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文京区・本郷: 弥生美術館「バロン吉元☆画業元年」/ 竹久夢二美術館「竹久夢二 美人画展」




東京大学本郷地区キャンパスの弥生門の外に位置する弥生美術館。

敷地内に竹久夢二美術館を併設している。

2019年1月2日から展示替えをはさみ、3月30日まで、弥生美術館では、「バロン吉元☆画業元年」、 竹久夢二美術館では「竹久夢二 美人画展」といった特別展が開催されていた。

まずは、「バロン吉元☆画業元年」の展示から紹介したい。

奇しくも2019年4月に第48回日本漫画家協会の文部科学大臣賞を受賞したバロン吉元。

バロン吉元は、旧満州国生まれの鹿児島県育ち。

武蔵野美術大学に入学するも中退、その後、漫画家横山まさみちのアシスタントとなる。

デビュー後は、1960年代から70年代にかけて起こった劇画ブームを支える漫画家として活躍。

代表作は、『柔俠伝』シリーズ(『週刊漫画アクション』に連載)、『どん亀野郎』、『黒い鷲』など。

1980年頃、手塚治虫といった日本の漫画家20名が集まったサンディエゴ・コミコン(漫画などの大衆文化に関するコンペティションのイベント)にバロンも参加。

帰りの機内において、隣り合わせた手塚と、お金を出し合ってロサンゼルスに家を買い、日本漫画家がアメリカでも活動するための計画を立てていた。

この計画は実現しなかったものの、バロンは、ロサンゼルスに家を買い、すべての連載を終わらせたバロンは、渡米した。

1985年に帰国し、「龍まんじ」の雅号で絵画制作を行う。

 本展は、バロン吉元の画業60執念を企画し、漫画作品、劇画作品から大型絵画まで本展はバロン吉元の画業60年を記念し、劇画作品から大型絵画作品まで、一挙公開するもの。

まずは、再現されたバロン吉元のデスク。

緻密に描かれた女性の絵。

大型絵画の筆使いも優美である。

また、バロン吉元は、1979年9月18日から1980年4月1日まで日本テレビ系列で放送されたテレビドラマ『探偵物語』のポスターを描いている。

松田優作演じる工藤俊作の特徴が捉えられ、大人の男の魅力が描かれている。

その他、最上階の展示ブースでは、挿絵画家・高畠華宵(1888-1966)の作品も展示されていた。


1984年に弥生美術館を設立した鹿野琢見が惚れ込んでその作品を収集していたのが高畠華宵であったというわけである。

この会期においては、「戦う美少年」たちをモチーフにした作品を中心に展示されていた。

まるでファッションのように包帯を巻く美少年。

少年だけではなく少女も描いていた華宵。

華宵の描く少年少女は、「少年の中に少女がいるし、少女の中に少年がいる」(『想いでの華宵絵ごよみ』ノーベル書房、1969年、148頁)と言われるように中性的で不思議な魅力を宿している。

順路通り歩いて行くと、「竹久夢二 美人画展」のブースに来る(写真は購入したポストカードより)。

ここでは、容姿(まつげの長い大きな目、すっと通った鼻筋に小さな鼻、小さな赤い口、細く長い首、なで肩、細い指に大きな手、華奢でほっそりとした体つき、病的なほど白い肌)と

表情(伏し目がち、物思いに耽る様子、物憂げ、悲しげ)が特徴的な「夢二式美人」の作品が展示されている。

また夢二は多くの表紙絵やブックデザインも手がけており、特に1909年から1928年に刊行された57冊の自著は、全て自身で装丁を手がけた。

ポスターなども独自の色使いや模様によって一線を画していた。

(レストラン浅間丸のメニュー表/1929年)


夢二は画壇に属さなかったため、雑誌といったメディアが「夢二式美人」の発表の場になっていたというわけである。

このような夢二の創作の源となっていたのが、夢二と唯一結婚した妻・岸他万喜(1882-1945;1907年結婚、1909年に離婚)、愛人関係にあった笠井彦乃(1896-1920)、夢二の他の作家のモデルにもなった佐々木カ子ヨ(お葉)(1904-1980)であろう。

この3人の女性の生き様は様々であるが、夢二に私生活の面でも芸術の面でも強く影響を与えたことは間違いない。

女性が化粧や身支度をする様子を描いた作品など、そばでつぶさに女性を観察しないとできないようなものであろう。

最後に、この美術館の敷地内に「夢二カフェ 港や」がある。

ここでは、ランチメニューやドリンクメニューがある他、特別展に合わせた限定メニュー、来館者限定の割引もある。

展示の後には、大正ロマンの気分に浸るべく、立ち寄ってみたい。


弥生美術館・竹久夢二美術館

住所:東京都文京区弥生町2-4-3

開館時間:10:00-17:00(入館は16時30分まで)
※月曜日休館(祝日の場合は翌火曜日)、展示替え期間中、年末年始
入館料:一般(900円)/ 大学生・高校生(800円)/ 中学生・小学生(400円)/ 20名以上の団体(各100円引き)


「バロン吉元⭐︎元年」/ 「竹久夢二 美人画展」

《前期》2019年1月2日~2月16日/ 《後期》2019年2月18日~3月30日

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