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アフターダーク

大学の時に読んだ村上春樹のアフターダーク
ある女が寝ている部屋を、我々読者がテレビ画面から覗き込んでいる描写が印象的でした。
それまで忙しなく流れていた時間が、不意に引き延ばされたような、
そしていきなり静寂で、視点も変わり、やけに不気味で記憶に残っていました。
初めて読んだ大学生の私は、
ジム・シャームッシュのナイト・オン・アースみたいだ、と感じていました。
(みんなが寝静まった後も世界は回っているんだ、、、的な解釈で。)

ただ大人になった私は、この解釈は真意では無いのでは、と思うようになったのです。

というのも、
なかなか寝付けない夜、一人暮らしの私は、
ベッドの上で考え込んでしまっていたのです。
今から私は眠りにつくわけだが、
その間も本当に世界は動いていると言えるのだろうか。
意識があって、私が感じることで世界はある、と言えるのでは、
そんな考えが不意に頭をよぎったのです。
まさに我思おう故に我あり。
ただ、この論へのアンチテーゼとしてアフターダーク、村上春樹さんの登場です。
私が感知していない世界でも、私を見つめる視点が私の存在の立証。
あの不気味さは、自分の知らないところでも世界は回っていて、
自分が気づかない間にも、
世界という箱の中で私とともに時間は流れている、
というこの自分の無知さ、非力さによるものだったのではないか。

と、、、
はい、深夜東京の6畳半夢を見てた〜状態です。
ここまで考えれば、眠りに落ちれます。
寝不足のあなたにおすすめの哲学思考睡眠術でした。

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