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向かない魔力

前田裕二著・「メモの魔力」を読んだ。

著者がメモの力で苦境を乗り越えて成功したメソッドが盛り込まれている。

著者が力説するように、ハウトゥではない内容ではあった。

だがしかし、このメソッドは、個人的にはあまり刺さらなかった。

そもそも、これは「メモ」なのか?

「ノート」ではある。

「メモ」として殴り書きしたものをまとめる手段としてなら受け止められるが、「メモ」と呼ぶには重く感じる。

しかも、それを話を聞きながら取る。

かなり高度なマルチタスクに感じる。

私などがこのメソッドを実行しながら話を聞いたら、メソッドの実行に意識が向いて話半分になってしまう。

そもそも、人の話を聞きながらメモという流れに抵抗がある(会議や研修の記録を取るのは別として)。

目を見て、表情を読んで、口調の変化を感じながら聞かないと、話が入ってこない。あくまで私の場合だが。

さらには、このメソッドで夢を具体化すれば叶うという甘言。

まあ、何もしがらみがない若者ならそうなのか。

いろいろ抱えた私にとって、夢を叶えるために必要なことは、具体化以上に環境整備なのだ。

金銭面の不安を払拭し、妻の理解を一定得て、今の仕事を整理して、体裁を整える。

それは、何をどうメモしても変わらない。

結局は成功者が個人の成功譚を一般化した話としか捉えられなかった。

文中に出てきた堀江貴文氏の著作と同じだ。

自分の無力ぶりに落胆することしかできなかった。

巻末の自己分析1,000問も、最初の11問をぱっと見ただけで頓挫した。

幼少期における「理想」など記憶に全くない。

みんなあるものなのか?

そんなに中身のない時間を積み重ねて今の自分はあるのか?

空虚感に襲われた。

残念ながら、この魔力は、私には向いていないようだ。

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