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【中編】ラ・ギャラリー・ディオール(La Galerie Dior):パリで受け継がれるディオールの物語、ディオール本店併設の美術館
今回のnoteでも引き続きパリのラ・ギャラリー・ディオールの展示を紹介していきたい。
5.芸術との親和性( Les Affinités Artistiques)
芸術や文化に恵まれた環境で育ったクリスチャン・ディオールは、若い頃から画家や音楽家、映画制作者といった芸術家たちと親交を深めていた。
またディオールは、1921年の創業以降、多くの前衛芸術家たちの憩いの場となっていたル・ブフ・シュル・ル・トワ(Le Boeuf sur le Toit)にも足繁く通っていた。
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【前編】でも触れた通り、1928年には両親の希望に反して、美術商ジャック=ポール・ボンジャン(Jacques Bonjean)とギャラリーを開いたディオールは、アルベルト・ジャコメッティ(Alberto Giacometti)やレオノール・フィニ(Leonor Fini)などの若き才能を発掘した。
さらにディオールのギャラリーでは、マックス・エルンスト(Max Ernst)、パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)、ジョアン・ミロ(Joan Miró)、マン・レイ(Man Ray)の作品を展示したほか、詩人のジャン・コクトー(Jean Cocteau)、イラストレーターのルネ・グリュオー(René Gruau)、芸術家サルバドール・ダリ(Salvador Dali)とも親しく付き合っていた。
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こちらの目が印象的なメトロノームはマン・レイの作品。
この作品が初めて製作された1923年の時点では、メトロノームにペーパークリップで目の写真を固定させ、「破壊される物体」と題して発表された。
ところがマン・レイがパートナーでありミューズでもあったリー・ミラー(Lee Miller)と1933年に別れた後は、マン・レイは、この作品の目の部分をリーの目の写真に置き換えたという、執念の作品でもあるのである。
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ディオールの芸術家との交流関係やディオールの感性を映し出したかのようなこの展示室は、まるでそこだけが一つの美術館かのように20世紀のアートの傑作が集まっているのである。
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特にルネ・グリュオーは、ディオールの代表的な香水ディオリッシモのキャンペーンも担当するなど、ディオールのイメージを忠実に、かつ自由で優雅に表現するイラストレーターであった。
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ディオール創業後、クリスチャン・ディオールは、音楽、文学、建築から得たインスピレーションを自身の創作に活かしたのであり、彼のドレスの上では、これらの芸術はその魅力を高め合い、見事に融合しているのである。
6.夢のアトリエ( Les Atelier du Rêve)
ディオールが織りなす美しいドレスの数々は、もちろんクリスチャン・ディオール一人では作ることはできなかった。
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彼の元には、忠実に彼のアイディアを形にする有能な職人やお針子たちがいたのである。
この職人たちを指して「アトリエは、解読不可能な暗号でも解読できてしまうようだ」(The Ateliers seem to be able to decipher an unbreakable code)とディオールが述べる。
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このミツバチのように細々と働く職人たちは、どのデザインがどの素材が合うかを選ぶことに長けており、針や糸、生地、ビジュー、飾りを使ってドレスに命を吹き込むことができる魔法の手を持っているかのようである。
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またこのブースでは職人さんによる実演を行っており、筆者が訪れた時にはカバンの取っ手を作る工程を見ることができた。
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7.パリ(PARIS)
パリは、クリスチャン・ディオールにとってそのインスピレーションを常に刺激する場であった。
ディオールは、パリの建築物やモニュメントからオートクチュールの着想を得たこともあったが、彼にとって最大のミューズはパリで生きる女性たちであった。
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いくら美しい服であっても、それは着て楽しめるものでなければいけないということを思い出させてくれるようなシンプルかつエレガントな洋服たち。
これを着てパリの街に出たら自然と背筋も伸びそうである。
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8.ゴールドのパワー(Le Pouvoir de l'Or)
古来より人々を魅了してきた唯一無二の貴金属、ゴールド。
その希少性や豪華さは、政治的・宗教的権威の表れであり、冠やアクセサリー、宮殿の装飾など、支配者たちも好んでこの金属を使用した。
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ジャドール(J'aDoRe)は1999年に生まれたディオールを代表する香水であり、この部屋は、そんな眩い輝きを持つ香水をモチーフにして作られている。
アンフォラ(amphora;古代より使われていた陶器、細く長い本体と二つの持ち手を特徴とする)を元に作られたこの香水のボトルは、エキゾチックな魅力を醸し出している。
また高貴な花々から作られたというストーリーを持つこの香水は、美の勝利を表現している。
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一度その香水を体に吹き掛ければ、まるで黄金のシャワーを浴びたかのように、神々しく華やかな香りを身にまとうことができるのである。
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9.旅への招待状(L'Invitation au Voyage)
1947年のニュールック発表以外、「フランスのファッション」を国外にアピールする大使のような役割を担ってきたクリスチャン・ディオール。
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アメリカ、メキシコ、日本、イギリス、中国など、ディオールは、オートクチュールの素晴らしさを伝えるために、船や列車、飛行機で世界各国を旅した。
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クリスチャン・ディオールの後継者たちは、マサイ族の装飾品、エジプトの宝物、日本の着物などから着想を得てエキゾチックな作品を生み出した。
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この部屋では、世界中の民族衣装や工芸品から着想を得て作られたディオールのドレスのほか、ディオールの活躍を伝える雑誌や写真などが展示される。
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どの作品も、世界各地に根付く豊かで多様な文化に敬意を表した上で、それぞれの美しさを最大限に引き出し、ドレスという形にしたということが伝わってくるものである。
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参考:「《111年史》63年前の「伝説のデザイナー」、独占取材を大公開!」『婦人画報』(2016年3月3日付記事)
以上、今回のnoteも盛りだくさんとなったが、次の【後編】で展示会レポートは完結である。
今しばらくお付き合いいただきたい。
ラ・ギャラリー・ディオール(La Galerie Dior)
住所:11 Rue François 1er, 75008 Paris, France
開館時間:11:00-19:00(月曜、水曜から金曜)、11:00-18:00(土曜)、10:00-18:00(日曜)、※臨時休業となる時もあるので公式サイトを要チェック
公式サイト:galeriedior.com
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