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工芸建築論

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「工芸」から建築と社会を考える。建築は社会構造に規定されるのが常だが、建築が社会構造に働きかけることができるとすれば、それは何か。
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2020年8月の記事一覧

織物としての建築

織物としての建築

部屋の建築『ミューラー邸』

人類における最初の建築は、基礎を持った堅牢な構造物ではなく、人の身体を包む被覆であるらしい。

人類は悪天候や外敵から身を守る必要から、動物の皮や織物の布で覆いを作った。これこそが最初の建築を構成する部分であり、人の身体に近しい覆い=内部空間から建築は考えられなければならないと、ウィーンの建築家アドルフ・ロースは主張する。西洋を由来とする建築の文脈においては、建築の骨

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