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2週間。

2週間ぶりの我が家。

な~んにも変わってない。

冷蔵庫の中。
2週間前に、食べた、野菜につけて食べるディップソース、
チップスに添えるサルサ、
お豆腐、
ニンジンやセロリも、たぶん2週間前に買っていたものと同じ。

夫と息子ふたりのこの2週間は、
きっとこの冷蔵庫の中のように、代わりなく、淡々と過ぎていったんだろう。
とても平和に。
穏やかに。
腐ることなく(笑)!

夫が私を待って、作ってくれた野菜たっぷりの、あったかいトマトスープを食べながら、私は今回の時差ボケは何日続くだろうかと考える。

私は、アメリカ人の友人と2週間、日本へ行っていた。

東京から始まって、箱根、京都、広島へ行く途中に、姫路城、そして大阪、奈良。

2週間の旅に決めたのは、JRパスという、外国人や、10年以上の海外移住者が使えるパスで、2週間JRに乗り放題だったから。
1週間、3週間、という選択もあったけど、1週間じゃ短いし、3週間は長すぎる。

でも、2週間。
55歳を過ぎてからの2週間の旅の感想は、
「ワタシのカラダ、お疲れさん!」だわ。

とにかくよく歩いた。
特に東京と京都での6日間。
観光客でいっぱいの人混みを避けるのと、日本での時差ボケで朝5時には目覚めるのを利用して、朝は6時から出かけた。

いくつものWOW!
いくつものKANPAI
を支えてくれたのは、ずっと元気にお付き合いしてくれたこのカラダのおかげ、としみじみ思った。

一緒に行った友人、サラとは18年のお付き合い。
お店の会計士として、紹介されて出会ったのが始まり。私たちは年齢も、子供の世代も同じだったこと、何よりお互い、大のワイン好きですぐに仲良くなった。

彼女は5歳のときに、海外旅行から戻ってきたおじいさんから一枚の絵を渡された。

その時に、世界には日本という国があって、富士山という山があるのを知った。
その絵を見ながら育った少女の潜在意識が、私と出合わせ、一緒に日本に来ることにしたのかと、今回の旅の間、何度も思った。お寺のお堂で座った時、富士山を目にした時、桜の花を見上げた時、彼女が涙をこぼすのを見るたびに、そう思った。

この絵は、私が初めて彼女のオフィスに行ったときも、飾られていた。

私たちは、お互い末の子供が高校を卒業したら、一緒に日本に行こうと、8年前に約束した。でも、子供たちが卒業してもタイミングはなかなか訪れなかった。

5年前に彼女が、私たちの住むカリフォルニアの町からノース・カロライナに引っ越すときに、愛妻家で、ユーモアたっぷりにいつも私を笑わせてくれていた彼女の夫が、マジメな顔をして私に言った。
「日本、行かなきゃだめだよ」と。

そのときに、サラが私たちの約束が果たされるのを、ずっと待っていることを知った。サラは何も言わなかったけれど。

去年の11月、
何となく、今かなと思い、
「来年の春は、日本ね!」
とメールを送ると、彼女は驚いて、そして間もなく旅行の予定を送ってきた。
私は彼女が行きたいと思うところは、出来る限り行こうと決めていたけれど、長野までは無理だよと伝えた。

彼女が日本で一番見たいものは、富士山と桜。
そして、ワインじゃなくて、お酒とたくさんのお魚を食べたいと言った。

毎年夏にはイギリスに行き、フランス語に堪能で、ヨーロッパの歴史に詳しい彼女が探索した日本のホテルは、ぜんぶ西洋風のホテルだった。
私はせめて一日だけでも、お部屋出しの晩ごはんと朝食のある、温泉宿に泊まろうと提案した。

そして移動に便利な、一番小さな機内持ち込み用のスーツケースにすることや、アメリカではまったく需要のないハンカチや、マスクの用意のこと、お札の大きい日本で、今、持っている財布で大丈夫なの?というサラの質問に答えながら、私たちは、旅行までの日数を数えて過ごした。

そして、羽田空港で待ち合わせて、5年ぶりの再会をした。
2週間前に。


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