見出し画像

医師起業日記_vol.18_うまくいってそうな人を無自覚に非難してしまうワケ

「キャンセル・カルチャー」という心理現象

「◯◯はなんだか怪しいことをやっているらしい」

誰かが発信活動をしていると、そこには必ず一定数の非難・批判の声が群がる。Xではずいぶん見慣れた光景だ。俗にいうレスバに発展したりもする。

こうした非難・批判の声に関しては、少数ながら建設的なものも含まれている。これはある種彼らにとってのフィードバックだから、悪ではない。何事も、賛否あってこそ健全だ。


しかし、大半は「建設的に見せかけた単なる嫉妬」「足を引っ張りたいだけ」に見えるのではないだろうか。彼らは嫉妬しているという自覚もない、もしくはあっても"ないフリ"をする。

この手の非難・批判をするのは大の大人がほとんどなので、やっぱり自分や他人に「それ嫉妬だね」なんて言われたくないだろう。あたかも「自分がマトモ側」という風に見せたいのが人間の心情というもの


なぜこの記事を書いてみようと思ったかというと、元々そこそこ仲の良かった人からのそんな声を巡り巡って耳にしたことがあるからだ。

とはいえ、自分は敏腕経営者でもなければインフルエンサーでもない、零細事業家だ。非難・批判しようにも、取るに足らないだろう。

また、自分自身、うまくいっていない時にそのような非難・批判が、時折顔を出しかけることもある。今は「内省のタイミングだ」と自分を省みることができるが、昔はその非難・批判感情を口に出してしまうこともあった。

個人的に「うまくいっているように見える人を非難・批判する」というこの行動は結構興味深い。心理学的にも有名な現象(キャンセル・カルチャー)としても知られているので、解説してみる。


非難・批判はよくないことなのか

そもそも、非難・批判をすることにはほとんどメリットがない

組織として対立したコンセプトをもつ別の組織を否定する場面や、選挙活動を含む公的な討論の場でもない限り、デメリットがあまりに大きすぎる

非難・批判のメリット
一瞬自己肯定できるので快楽ホルモンが分泌され、愉快になる

非難・批判のデメリット
自分への否定だと脳が誤認して、幸福度を下げる
 ∵脳は原則、言葉が"誰に向けられたものか"を認識できない
"非難・批判を口にする自分"というセルフイメージが定着する
 周囲に似た属性ばかりが集うようになる
聞いている人からの印象が悪化し、人間関係に水面下で支障が出る
 一見同調しているように見えても気付かぬうちに離れていく

こうして見るだけでも非難・批判をすることの意味が乏しいことがわかる。

ちなみに、非難・批判をすることの最大のデメリットは『コンフォートゾーンが低迷すること』にある

コンフォートゾーンとは、端的にいえば「セルフイメージ=自己評価」のようなものだ。コンフォートゾーンは、一般に三つの要因で規定される。

  1. 多く時間を共有する人間関係

  2. 普段無意識に自分に対してかけている言葉

  3. "心からこうなりたい"という鮮明なゴールイメージ

このうち、1. と2. を邪魔してしまうのが『非難・批判を口にすること』だ。どんなゴールイメージを描いていても、それを台無しにする破壊力がある(ネガティブはポジティブの数倍の影響力がある)。

コンフォートゾーンが低下することは「自分は根本的には大した人間じゃない」と言い聞かせ続けるようなものなので、その後満足のいくゴールを達成することは極めて困難になる。


なんで非難・批判したくなるのか

「自分は満たされきっていないのに、この人はなんだかうまくいっているようだ。自分は今のままで変わる必要はないはずだから、この人を非難しよう」

ここも何となくお気づきの方がほとんどだとは思う。しかし、最も厄介なのは、口にしている本人は「自分はその心理には当てはまっていない」と認めたがらないことだ。

非難・批判したくなる心理の原因は、必ず「自分はもう根本的に変われない」という心の底にある信念だ。ちなみに変われないとは、物理的な話ではなく、心理的な話も含んでいる。

経済的には問題ないところにいるはずなのに、心理的に変わることができず、そうした行動をやめられない人というのは非常に多い。

こうなってくると、非難・批判をしてしまう心理というのは、解決が非常に難しいものだとわかる。本人が自覚できない・気付けないなら、誰が直せるというのだろう。


ちなみに、この手の心理および行動を繰り返してしまう人が、根本的に変わる方法は一つだけある。ただ、方法とはいっても自発的にするのは結構大変だ。


どうすれば無意味な非難・批判がやめられるのか

当人が「自分が変わらなければこの先満たされることは永遠にない」と痛感し、かつ変わらざるを得ないイベントに見舞われること。

人間は「心の底から変わりたい」「変わらざるを得ない」と思わない限り、変わらないようにできている。これは怠け癖などではなく、人間の原理原則だ。

こうした大きな内的な変化をうむためのカウンセリングやメンタルケアのような商材は、実は30代以降の人に売れやすい。20代にはあまり売れないのが一般的だ。

理由は「年齢を重ねると、自分以外の利害関係者(家族や部下など)との関係構築のため、変容を余儀なくされる機会が増えるから」だろう。

家族や部下との関係を幸福に維持するには、家族や部下に変化を強要する(上下関係を作る、圧政を敷くなど)か、自分が内的に変化するしかない。前者は無理があるので、後者をとるわけだ。

そのくらいないと、なかなか変わろうなんて思えない。


と、いろいろ書いたものの、自分も頭の中にそんな非難・批判が浮かぶことが時折ある。昔はこれにずいぶんと苦しんだというか、その怒りにとらわれてしまうことが多かった。

しかし、今はむしろ「自分を省みなさい」というタイミングであると考えて、内省に集中するようにしている。効果はテキメンなので、ぜひお勧めしたい。


走り書きだが、少しでも参考になっていれば嬉しい。


メッセージ

ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

記事を読んで少しでも興味をお持ちいただいた際は「スキ」「フォロー」をいただけますと嬉しいです。

今後ともよろしくお願いします!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?