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友人・知人と一緒に起業するときの注意点(4)

前回の記事はこちら

なお、本記事は、小職が参加する士業団体「南森町スタートアップ・ラボ」(MSL)が2020/10/20 18:00-に開催した無料ウェビナー「MSL#3_友人・知人と一緒に起業するときの注意点〜創業者間契約ってなに?〜」の共同発表成果に大きく依拠しています。MSLの先生方ありがとうございました。

連載第1回で提示した事例をもとに、株式会社イソノ、カツオ、ワカメ、タラの身に何が起きるのかを解説していきます。

タラが株式会社イソノの株主として居座り続けると、会社の意思決定ができず、挙げ句、イグジットすら困難になるということを説明してきました。

では、どうすればよいのか。


創業株主間契約を締結しよう!

最大の問題は、創業チームが同じ方向を向けなくなり、誰かがチームを離れるというときに、そのメンバーが株式を保有し続けてしまうことです。

そこで、創業時に、創業株主同士で「この中の誰かがチームを離れてしまう場合は、〇〇が〇〇円で離れてしまうメンバーの株を買い取れるようにしておこう」と約束しておくのです。

誤解をおそれず、ひとことでいうと、これが創業株主間契約の趣旨です。


創業株主間契約は口頭でもいいの?

これはあまり世間一般では知られていない?ことかもしれませんが、日本の法律では、口約束も立派な「契約」であり、法的拘束力があります。

そのため、創業株主間契約も、口約束でも法的には問題ありません。

ただし、決して口約束はオススメしません。

まず、創業株主間契約が機能するのは、「創業チームの誰かがチームを離脱しようとしているとき」、すなわち、チームが何らかの理由でうまくいっていないときです。

そのようなギクシャクした関係性のときに「あのとき、おれが株を買い取るって約束したよね?」といったところで、お話にならない可能性が高いことは容易に想像がつくと思います。

さらに、これからみていくとおり、株を買い取るといっても、誰が、いくらで、どのような条件のときに買い取るのかといった、個別の事柄は、会社の行く末や大きなお金が絡む事柄であるため、かなりデリケートです。決して口約束で済ますことができるものでも、その内容を各自が正確に記憶できるものでもありません。

そのため、創業株主間契約は、かならず契約書の形で締結するようにしてください。


株式買取の具体的な条項は?

株式の買取条項は、具体的には次のようなものになります。

第X条(株式譲渡)
本契約の当事者(以下「退職者」という。)が会社の役員及び従業員のいずれの地位をも喪失した場合には、その喪失の理由を問わず、退職者は本契約のその余の当事者(以下「残留社者」という。)からの請求に基づき、残留者又は残留者の指定する第三者に対し、退職者の保有する会社の株式(以下「会社株式」という。)を譲渡するものとする。

第X+1条(譲渡価格)
前条の場合における会社株式1株あたりの譲渡価額は、退職者による当該会社株式の1株あたりの取得の価額とする。


こちらの詳細については、また次回に。

今日も1万回の失敗と挑戦を繰り返す起業家の皆さんを応援しています。


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