ミラノ中央市場(Mercato Centrale Milano):2021年9月オープン、ミラノ中央駅の充実のフードコート
今回のnoteでは、2021年9月2日にオープンしたミラノ中央駅内にある巨大市場・フードコートについて紹介したい。
1. ミラノ中央駅に充実の内容の市場・フードコートがオープン
イタリアでは、毎日のようにどこかで路上・青空市場が開かれている。
市場は、毎週開催される曜日が決まっており、大体朝からお昼過ぎまでオープン、昼過ぎには片付けが始まるというのが常である。
このようなタイプの市場ではなく、いくつもの食品店が一つの建物の中に集まり、毎日、朝から夕方まで開いているタイプの大型市場もある。
中でもフィレンツェの中央市場は有名であろう。
ミラノにも市場がなかったわけではないが、今回ミラノ中央駅に併設してオープンした市場は、ことさら話題を呼んでいる。
場所は、ミラノ中央駅の正面から向かって右側。
ちょうどマルペンサ空港へ向かうバスが発着するところである。
2階建ての巨大市場は、4,500平方メートルもの敷地に、29ものお店を抱えている。
中央市場(メルカート・チェントラーレ)の社長ウンベルト・モンターノ(Umberto Montano)は、この市場を商業と地域社会の交流の場にしたいと述べた。
ここには、イベントや会議、本の紹介や小さな展覧会、親子のためのワークショップなど、食の分野に止まらない催し物を開くことができるエリアがあるほか、アレッシオ・ベルタロット(Alessio Bertallot )によるラジオショーも開催予定とのことである。
それでは次の章から実際にお店の写真を共に市場の様子を紹介していくこととしよう。
2. 食の宝庫、ミラノ中央市場の内容を紹介
こちらのフードコートでは、お店の名前だけではなく店主の顔写真と名前も紹介されているので、誰がどのようにして料理をしているのか、ストーリーを辿ることができる仕掛けとなっている。
まず有名な若手ウルグアイ出身のシェフ、マティアス・ペルドモ氏(Matias Perdomo)が運営するエンパナーダのお店。
エンパナーダとは、小麦の記事の中に様々な具を挟んだスペイン料理であるとのこと。
ここでは豚、鳥、魚、牛の具から選べるようである。
まるでカレーパンやピロシキのような見た目、気軽な食べ歩きフードとして良さそうである。
参考:「イタリア版『VOGUE』監修! 究極のミラノガイド。【ファッションウィーク・シティガイド】」『VOGUE Japan』(2018年9月18日付記事)
こちらは、ミラノのチャイナタウン、パオロ・サルピでも店を構える中国・浙江省出身のAgie Zhou氏の餃子(ravioli cinesi)店。
1990年代にミラノのボッコーニ大学に留学していたZhou氏は、中国やスペインでの経験を経て、2015年にミラノに餃子のお店をオープンさせた。
ミラノの老舗肉店ウォルター・シルトリ(Walter Sirtori)で仕入れた肉を使った餃子。
餃子は肉と野菜の二種類、そのほかバオもある。
イタリアの最高の食材と中国の技術を融合させ、誕生した絶品の餃子。
こちらについては実食レポを次の章に書いているので注目である。
新鮮な野菜や果物を使ったジュースやサラダがメインのお店も。
こちらではアボガトトーストやスープも販売されており、軽めに食事を済ませたい人にもオススメである。
こちらは、ミラノで人気のベーカリー、ダヴィデ・ロンゴーニ(Davide Longoni)のブース。
実店舗は一度カフェ特集でも取り上げたが、こちらの市場のブースでも様々なパンが扱われている。
軽食になるカットピザから甘いパン、家庭で食べるような大きなパンまで色々揃っている。
さらに中に進んで行くと、スイーツやベーカリーのお店が次々と現れる。
まずこちらは、南イタリアの菓子をメインに展開するセッサ(Sessa)のブース。
1930年創業の老舗のセッサのショーケースには、カンノーリやババ、スフォリアテッラを始めとした南イタリアのお菓子が並んでいる。
そしてこちらはルチアーノ・サヴィーニ氏(Luciano Savini)が経営するトリュフ料理(il Tartufo)のお店である。
トリュフがふんだんにのったタルタル、ハムやチーズの盛り合わせにパニーノ...
こちらもトリュフをふんだんに使ったブルスケッタ、1つ5ユーロ、3つだと12ユーロになるとのこと。
最高のイタリアのトリュフをお手頃価格からトライできるのも嬉しい。
そしてこちらは、ミラノ市内で3店舗のお店を展開する老舗菓子店マルテザーナ(Martesana)である(ここの中央市場店を入れると4店舗)。
このお手頃で種類豊富なパスティチェリアのファンである筆者、かつてこのマルテザーナについてnoteで特集したこともあった。
スタイリッシュな見た目とは裏腹に、その創業は1966年という伝統あるお店である。
このカラフルな一口サイズのケーキ、パスティチーノは一つ1ユーロほどなので是非試して欲しい。
その他、チョコレートやマリトッツォもある。
マルテザーナには、ミラノに移り住んで以来、足繁く通っているが、どの商品も美味しいので、甘党の人は是非。
さらに市場を歩いていくと、壁の装飾がとてもお洒落なことに気づくのではないであろうか。
描かれているのは、それぞれのお店のオーナーたちである。
また市場内には、いくつもテーブルや椅子があり、完全に雨風を凌げる形のテラス席もかなり広々としている。
こちらはセルジオ・バルゼッティ氏(Sergio Barzetti)によるリゾット専門店。
バルゼッティ氏は、シェフであるだけではなく、作家やコンサルタント業もこなす多彩な人物。
イタリア産のお米、サフラン、玉ねぎ、バター、30ヶ月熟成したパルミジャーノ・レッジャーノなどなどこだわりの素材を使って作られたリゾットたち。
この大量のバターの塊に驚き。
たくさんのイタリア料理の中に隠れてリゾットなんて家でできると思いがちだからこそ、プロの作ったリゾットを食べてみたいと思ったりもしたのであった。
また市場内にはいくつかビールサーバーがあり、ビール党の人はたまらないであろう。
こちらのファウスト・サヴィーニ氏(Fausto Savigni)によるお肉のディスプレイも圧巻である。
ステーキの女王と呼ばれるフィレンツェ産のブランド牛「キアニーナ」もここで販売されており、肉は持ち帰ることもできるし、またこちらで出来立ての肉料理を味わうこともできる。
またこちらはアレッサンドロ・バロンティ氏(Alessandro Baronti)によるBBQのお店。
こちらのお店では鳥がメインのようであり、ローストした鶏肉やフライドチキン、チキンバーガーなどが並んでいる。
グリルで焼かれるチキンは美味しそう...
さらに奥に進んでいくとフィッシュバーのブースに行き着く。
内陸のミラノでは、新鮮な魚を扱っているスーパーは限られるのだが、ここでは充実の品揃えである。
またフィッシュバーのブースの中には、ファビオ・アンジョリッロ氏(Favio Angiolillo)のカクテルバーがある。
ここでは、地中海やアジアのスピリッツ、ウォッカ、アロマティコなどを使った様々なカクテルを楽しむことができる。
市場の一階、一番奥にあるのは、フランス人シェフ・ジェレミ・ドゥプリュノ氏(Jérémie Depruneaux)のフィッシュバー。
イタリアの新鮮な食材をそのまま味わえるメニューもあれば、
シェフがスパイスなどを組み合わせて作ったここでしか味わえない一皿もある。
その中でも目を惹くのは、魚の「パスティチーノ」であろう。
「パスティチーノ」とは、イタリアのバールやカフェで扱っている一口サイズのお菓子のことであるが、こちらに並んでいるのは、甘いだけではない、魚を使ったお菓子である。
いや、お菓子と言い切っていいのだろうか、確かにマカロンやカンノーリの見た目をしているのだが、中には魚のムースや生魚そのものが使われており、一見したところでは味の想像がつかない。
こちらは実食したので、次の章のレポートをお楽しみに。
すでに盛り沢山であるが、ここまでが市場の一階である。
二階建ての市場、2階にもお店や飲食スペースが広がっている。
2階には、新鮮なフルーツや野菜、ビオ商品を扱ったスーパーも。
一階よりも二階の方が飲食スペースが多い印象を受けた。
こちらはトマッソ・カリオーニ氏(Tommaso Carioni)のチーズ製造所(caseificio)である。
チーズアレルギーの筆者は食べることはできないのだが、チーズ大好きな人いとってはたまらないであろう。
カリオーニ社は、1920年創業の老舗チーズ製造社であり、創業以来、新鮮で様々な種類のチーズを作っているとのことである。
またチーズを使ったプレートも色々ある。
チーズが食べれないのが悔しいほど、見るからに美味しそうである。
これらのプレート、チーズ以外なら食べることができるのだが...
いずれもソースが色々ついていることから、それぞれのチーズに合った食材やソースとの組み合わせを楽しむことができるプレートなのであろう(食べることができないので、想像で書くしかない)。
また写真には収めなかったが、その隣にはマルコ・ブルーニ氏(Marco Bruni)のジェノヴァ料理のお店がある。
こちらはジョー・バスティアニッチ氏(Joe Bastianich)のアメリカン・バーベキューのお店である。
バスティアニッチ氏は、世界四ヵ国でレストランを経営するほか、テレビタレントやミュージシャンとしても活躍する多彩な人物であると同時に、アメリカとイタリア、二つの国籍を持っている。
バスティアニッチ氏が提供するアメリカ式のバーベキューは、オークで燻製、じっくり低温で調理した肉が特徴的であるとのこと。
ショーケースには、ローストビーフのプレートが何種類も並んでいる。
色々なお店を紹介したが、こちらが最後のお店となる。
こちらは、ジャコモ・トラパーニ氏(Giacomo Trapani)によるフィレンツェの名物料理ランプレドット(Lampredotto)が売りのお店である。
日本のイタリア料理のお店でも目にするトリッパは、ハチノス(牛の2番目の胃)のトマト煮込みであるのに対して、ランプレドットとはギアラ(牛の4番目の胃)を野菜で煮込んだ臓物料理である。
ミラノでもトリッパの缶詰をスーパーで目にすることはあるのだが、ランプレドットを売っているのは見たことがないと記憶している。
ここでは、トスカーナの黒キャベツ、キャベツ、トマトなどの野菜が使われているとのこと。
煮汁でひたひたのランプレドット、パンで挟んだり、パンを添えて浸したり、食べ方はお好み次第といったところであろうか。
おまけ:
出来たばかりなので当たり前と言えば当たり前なのだが、中央市場のトイレはとても綺麗で広々していた。
海外だと、日本のようにどこでも比較的清潔なトイレがある、それがタダで使えるわけではないので、街中の良いトイレの場所は把握しておきたいものである。
3. 実際にフードコートで食事をしてみた
ここからは実際にフードコートで食事をした際のレビューである。
筆者が食べたのは、ジェレミ・ドゥプリュノ氏のフィッシュバーで購入した魚のパスティチーノである。
こちら1つ3.5ユーロ、3つで9ユーロだったところ、筆者は2つで十分かなと思ったので、2つ7ユーロで購入。
ピンクのマカロンの方は、エビのクリーム入り、カンノーリの方は、カンパチのクリームにピスタチオがトッピングされている。
エスプレッソも隣にあるが、こちらは一緒に飲んでももちろん合わない。
魚のパスティチーノは、お水と一緒に、エスプレッソは食後に飲んだことを一応断っておく。
最初は恐る恐る食べたが、魚のクリームやペーストはどれもお菓子の生地に合っていた。
値段は貼るが、これらを種類たくさん、つまみながらプロセッコや白ワインを飲みたいと思ったのであった。
こちらは友人が頼んだバーベキュー。
こういうのに付いている芋は、大体美味しい。
そしてこちらはまた別の機会に友人と食べたAgie Zhou氏の餃子一皿9ユーロ。
餃子は野菜と肉の二種類、茹でる前のものも持ち帰り用に売っていた。
バーベキューの皿とシェアしたため、野菜餃子を選んだが、皮はもちもち、カラフルな野菜がぎゅうぎゅうに詰まっていてジューシーであった。
そしてこちらは筆者が一人の時に立ち寄ったマルテザーナのマキアート1ユーロとパスティチーノ1ユーロ。
空港へ向かうバスの発着場の目の前にあるということで、朝10時半以降のフライトであれば、こちらで朝のコーヒーを飲むことができるなとも考えた(市場は7時からオープン)。
ショーケースのマリトッツォもボリューム満点で美味しそうである。
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以上、写真が盛りだくさんとなったが、中央市場の美味しいものをたくさん紹介した。
筆者自身、まだ一部のお店にしか行っていないので、色々なお店の料理を試してみたいと思ったのであった。
メルカート・チェントラーレ・ミラノ/ ミラノ中央市場(Mercato Centrale Milano)
住所:Via Giovanni Battista Sammartini, 2, 20125 Milano, Italy
開館時間:7:00-24:00
公式ホームページ:mercatocentrale.it
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