オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(Officine Universelle Buly):パリの店舗を覗いてみました
今回のnoteでは、総合美容薬局オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(Officine Universelle Buly)のパリ・ボナパルテ通り店、そしてミラノ店の紹介をしていく。
1. 1803年創業、オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(Officine Universelle Buly)の歴史
1-1. 始まりは「お酢」から? 19世紀パリ最新の美容法
もとより調香師として有名であったジャン=ヴィンセント・ビュリー(Jean-Vincent Bully)。
そんな彼は、1803年にパリにて、香水とスキンケア用品を扱う店オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーをオープンした。
また1804年に制定されたナポレオン法典によって、香水製造に新たな要件が設けられたこともあり、パリにおける香水製造技術と品質が向上した。
このような背景のもと、ヨーロッパの人々がパリの香水に注目する中、ビュリーが得意とした商品は、なんと「香り酢」であった。
古来より、酢は、病気や感染症を鎮めるための塗り薬として重宝されていた。
19世紀に入ると、さらに酢は様々なところで使用されるようになっていった。
例えば、風呂に入れたり、顔のケアに使われたりなど。
当時は、清潔かつ健康であることが重要視されており、女性たちは白くて瑞々しい肌に憧れた。
このようなトレンドもあって、1809年と1814年に特許を取得したビュリーが手がけたお酢を使った化粧水は、確かな品質のものとして評判となったのであった。
19世紀のパリ。
ファッションと美のトレンドが生まれる街として、人々はこの街に憧れ、またこの街を目指した。
そんなパリの中心で華やかに活動するパリジェンヌは、パウダー、ミルク、ローション、オードトワレ、エキス、そしてお酢など様々なものを使って、日々自分の身体を磨き上げていたのである。
1-2. 2014年、ビュリーの再スタート
ブランドの休止を経て、ビュリーは2014年に再スタートを切った(19世紀のビュリーはBullyであったが、生まれ変わったビュリーはLが一つ取れてBulyとなったとのこと)。
この新生ビュリーを手がけたのは、アートディレクターのラムダン・トゥアミ(Ramdane Touhami)と美容専門家ヴィクトワール・ドゥ・タイヤック(Victoire de Taillac)夫妻であった。
彼らは、これまでのビュリーが培ってきた美の遺産を守りつつ、最新の知識に基づき、原料に拘った商品を生み出すことに力を注いでいる。
このnoteで紹介しているのは、彼らが2014年にパリ6区ボナパルト通りにオープンしたサン=ジェルマン=デ=プレ店。
そのほか、パリ3区にはマレ店があり、ここでは、化粧品や香水だけではなく、カフェやフラワーショップも併設している。
またこの店舗では、1789年創業の老舗カフェグラン・カフェ・トルトーニ(Café Tortoni de Paris)のレシピを引き継いだジェラートを味わうことができるとのこと。
このカフェには、エドワール・マネやジョルジュ・サンドといった文化人が通っていたことが知られており、これらのビュリーの店舗は、消えゆく美しいパリの風景を現代に伝えているのである。
オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーはパリのほか、東京、京都、香港、台北、ソウル、サンフランシスコ、ロンドン、コペンハーゲン、そして2022年4月にはミラノに店舗を構え、世界にその洗練された世界観を発信している。
2021年10月5日、ビュリーは、LVMHにより買収され、その傘下のブランドとして運営されることになった。
このように経営の形態は変わりつつも、ビュリーの世界観は唯一無二、魅力的な商品から目が離せないのである。
2. パリ店の様子と購入品紹介
2-1. パリ・ボナパルテ店
日本にも複数店舗があるため、ビュリーの商品のことはすでにご存知の方も多いであろう。
そのためにここでは、簡単な商品の紹介と写真とともに店舗の雰囲気を味わっていただけたらと思っている。
重厚感がある備え付けの棚には、ボディーローションや香水、ハンドクリームが並んでいる。
また豪奢でクラシカルなパッケージもビュリーの魅力の一つ。
パリの店舗では、チェリーの木で作られた机の前に座ったカリグラファーが、お客の希望をもとに商品に名前を入れてくれる。
絵画のようなパッケージは持っているだけで生活に彩りを添えてくれるもの。
人気のリップバームもケースにイニシャルを入れることができる。
水色と白のタイルも可愛らしいのでさりげなく撮影した。
ビュリーでは本国フランスで作られているものだけではなく、ビュリーが厳選した世界各地の美容用品も扱われている。
その中には、京都の祇園で売っているような日本古来のコスメもある。
これらは日本在住の人からしたら、もちろん日本で購入した方が安いものばかりなのだが、「こういうものが海外の人は求めているんだ」ということの勉強になるのもまた楽しい話である。
2-2. カフェ併設のパリ・マレ店
次はパリのマレ地区にある店舗を紹介する。
いずれも2019年1月にパリを訪問した時に撮影した写真である。
こじんまりとしたマレ店の特徴は、なんと言ってもカフェが併設していることである。
化粧品のカウンターとカフェのカウンターが向き合うというなんとも不思議な構造。
ここでは店員さんおすすめのナッツタルト8ユーロ(ちょっと高いが)を食べた。
キャラメリゼされたナッツが乗ったタルトはサクサクと食感も良く、後を引く甘さ。
気軽にコーヒー一杯からでも頼めるのでお試しあれ。
2-3. 購入品紹介
パリで購入したのは、ルーヴル美術館とのコラボ商品。
こちらはルーヴル美術館に所蔵される名作をイメージした香水のシリーズである。
筆者が選んだのは、「ミロのヴィーナス」(La Vénus de Milo)。
ミロのヴィーナスが夜、美術館を抜け出してパリの街を散歩する時につける香水とは...というストーリーのもとに生み出された香りらしい。
フレッシュでマスカットのように、甘いけれども重さはなく、軽やかな香りである。
こちらは試供品としていただいたもの。
小さな試供品といえども、手の込んだデザインで可愛らしい。
3. 2022年4月、ビュリーのミラノ店がオープン
当然のことながら、オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(Officine Universelle Buly)は香水やローション、乳液、クリームなど、液体物の商品が多く、パリからミラノへの飛行機の手荷物に持ち込むには容量に限界があった。
もちろん日本でも入手できる商品は多いのだが、ヨーロッパで買った方が安い商品もある(とはいえ2022年6月現在、円安傾向のため、あまり値段が変わらないものも多い)。
2021年6月にパリに訪れた時点で「ミラノにもビュリーがオープンして欲しい」と店員さんに言うと「ミラノにはたくさん他に香水など買える店があるからいいじゃない」とのことであったが...
2022年4月、ミラノのブレラ地区にとうとうビュリーがオープンした。
アンティークショップのように重厚感のあるパリ店に比べて、こじんまりとした店内で、どちらかというとさっぱり明るい店内のミラノ店。
店舗面積もさほど大きくはないが、商品の品揃えは十分である。
液体物の容量を容量を気にすることなく、ボトルに入った商品を物色することができるのはイタリア在住者にとっては嬉しい話。
名前を入れることができるリップバウムはここにも。
今度こちらが欲しいなと密かに狙っている。
お馴染みの歯磨き粉やハンドクリームも。
ルーヴル美術館とのコラボ香水もここで購入することができる。
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以上、ビュリーのパリ・ミラノの店舗を紹介した。
ビュリーの商品は、日本でも購入できるのだが、特にパリ店の雰囲気は独特でアンティークショップが好きな方にはおすすめである。
マレ店のカフェもパリならではなので、要チェックである。
Officine Universelle Buly 1803
パリ・ボナパルテ店
住所:6 Rue Bonaparte, 75006 Paris, France
営業時間:10:30-19:00(日曜定休)
パリ・マレ地区店
住所:45 Rue de Saintonge, 75003 Paris, France
営業時間:10:30-19:00(火曜から土曜)、11:00-19:00(日曜)、月曜定休
ミラノ・ブレラ店
住所:Via Brera, 2, 20121 Milano, Italy
営業時間:10:30-19:00
公式ホームページ:buly1803.com
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