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グラフで見える〇〇の世界 メディア編


 ここでは、数字やデータが苦手な人向けに、グラフで見える〇〇の世界と題して、世の中に落ちているデータをちょっとだけ加工すると、新しい発見ができる!をTipsも交えてお届けします。なお、数字やデータを扱う際は、数学ではなく、”算数”を使っていますので、ご安心を。

1.テレビは、だれが使っている? 

 さて、今回は、テレビとネットってこれからどうなるの?について、メディアの利用時間調査を軸に、現在と未来を見ていきたいと思います。
 テレビと聞くと、多くの人がテレビは見なくなって、ネットばかり使っていると想起しがちですが、果たして、みんながみんな、そうなんでしょうか?以下の年代別テレビ受像機の総利用時間グラフを見てみましょう。

テレビ受像機の利用時間構成比
(年代別平均利用時間×年代別人口=年代別総利用時間)

結論から言うと、

テレビは、高齢者向けメディアに。

ネットは、老若男女みんなが使うメディアに。

 と当たり前にすぎる結論ですが、今回のポイントは、メディアの総利用時間についてです。上記のグラフは、2つのデータベースから作った年代別総メディア利用時間の構成比です。

①年代別人口 × ②年代別平均メディア利用時間
= 年代別総メディア利用時間

 ここで分かることは、2022年時点で、既にテレビが見られている総利用時間の半分は、50~60代のよって占められているということです。なお、このグラフは、テレビを見ている人数の構成比ではなく、テレビを利用している時間の総数というのがポイントです。

 実は、この概念はテレビメディアビジネスに関わる人にとってはとても重要なものなのです。というのも、テレビCMは、視聴率という単位で売買が行われているのですが、テレビの特性上、ネットのように見せる人を選定できません。つまり、視聴率の構成比は、テレビを多く見る人に多くの割かれているのです。そのため、出稿時にCM枠を選別しない限りは、テレビにCMを流すと、半分の予算は、50代以上のために使われるのです。もう少しこの辺詳しく知りたい人は、業界人間ベムとしても知られているこの世界の賢人、横山隆治さんのサイトも見てみてください。CMのフリクエンシー分析などが、まさにテレビCMを扱ううえでの知っておきたい内容です。

年代別のフリーエンンシー割合


2.テレビの未来は?

 では、もう少し未来についても見てみましょう。大きな傾向は変わらないのですが、ポイントは、いつ”閾値”を超えるのかです。未来に関しては、総務省が発表している将来人口と、利用時間は現在までの数値を基に、筆者の方で簡易予測したものを掛け算しています。そうすると、約10年後の2035年には、テレビの利用時間の7割強を50代以上が占めている世界が見えてきます。テレビ業界は、このままいくと、新聞と同様に、高齢層向けビジネスになって行ってしまします。

再掲:テレビ受像機の利用時間構成比
(年代別平均利用時間×年代別人口=年代別総利用時間)


3.ネットの利用実態は?

 テレビの利用時間分析と同様に、ネットも見てみましょう。以下のグラフで分かるように、どの年代も同じぐらいの総利用時間となっています。年々ネットリテラシーが普及して、誰もが当たり前のネット環境になるのがわかります。
 ただ、ここで留意してグラフを見てほしいのですが、このグラフは構成比です。グラフ上、どの年代も総利用時間は同じようになっていますが、年代によって人口と利用時間は逆の比率になっているのに気づきましたか?年代が下がるほどに人口が減っているので、若年になればなるほど、ネットの利用時間は多くなり、人口の多い高齢層は、ネット利用時間は若年よりは少ないのです。

 最後に、ここで取り上げたデータは、テレビ”受像機”の利用の話で、テレビ≒番組ではないので、ネットでテレビ≒番組を利用するのはこのグラフからは見出せません。ネットがファーストチョイスとなってくる時代に、テレビ局が、テレビの価値を放送波で流すテレビ受像機に置くのか、テレビ≒番組として、価値をどこに置くかで、テレビ局のビジネスもここ数年で大きく変わってくるのがわかります。

ネット利用時間(機器問わず)構成比
(年代別平均利用時間×年代別人口=年代別総利用時間)


4.Tips

今回のデータは以下の2つからグラフ化しています。
1.情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査(総務省)
ここから、テレビとネットの利用時間を年別に抽出。

2.統計ダッシュボード(総務省)
ここからは、年別の人口と将来予測値を抽出。

この2つをつかって、年齢の偏りが多くなっているメディア利用実態を端的に表現するために、構成比率によって、どの年代が大勢を占めているかをグラフ化。

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