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営利企業と非営利企業のちがい

起業して、自己の利益だけではなく、何か少しでも世の中にプラスのインパクトを与えたいと思う人はきっと多いはず。

とくに昨今、スタートアップは社会問題を解決してなんぼ、という雰囲気も感じます。

では、社会問題の解決を目指すスタートアップは、どのような法人形態を取るべきか?社会問題の解決を目指すのだから非営利企業にしないといけないのか?

本記事では営利企業と非営利企業の概念について説明します。

「営利」とはなにか

営利企業と聞くと、何やら金儲けを企んでいそうな雰囲気がしますね。他方で非営利企業と聞くとボランティア、NPOなどを思い浮かべるかもしれません。

法的には、「営利」と「非営利」の分水嶺は、儲けた利益を分配することを目的としているか否かです。

たとえば、環境負荷の低いエシカルなアクセサリーを販売する事業を営んだとして、

その手残り(利益)を株主間で分配する(注1)のであれば、その会社は営利企業であり、分配しないのであれば非営利企業です。

営利企業の代表が、株式会社制度であり

非営利企業の代表が、NPO法人制度です。

ですので、上記のようなエシカルな事業を営んだとしても

それを実施している主体が株式会社なのであれば、法的には営利事業ですし、

NPO法人なのであれば、非営利事業と言うことになります。

では、営利企業、非営利企業、どちらの形態をとるべきか?

上記の説明からわかるとおり、ずばり、お金の出し手(創業者、投資家)が「キャピタル・ゲイン(注2)の取得を目的とするか否か」です。

外部からの資金調達を検討しているのであれば、たとえ社会的な事業を手掛ける場合であっても、営利企業形態をとっておいた方が良いでしょう。なぜならば、たとえばベンチャー・キャピタル(VC)から出資を受けようとしても、非営利企業の場合は、配当が許されないため、そもそもVCが出資できないからです(お金を出す理由がない)。

他方で、事業の公共性、社会性が極めて高く、資金調達の必要も特段なく、さらには起業家自身がキャピタル・ゲイン獲得にもあまり興味がない、ということであれば、非営利法人形態を選択することも十分視野に入ります。

ほかにも合同会社ならどうか、組合ならどうか、など、法人形態とキャピタルゲインの取得方法については様々なやり方、議論がありますが、この記事ではまずは基本を抑えていただく、ということで、また別の機会に。

今日も1万回の失敗と挑戦を繰り返す起業家・スタートアップのみなさんを応援しています。

注1)利益の分配をすることを、法的には「配当」と呼びます。

注2)資産を売却した際の差益のこと。株の場合は、10,000円で買った株を15,000円で売却できれば、5,000円のキャピタル・ゲインを得た、と言うことになります。


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