「学力」の経済学#番外編.1
いつも、心理学と行動経済学の記事を読んでいただきありがとうございます!
今回は、番外編として、東進ハイスクールの林先生も絶賛した教育経済学者の中室牧子さんの「学力」と経済学を読んで、記事にしようと思います。
この本は、私たちがなんとなく正しいだろうと思っている教育の仕方が本当に正しいのか?また、ベストな教育法はなんなのか?ということをエビデンス(証拠)をもとに紹介しています!
非常に面白い内容になっていますので、紹介します!
記事に関しては、本書が第1章から第5章やであるので、約1週間かけて紹介します。
では!早速!
本日は、第1章「他人の成功体験はわが子にも生かせるのか?」からいきますね!
教育は「一億総評論家」
私たちは、義務教育を受けたことがほとんどであり、全くの素人ということではない。
しかし、教育について、完璧に知っている人はおらず、あくまで、評論家なのである。
どのような教育がいいのか?
この問いは、教育される本人の特性や能力、環境など様々なよういうによって左右されるものです。
なので、誰かの成功体験は、所詮1つの事例に過ぎないのに、まるで全体を表しているかのように捉えてしまいます。
当然、誰かの教育法で成功したからといって、あなたの子供が、それで成功するとは限りません。
東大生の親の平均年収は約「1000万円」
文部科学省の調査によると、親の学歴や所得が高い方が、子供の学歴が高いことがわかっている。
子供を全員東大に入れたなどという話は、とても一般的とは言えません。
むしろ「例外中の例外」なのです。
しかし、教育の分野においては、このような例外的な個人の体験談ほど注目されがちのように思えます。
教育において信頼できるのは、たった一人の個人の体験談ではありません。個人の体験を大量に観察することによって見出される規則性なのです。
米国の「落ちこぼれ防止法」で111回も使われた言葉
そもそも、教育政策は本当に科学的な根拠が使われているのか?
そもそも、教育政策は本当に科学的な根拠が使われているのか?
米国の例を紹介します。
2001年にブッシュ政権下で成立した「落ちこぼれ防止法(Child left behind Act)」が、米国教育の転換点です。
この法律の中で、実に111回も用いられている言葉があります。
それが「科学的な根拠に基づく」というフレーズです。
次いで、2002年に「教育科学改革法(education Science Reform Act)」が制定されたことによって、教育政策にどれくらいの効果があるかと言う科学的根拠を示さなければならなくなりました。
科学的根拠に基づく教育政策とは、「どういう教育が成功する子供を育てるのか」ということを科学的に明らかにしようとする試みです。
経済学者が示す「エビデンス」とは
まず、「どういう教育が成功する子供を育てるのか」という、決して目に見えないものを数字で示します。
この数字は、客観的な数字であり、「学校での活気があふれた」や「満足しましたか?」というアンケートのような主観的な数字ではありません。
そして、効果を出すにあたっての原因とその効果である結果の関係性、つまり、因果関係を明らかにすることが大事です。
ここで1つの例を紹介します。
文部科学省は、「全国学力・学習状況調査」から、親の年収や学歴が低くても学力が高い児童の特徴は、家庭で読書をしていることだとされています。
学習状況調査」から、親の年収や学歴が低くても学力が高い児童の特徴は、家庭で読書をしていることだとされています。
ここから多くのメディアは「子供に読書をさせることが重要だ」と報道しています。
果たしてこの報道は正しいのでしょうか?
経済学的観点から考えると、正しいとは言えません。2つの理由があります。
第一に、読書と学力は、因果関係ではなく相関関係になっていることです。
第二に、「見せかけの相関」の可能性を検討していないことです。つまり、読書にも学力にも影響するような「第3の要因」があるかもしれないのに、そのことを考慮していないのです。
第一の理由は、以下のようになります。
つまり、「読書をしたら、絶対学力が上がるわけではないが、学力の高い生徒は読書をしている」ということです。
第二の理由は、以下のようになります。
つまり、「相関関係があるように見えて、実は別の要因が両方に与えている」というものです。
教育で「実験」をする
医療の現場では、「治験」と言う臨床試験をすることがあります。
経済学の場でも、教育の分野で効果があるのかないのかということを「実験」しています。
※実験の手法に関しては、この本書の「補論」で解説されているので、よかったら読んでみてください。
私の考え
私は、今年で4年目になりますが、塾講師をしています。
個別指導なので、生徒には、いつもこういっています。
「自分にとって、成績の上がる先生と上がらない先生がいるし、タイプもあると思う。だから、自分がこの先生の方がわかりやすいとか、成績が上がるってあったら、絶対言って欲しい!」と。
他の先生で、「俺は数学を大学で研究してるから、他の人よりも答えられるから任せてな」と言っている人がいました。
本書を読んで、なるほど、私がそれは生徒の成績と関係あるのかな?と考えていたことが明確なった気がします。
ここでサポートいただいたものは、全て私の母の病気への還元に使わせてただいています。