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医師起業日記_vol.31_「青い鳥症候群」の若者が増える理由
青い鳥症候群
「自分にはもっとfitする仕事があるのではないか」
社会人になってから誰しも一度はそんな風に思ったことがあるはずだ。やっぱり仕事をしていると「自分はこんなことをやるために今の仕事に就いたわけじゃない」と思ってしまうこともしばしば。
そんな風に「自分には"青い鳥"たれる場所があるのでは」という夢想をやめられない人を、青い鳥症候群と呼ぶらしい。
最近は、これに似た相談をいただくことも増えてきた。やっぱりこれはどんな業界であれ共通のお悩みなんだなとつくづく感じる。
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この悩みを持っても「夢みがちなこと言ってないで地に足をつけないと」と自分でフタをしてしまう人も多いのだが、それはいただけない。「よりよくなりたい」というbetterを考えるのは大切だ。
ちなみに心理学的にも、bestを常に追い求める価値観を持つ人(マキシマイザー)は幸福度が下がりやすいらしいが、betterを常に追い求める人(オプティマイザー)は幸福度も高いそうだ。
とはいえ、この価値観にずっと囚われているとなかなか社会に適合できないのも事実だろう。そんな若者が増えているという社会現象も最近はよく取り上げられている。
いつの時代も多少はいたはずだが、今回は社会的背景からこの現象が拡大しているというのも事実だろう。今回は「青い鳥症候群の若者が増えている理由」について記載していく。
1. 昔より、なんでも思い通りになりすぎる
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一つ大きな原因とされているのは、利便性があまりに高まりすぎて肥大した、個人の「万能感」だ。
暑いならすぐにクーラーをつければ涼しくなり、お腹がすいたらすぐにコンビニによれば解消できるし、何か刺激が欲しければすぐにYoutubeをひらけば刺激はいくらでもある。
何せ、美男子・美女になりたければ、美容外科にいけばローンを組んでそれを叶えられてしまう時代だ。
昔はこれほど自由に欲求を満たすことができなかったため、思い通りにならないことへの「耐性」が自然とつくようになっていた。しかし、今はもう思い通りにならないことがほとんどない。
ただ、唯一思い通りにならないものがある。それは「他者」だ。この「他者」との関係性の中で不適合を起こした人が、青い鳥症候群と呼ばれるわけだ。
この他者との関係性が求められる場面で、「万能感」はとんでもなくジャマになる。そして、自分の中「耐性」VS「万能感」のバトルが始まる。
考えてみれば「なんでこんなしょうもないことでバトってるんだ?」と思える言い争いというのは、決まって「万能感」の対立だ。
この「万能感」を手放して「耐性」を身につけることが、ある種人として成熟するということなのだろう。
2. 人と簡単に比べられすぎる
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日本はもともと教育制度上、レールの上で比較され続ける学校環境だ。だから、昭和の時代から「人との比較」という苦しさは存在していた。
しかし、とはいっても「人との比較」が近所の同級生との間でしか行われないものだから、「自分にはもっと秘めたる可能性が」という確信を持ち続ける余地もない。
昔は目の前の仕事・家庭くらいしか向き合うものがなかったはずだが、今はスマホを開くとすぐに、あらゆる人と自分を比較できる。
そして「万能感」を持った若い世代が、この世界的な「人との比較」にさらされると見事に、青い鳥症候群が完成する。
また「万能感」は、対人関係の中で少しずつ健全に削ぎ落とされていくが、「人との比較」は終わりがない。中年でも同世代のインスタを見て羨んでいる人が大勢いる。
そうすると「自分もこうなれるはずなのに、こうなれていない」という気持ちが消えなくなる。それに向けてコツコツ努力できればいいものだが、逆に非難・批判などの形で気持ちを昇華させようとし始めるとタチが悪い。
今の情報社会で人間が感じるストレスは、戦後と同レベルらしい。それだけ多大な情報に晒され続けるというのは人間にとって苦しいことなのだ。
こう書いていると何だか若者は不幸みたいになっているが、青い鳥症候群に甘んじることなく生きていられるのであれば、むしろ選択肢が無限に与えられる良い時代だ。
良い時代に生まれたということで、「青い鳥症候群」のような状態に自分がならないよう注意しつつ、精進して生きていきたいものだ。
走り書きですが、少しでも参考になっていれば嬉しいです。
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