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意識研究、量子論、仏教の接点が見えてきた。気がする(その3ーこの世界の根本は関係性)

その2で私が書いたのは、
1)脳内のニューロン同士の相互関係という関係性、
2)我々の身体の外にある世界のモノ同士の関係性、
3)1)の関係性と2)の関係性をつなぐ関係性、
この3つは、世界の構成要素として根源的に違うのか、という疑問だ。

私は、この3つが根源的に違う、ということを指し示すような実験・観測事実は無いと思っている。それは、マッハが「感覚的要素一元論」を提唱した時以降も変わっていないのではないかと思う。

そして私のこの考え方は、Galen Strawsonが言うRealistic Monism = Real physicalims -> Panpsychismに近い。

Starwson は、Physicalim =物理主義を貫くんなら、意識も物理的に説明できなければならないと考えている。私もそう思う。が、多くの人は、Physicalim => PhysicSalism = 現状わかっている物理だけで意識のことも説明できるはず、という直観を持つ。この直観は一体どこから来るのか? 私からするとどこにその証拠があるのかわからない。一方で、physical と experiential は相当違う、というこのエッセイで問題にしている直観にも支えられている。そのせいで、この考えを持つ人は、experience =意識が存在しない、という結論を持っていることが多い。Dennettがその先鋒だ。もし、physical, experiential, その間の関係性、全ての根本は「関係性」なのだとすると、表題の話に通じてくる。Strawsonとは気があいそうだ。

Strawson には 2015年にSwedenの学会で一瞬だけ話したことがある。怖そうな雰囲気だったし、彼の話は難しかった。ランチの時に少し話しただけだったが、今ならもっと話したいこと・聞きたいことが山のようにある。私のIntegrated Information Theory でStructureを可視化するというプロジェクト(その後この論文になった)を10分くらいで話すという無茶なトークに、すごく好感を持ってくれたのが印象的だった。

Intergrated information theory (IIT) が予言するさまざまなコンポーネントは、上記の話と相当共通している部分が多い。この世界の色んなもの、おそらく、ほぼ全ての動物・虫・植物には、なんらかの意識 = phenomena があるという考えはpanpsychismに近いと多くが考えている。ただし、通常のpanpsychism とは違う。この辺はある程度詳しく私の本の6章に書いた。

IITは、これまでの話(通常の意識研究、量子論、仏教、現象学も含む哲学的なアイデア)とは、次元の違う一歩を踏み出している。他のアイデアと異なり、「どのような相互作用の構造が意識現象と関係性を持ちうるか」というレベルに話を進めている。私の印象では、他の人達のアイデアでは、意識にとっては構造や複雑性が大事だと言う場合は多い。が、そこで止まることが多い。ここからが、仏教の起源の2500年から進んでいないのではないか?

そして、クオリア構造プロジェクトでは、ここを攻めたいと考えている。とりあえず、Psychophysics実験で意識の関係性・構造を定量化・可視化する。Neural activityからIITを使って情報の構造を可視化する。そして、それらの間の関係性を、圏論を使って特徴づけるというアイデアだ。

時間はかかるが、少しづつ成果は出てきている。まぁ、2500年進歩なかった問題なんだからそんなにすぐに色々わかると考えるのは甘い。

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