ボワシエ(Boissier):缶の容器も可愛い、カラフルなお菓子が魅力のパリの老舗コンフィズリー
食べ終わった後のお菓子の缶が素敵でついコレクションしてしまう、またそれを洗って小物入れにしているという方はいるであろうか。
今回紹介するボワシエ(Boissier)は、まさに取っておきたくなるパッケージのお菓子ばかりのパリの老舗コンフィズリーである。
お店の歴史とともに、パリのお菓子の魅力を書いていきたい。
1. 1827年創業 ボワシエ(Boissier)の歴史
1-1. 全てはマロングラッセから
19世紀初頭、ベリゼール・ボワシエ(Bélisaire Boissier)は、菓子職人になるという夢を持って地方からパリにやってきた。
駅のホームで栗を積んだ列車を見たボワシエは、栗の腐敗を止めるために砂糖をまぶすことを思いつき、マロングラッセの製造を始めた。
その後、独自のグラスアロー技術を開発し、1827年、ついにボワシエ社を設立、パリのカプシーヌ大通りに店をオープンした。
評判を呼んだボワシエは、その後もクールセル大通り、レイモンド・ポアンカレ通り、ヴィクトル・ユゴー通り、シャンゼリゼ大通りなど店舗を次々とオープンさせた。
さらにベリゼール・ボワシエは、従業員の一人であるアンヌ・アントワネット・バルビエと結婚し、家族ぐるみで事業の拡大に尽力した。
1840年当時、ボワシエの商品の中でもファッショナブルなお菓子として人気があったのが、ラムネと飴の中間のような食感のパスティーユであった。
ミントやローズ、ジャスミンなどの様々なフレーバーを展開するパスティーユであったが、特にパイナップル味のパスティーユは、ブルジョワジーの「劇場のお菓子」として好まれた。
これは実に興味深いことなのだが、19世紀当時、パリにおいてエンターテイメントを楽しむために出かける際には、お菓子を持ち歩くのが習慣であった。
街の中心で仕事に遊びに興じる証券取引所街の銀行家たちは、「パスティーユの永遠の吸盤」(les éternels suceurs de pastilles)と呼ばれるほど、パスティーユを常に持ち歩いていたようである。
1-2. ボワシエを愛した19世紀の文豪たち
ボワシエは、19世紀の文化人たちが足繁く通ったお店でもあった。
その中でも『レ・ミゼラブル』の著者ヴィクトル・ユゴー(Victor-Marie Hugo:1802-1885)は熱心なボワシエのファンであった。
1857年、ベリゼール・ボワシエが会社をシリル・ロビノーに譲ることを決めてからも、アレクサンドル・デュマ、エミール・ゾラ、ゴンクール兄弟などの作家たちが通ったボワシエ。
またロビノーは、文芸誌『ジル・ブラス』(Gil Blas)やノラの小説『ボヌール・デ・ダム百貨店』(le bonheur des Dames)などに因んだ名前のお菓子も売り出し、好評を博した。
1-3. 可憐なケースの魅力
二代目のシリル・ロビノーは、革や絹を使ったギフトボックスを開発するなど、工夫を凝らし、事業の拡大に励んだ。
さらに20世紀に入ると、1930年代には、美しい絵が描かれた金属製の箱が登場し、このコレクターも多いとのこと。
そして時代は下り、2000年2月14日、サロン・デュ・ショコラの創設者であるシルヴィ・ドゥースとフランソワ・ジャンテが、ボワシエを買収。
今現在もボワシエは、パリを拠点に美味しく美しいお菓子を生み出し続けているのである。
2. 大切な人に送りたい、美しいボワシエのお菓子たち
次に華やかな見た目のボワシエのお菓子たちを紹介していきたい。
創業以来、素材の味を活かしつつシンプルに、かつ見た目は美しく繊細なお菓子を作り続けていたボワシエ。
マロングラッセ、キャンディ、チョコレート、ゼリーなどその種類は多種多様で何を選ぶか、その容器の缶のデザインまで見始めると、ついつい迷いがちである。
こちらは、ころんと可愛らしい見た目でフルーツ果汁たっぷりのキャンディ、「ボンボンブール」(Bonbons Boule)。
そのフレーバーは、チェリー、レモン、ライム、オレンジ、ブルーベリー、ローズ、バイオレット、ポピーと実に様々。
そして有名なのが、こちらの花びらチョコレート。
フルーツや花のフレーバー、胡麻味など、色とりどりのチョコレートたち。
そのほか、鉛筆チョコやオレンジピール、トリュフチョコ、ナッツチョコなどチョコレートだけでも種類豊富である。
伝統的なマロングラッセもあり。
お店はまるで小さなジュエリーショップのような可憐で瀟洒な造りである。
お土産をいくつか買った後、ボンボンブールの試食をいただいた。
こういった小さなサービスが嬉しい。
実はこの日、美術館をじっくり鑑賞したり、カフェ巡りをしたりしていたので1日に3万8000歩近く歩いてしまった。
歩き疲れた日にはことさら、ボンボンブールの爽やかな甘さが身に染みたのであった。
3. 購入品紹介
最後に筆者の購入品を紹介したい。
筆者が購入したのは薔薇の花びらチョコレートとゼリー。
缶のデザインと中身のお菓子、いずれも魅力的でどれを選ぶかとても時間がかかった。
まず色とりどりのフルーツゼリー。
一粒一粒が小さいためついつい口に運んでしまう。
柔らかいゼリーにシャリシャリの砂糖がかけられているのに、甘すぎると言うことはない。
こちらはボワシエで絶対買おうと思っていた薔薇の花びらチョコレート。
様々なフレーバーが入ったアソートも良かったのだが、まずは薔薇を。
真ん中には砂糖漬けの薔薇の花びら。
シャリシャリとした食感でとても甘いのだが、薔薇の香りがとても強く、紅茶とよく合う。
花びらチョコレートは、どうやって作るのだろうと思うほど薄く繊細な味わい。
筆者は、食べ終わった後もこの缶をUSB入れとして使っている。
パリの歴史を見つめてきた老舗ボワシエ。
お洒落なお菓子たちの中からお気に入りを見つけ、大切な人にも送りたいと思うとっておきの逸品ばかりなのである。
ボワシエ(BOISSIER)
住所:77 Rue du Bac, 75007 Paris, France
営業時間:10:30-19:00(日曜月曜定休)
公式ホームページ:maison-boissier.com
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