樋口有介「僕はまだ、横浜でキスをしない」

高校生の桐布明生《きりゅう・あきお》は、母とは離婚して別れて暮らす父、遠野銀次郎《とおの・ぎんじろう》に呼び出され、娘と名乗る女性の存在を告げられる。
実際に会ってみて、姉弟だと思うかどうか感触をさぐってみて欲しいと依頼された明生は、その女性、能代早葉子《のしろ・さよこ》に会うことに。

警察官だという早葉子は明生に、10年前の銀次郎の盗撮事件を再調査していると語る。
大学を追われ、母とも別れることになったその事件を、銀次郎は当時から警察の陰謀と主張していたのだったが、早葉子はそれを裏付ける根拠をつかんだのだという。

一方、明生は町で1匹の野良猫に懐かれてしまうが、その猫は突然人語を話し、自分は人間の幽霊で猫の身体を借りているのだと打ち明ける。
事件か事故か、二十歳前後で命を落としたという彼女を成仏させるため、その素性と死因を調べる羽目に。

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軽めの青春ミステリ。
10年前の冤罪事件、猫のミケの素性探し、早葉子との血縁関係の確認、再会した幼馴染みの村崎明《むらさき・めい》とのラブコメ?と、色々盛り込みすぎにも思えたけど、軽妙な会話などのおかげか読みづらいと感じることもなかった。
良家の令嬢でミステリマニアというメイのとぼけたキャラも、ちょっといらっと来るところもあったけど、まあまあ。
楽しく読めた。

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