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オーナー企業はかくあるべし? 大正製薬の動きが過激!

 ふとニュースを読み進んでいたら、2023年度の大正製薬の活動がちょいちょい目につくので、振り返ってみたら結構面白かったので、まとめてみました。

 大正製薬の最近の活動は、今の日本の企業にとって、一つ一つをとってもいい事例になっているので、現在進行性(2024年04月現在)でその後の株価やニュースとしてどうなっていくのかを見て、是非後学にしたいと思う。

さて、ビジネス的に後学となるポイントは、

1.事業の継続性
2.日本は非契約社会?
3.オーナー企業という独自課題


まず、大正製薬の活動を2023年度の活動を時系列で振り返ってみましょう。

2023年05月09日:早期退職の実施と完了。

 募集期間は、2023年5月9日~8月10日で、9月30日に退職実施。結果として、海外含めた従業員の約7%にあたる645名(募集定員の全員)が退職。

2023年08月04日:三浦知良選手への訴訟と敗訴とその後の檄文。


 以下のダイヤモンドオンラインの記事に経緯含めて詳しく書いてあるが、長年契約していたリポビタンブランドにまつわる契約で、不義理があったとして大正製薬が訴訟を起こすが、敗訴。しかし、敗訴に対して企業姿勢を発信する。

大正製薬リリース:株式会社ハットトリックとの訴訟についてhttps://www.taisho.co.jp/company/news/2023/2023080401.pdf

2023年11月24日:MBO の実施とその表と裏事情

 上場コスト圧縮などを理由に、日本市場における最大規模のMBO実施。安すぎるMBO価格に市場からも意見が算出していたり、そもそも上場廃止の背景がオーナー企業の懐事業だったりと、話題も多いアクション。オーナー企業事由を詳しく解説しているのは、以下の東洋経済記事を参照してみてください。

大正製薬リリース:MBO の実施及び応募の推奨に関するお知らせ
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4581/tdnet/2366976/00.pdf

2024年01月05日:転職した元社員への誹謗中傷に対する訴訟

転職した元社員を相手取り、現役社員たちに対して取ったコミュケーション、主に「転職した先はいいよ~、大正製薬だと××だったけど、転職した先は○○だよ」といった類の発言に対しての誹謗中傷を訴訟として起案。公判内容や判決文が出た後に判断したほうがいいですが、以下のデイリー新潮に書いてあるレベルで訴訟を起こされると、いわゆるリファラル採用という最近流行りの採用プロセスは機能しなくなりますね(笑)。

 と、2023年度だけでも、4件。結構なトピックスを提供している大正製薬。では、最初に触れたトピックスに分けて、昭和的な企業の立ち回りが吉と出るのか凶と出るのかの論点を見ていきましょう。

1.事業の継続性

 現在、大正製薬の業績は一進一退。売上は回復基調に来ている物の利益率は低迷を続けている。また、主役のリポビタンブランドは高齢化を迎えており、医薬品セグメントは2022年度から赤字を続けている。その対策として、株価が下がったこのタイミングでMBOして、次なる事業拡張に向けて自由度の高い状態に持っていきたいとするなら、理にかなった行動ともいえる。
 しかし、そもそもオーナー企業なので、中長期的な低迷や課題は、長らく責を負っていたのは自分たちである。後ろ向きにとらえると、一連の事象は、市場競争の失敗を、財務対策など事業外で処理をするステージに来てしまっているともとれますよね。

大正製薬HD【4581】の業績・財務
出典:https://www.buffett-code.com/company/4581/financial

大正製薬HDの売上及び利益率推移
大正製薬HDのセグメント別利益

2.日本は非契約社会?

 日本の広告ビジネスは、ながらく昭和なモデルで運用されてきていました。仁義って思いのほか大事にされてきた業界です。というのも、興行ビジネスから発生拡大してきた業界なので、明示的なリスクよりも、思いもかけない問題や事件が多いので、そういったものは持ちつ持たれつという暗黙の領域があったのも事実。詳しくは、前述の訴訟問題にふれる記事を読んでほしいが、その仁義にもとるとして起こした訴訟は、前後の契約経緯などを客観的に判断されて敗訴。。。日本の法律よりも上位に仁義がくるんだと訴える大正製薬は、古き良き時代を守ると映るのでしょうか?

 空気を読むのが大好きな日本人ですが、本件、私見を述べると、本件の対応は大正製薬の行動には分が無いでしょう。というのも、仁義に端を発して起こした行動ですが、対象にあるタレント契約の経緯(判決内容に準ずる)を見るに、大正製薬の都合による拡大解釈と判断されてもしょうがない。また、被告である三浦知良選手の版権管理会社の主張もうなずける。金銭が絡む、そして、法人という組織として動く場合は、明示的なルール内戦うは良いですが、負けた後に公に発現することのメリットは少ないとしか言えません。

3.オーナー企業という独自課題

 会社は誰のもの?と、古くから議論されているテーマですが、オーナー企業社長と話すとよく聞くのが、「社員が出ていくのが一番悲しい」ということ。ただ、はたから見ていると大きく2種類のオーナーがいます。一人は、出ていった社員が機を見て話しに来るオーナーさん。もう一人は残った身内に出ていった社員の悪口を言う。。。愛情の裏返しなんでしょうが。でも明らかに得をする行動は前者です。昨今、営業情報などを持ち出したなどと訴えられる事例もでてきていますが、今回の転職した社員を訴えた訴訟は、後者のように映ります。
 また、この問題前述していますが、もしこのレベルの訴訟が通ったら、リファラル採用が盛んになりつつある転職市場にも、影を落としますよね。

と、最近盛り上がっている大正製薬ですが、2024年も継続してトピックスを作ってくれるのか?はたまた、堅調に事業を持ち直すのか、後々振り返って、オーナー企業の立ち回りの成否見てみたいと思います。

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