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学校でフェイスシールドにマスクは本当に必要ですか?

学校でマスクにフェイスシールドをしている子ども達の報道がありました。内容を見ると、某町の小中学校では、すべての児童や生徒らに対し、フェイスシールドを配布して、授業を再開した。教育委員会は、25日に授業を再開した町内6つの小中学校すべての児童や生徒、教職員に対し、感染リスクを減らすためのフェイスシールド、およそ5,400個を配布したとのことです。

また、5/10付の読売新聞の記事では、マスクをつけて体育の授業をして、中国で中学生が3名亡くなったと報道されています。5/5付のHUFFPOSTの記事の内容も合わせると、3名のうち2人は、N95マスクをつけていたとのことで、N95マスクは気密性が高いので、必要な酸素が取り込めないのだと思います。1名は、一般のマスクだったそうで、一般のマスクでも酸素がたくさん必要な運動を行うのは、危険がありそうです。

現状、大人も5月末の涼しく感じる日でもマスクをつけて歩いているだけで、暑く感じます。
おそらくフェイスシールドにマスクをして1日過ごしたら、具合が悪くなる生徒もいると思いますし、少し具合が悪いからと取ったりするといじめられる可能性や先生も叱る可能性があり、心配です。

学校や教育委員会は感染症に詳しいわけではないので、リスクを減らすために厳しい内容になるのだと思うので、新型感染症なので分からない部分もありますが、医学の専門家の方の助言をもとに行政が適切な判断をいただければと思います。

日本医師会の有識者会議のサイトで、森内浩幸先生(長崎大学)は以下を述べています。
殆どの小児COVID-19症例は経過観察または対症療法で十分とされている。ただし、急性呼吸不全症例ではコンサルタントや転送のタイミングを逃さないように注意する。
小児の感染例が少なく重症化も稀であることである。さらに学校や保育現場で小児が感染源となったクラスターの報告が、国内外を通じて殆ど見られていないことは特筆すべきである。
https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/1235

また、一般的なコロナウイルスの流行の時期の報告を以下に示します。

人に感染する「コロナウイルス」は、7種類見つかっており、その中の一つが、昨年12月以降に問題となっている「新型コロナウイルス(SARS-CoV2)」。このうち4種類のウイルスは、一般の風邪の原因の10~15%(流行期は35%)を占め、多くは軽症。残りの2種類のウイルスは、2002年に発生した「重症急性呼吸器症候群(SARS)」や2012年以降発生している「中東呼吸器症候群(MERS)」。1)

重症急性呼吸器症候群(SARS:サーズ) 
・SARSは、2002年11月16日に中国広東省仏山市で最初の患者が発生したと報告されている。その後、香港、北京などから感染した人の移動によって、世界中へ運ばれ拡大して、大きな問題となった。2)
・WHO発表の全世界の感染者数(可能性例)は8,098名、死亡者数774名。2)
・2003年7月5日に、台湾での最後の症例が隔離されてから、平均の潜伏期の2倍にあたる20日が過ぎても新たな症例が発生しなかったことから、WHO(世界保健機関)は世界的な流行が終息したと宣言した。2)
・2002年11月から2003年7月5日までを流行期と呼んでいる。2)
・低温に比較的強く、高温に弱いことや、一般に用いられている様々な消毒剤で不活化されることも報告されている。3)
・感染経路は、飛沫および接触感染が主体。4)

中東呼吸器症候群(MERS:マーズ)
・流行国は、中東地域の7か国。5)
・特に高齢の方や糖尿病、慢性肺疾患、免疫不全などの基礎疾患のある人で、重症化する傾向がある。5)
・家族間や、患者-他の医療機関受診者間、患者-医療従事者間など、濃厚接触者間での感染も報告されています。主に、飛沫感染(咳やくしゃみなどによる)又は接触感染による感染であると考えられている。5)
・2012年9月~2019年11月末までに報告された診断確定患者数は2494名(うち、少なくとも858名死亡)。6)
・韓国で2015年5月~7月にかけて186例、死者36名のMERS症例が報告。7)
・2013年5月から2014年6月までのMERS流行曲線(総症例数802例)では、2014年5月に約370例のピーク。8)

出典
1) 厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html
2)国立感染症研究所 感染症情報センターIDSC http://idsc.nih.go.jp/disease/sars/QA/QAver2G003.html
3) 国立感染症研究所 感染症情報センターIDSC http://idsc.nih.go.jp/disease/sars/QA/QAver2-01a.html#ans2
4) 国立感染症研究所 IDWR 2005年第6号 https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/414-sars-intro.html?tmpl=component&layout=default
5)厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/mers_qa.html
6)厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/mers.html
7)厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000091924.pdf
8) 日内会誌104(1):114-119,2015 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/1/104_114/_pdf/-char/ja

舘田一博先生(日本感染症学会 理事長)の3/19付のNEWSWITCHの記事
新型コロナは遺伝子配列がSARSに似ていることから、気候が温暖になる夏前をめどに、ウイルスは一定程度減る方向に向くとみられています。ただ、南半球で流行が始まるので、人の行き来やクラスターの形成に注意が必要。

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