の共有


まずは全体の流れはこんな感じです。


面談ではなんと言っても双方の目的を明確にすることが最も大切です。この面談の目的はなんなのか、ということを事前に決めておいて話しを進めることでかなりの確率で有意義な面談になると思います。
ただ、事前に決めると言っても業務時間がない。私もそうでした。その時に以下の項目に絞って事前に丸をうってもらうだけでもいいと思います。

・業務の進捗
・今後のキャリア
・人間関係
・スキル向上
・会社の方針
・その他

事前に面談の内容を共有する

ポイント③面談中の傾聴


面談中はなんといっても「傾聴」。聞くことに徹する。経験上、こちらが聞いていない、他の考えごとをしているというのは気づかれやすいように思います。傾聴にもいろいろなテクニックもあると思いますが、まずはこれだけ。相手の目を見て、うなづき、自分の意見をまとめようせず話に集中する。これに尽きます。
あと、言葉だけではなく聞く態度(マイクロアグレッション→小さな攻撃)にも十分注意してください。メラビアンの法則でもわかるように些細なことが
自分の意見は相手の話しを聞き終えてからです。あと私もよくやってしまうのはこちらの意見や問題点を伝えるタイミング。自分が言いたいタイミングではなく「部下自ら問題に気づかせるようにする」ことを意識します。そのため問いを多くしなるべく語ってもらうことが重要です。

また面談の具体的な質問について、私が使って良かったものを紹介します。

・目的設定:
「事前に決めた内容以外で話したいことがあれば遠慮なく言ってください」
「今日の時間の中でどんな事が手に入るとよいですか?」
・現状確認:
「今一番課題だなと思っていることはどんな事ですか?」      
「手を付けたいけどまだ手がつけられていない事は何ですか?」
・目標設定:
「今年チャレンジしたいことはどんな事ですか?」
「最初の第1歩は何から始めますか?」      
「その目標で私がサポートできることを教えてください」
・問いについて
「なぜ?」を多用しない
「どうしたらいいか一緒に考えてみよう」と上からではなくフラットな会話を目指す

質問の具体的な内容


あと面談中に話題に困ることありませんか?特に部下が入社初期のころお互いのことを理解できていないので私はよく「まずい…話題がない…」という状況に陥りました。そんな時に使うのがこれ。

①ロール・モデルでは、クライエントの少年/少女時代に、尊敬したり、あこがれていた人物について聞くことにより、「ありたい」という自己概念を言葉にしてもらうとされている。②雑誌では、定期的に読んでいる雑誌、あるいは定期的に視聴しているテレビ番組について聞くことにより、興味のある職業や居心地のよい仕事環境を言葉にしてもらうとされている。③お気に入りのストーリーでは、お気に入りの小説や映画を尋ね、そのストーリーを聞くことにより、①の「ありたい」という自己概念が、②の興味ある職業や居心地のよい仕事環境と、どのように関わるのか、を言葉にしてもらうとされている。④モットーでは、クライエントに、お気に入りの座右の銘やことわざを聞くことにより、自分自身に対する効果的な助言を意識してもらうとされている。⑤思い出せる最も昔の記憶は、クライエントに、思い出すことのできる最も昔の記憶を聞くことにより、クライエントのおおもとになっているストーリーを意識してもらうとされている。先入観やこだわりに相当すると考えられる。


部下の内省も促すことができますし、なによりどんな人物かを理解するのに役立ちます。

ポイント④上司が振り返りできる環境


面談の問題点は「部下のためのもの」になってしまい上司側がこのやり方で合っているのかがわからないことだと思います。そして1対1のため文章の記録は残ったとしてもブラックボックス化しやすい。そのため必ず面談での上司の対応がどうだったかということ振り返りできる環境をつくることをお勧めします。やり方は無記名のアンケートがいいと思います。無記名アンケートだと結構キツイ内容がありますが、これがないと、そしてこれを解決しないと組織内の不満が溜まり、溜まった不満は爆発します(←経験済)

おまけ

①マネジメント層の成長促進のための仕事の理解
②新入職員に求めること(リアリティショックを避ける)
についても書いておこうと思います。

①マネジメント層の成長促進のための仕事の理解


細かいところですがマネージャーとしての目線で大切だなと思ったことを伊藤洋一さんの研修資料を参考にまとめます。

①ゴール設定をしてチームに共有する。
②プロセスを明確にして導く。
③安心安全な職場にする(心理的安全性)
・メンバーに興味をもつ 
・気にかけてもらっている、認められていると思ってもらうこと
・相手視点で話す 
・いきなり上司からの「調子どう?!」は信頼関係があれば別ですが正直しんどいです。「困っていることは?」「サポート必要なことある?」が無難かなと思います。
④個人の能力と才能を解き放つ
マネージャーの仕事は「部下の強みを把握しそれをチームに活かすこと」だと思います。このために必要なのが効果的な面談です。

②新入職員に求めること(リアリティショックを避ける)


入社前の面接。小さい組織だととりあえず人が足らないから誰でもいいから来てほしい…となり面接自体が形だけになってしまいがちです。面接~入社までのフローが明確ではなかったり、MVVが定まっていなかったりすることもありますが、最も避けたいのはリアリティショック。これを避けるために注意しておくことは3つにまとまるかなと思います。

・既存の職員とうまくやっていけそうか
・会社の大切なことを理解できているか(MMVの理解度)
・素直で会話はスムーズに出来るか

今まで多くの方の入社時面接をさせていただきましたが、スタートばかりの部署や小さい組織だととりあえず人が足らないから誰でもいいから来てほしい…となり面接~入社までのフローが明確ではなかったり、他の業務に追われ忙しく面接自体が短くなってしまったりと、相手のことがわからない。そしてトップが自分で面接をやっている時はまだいいですが部下に入社面談を任せないといけない…そんな時は簡単にして「素直で会話はスムーズにできるか」これだけを見て欲しい、と頼んでいました。面接する側が慣れていないといろいろ考えながらの面接するのは難しいですが、相手が①会話の中で一方的に話をしていないか②質問に対しての答えにズレはないか程度は最低限確認したいところです。

もう少し言うと「既存の職員になるべく多く会ってもうらこと」です。時間がなければ面接者を現場へ連れていくだけでもいいです。どうしても面接した後は「情」みたいなものが乗っかって偏った見方になりがちなので、多くの人の視点からどう見えるかというのもの迷った時に参考になります。

基本的に小さい会社への転職となると、ありたい姿や目標を掲げて転職している人は少ない印象です(本人は言わないですが…)。むしろ人間関係の問題や会社への不信感で、というほうが圧倒的に多い。そしてこちらの評価を気にして本心を言えない。正直、面接って意味あるのか?って思ってた時期もありましたが、本音を引き出すことを目的にせず、「素直さ」にフォーカスした面接のほうが成功率が高いように思いました。

まとめ

今回も長くなってしまいましたがポイントは4つ。

①上司としての前提設定する
②面談の目的の共有する
③面談中の傾聴
④上司が振り返りできる環境

これが正解だと思っていませんし、やり方はそれぞれでいいと思います。ただある程度、自分なりのスタイルというか、考えをもっていたほうが迷いが減るため少しでも「こうすればこうなった」のようなナレッジをためていくことが大切かなと思います。
部下の育成も組織づくりもうまくいっていない時はなにか原因があると考え続ける必要があります。ですが、一人で考えても必ず行き詰ります。そんな時は結局同じ部署の部下に直接聞いてまわるのがオススメです。耳が痛いことを言われることさえ覚悟しておけばほぼ原因がわかりますし、自分の弱み(組織づくりがうまくいかない)を出すことによって距離が近くなることもメリットです。ただしこれ、やりすぎると信頼されなくなるので注意です(←経験済み)。

最後に、これから「組織アイデンティティ」も重要な時代だと思います。私たちは何者なのか、なにを追求するのか。これがMVVや事業のケイパビリティと紐づいていくことでさらに組織が良い方向に進むと思います。そういったこと会社全体で考えられる組織づくりをしていきたいと思います。

長文にお付き合いいただきありがとうございました。

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