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8.教育視察レポート|フィンランド小学校の視察

2022年8月13日〜22日に、北欧のデンマークとフィンランドの2カ国に、教育視察(概要のnote記事はこちら)に訪れました。
子連れなら子連れなりの学びもあるのではないかと思い、思い切って2歳の息子を連れて行ってきました。

今回はフィンランドで訪れた小学校の視察についてレポートします。

エスポーにある公立小学校( Jalavapuisto school )を訪れました。

校内と授業の見学、見学の感想やQAタイムでの内容をシェアします。


フィンランド小学校の授業の特徴

フィンランドは私立学校が少なく、ほとんどが公立学校。
見学先の小学校はエスポー市のカリキュラムに従い、私立でも公立と同じカリキュラムを実施しているとのことでした。

バイリンガル教育

フィンランドは移民も多く、両親が家庭で母国語と英語で話すバイリンガルで育った子も多いと聞きました。

視察先の小学校でもバイリンガル教育が進んでいる印象です。
小学1年生〜6年生までで、生徒の半分はバイリンガル (フィンランド語と英語)  クラスで授業を受けています。
この学校では、1階がフィンランド語のクラス、2階がバイリンガルのクラスと、同学年でも階が分かれていました。

校内2階のフリースペース

学力テスト

デンマークと同じく定期の学力テストはありません。
バイリンガル (フィンランド語と英語) クラスに入れるかどうかには、エスポー共通の選抜試験があります。

クラス運営

担任
・1年生・2年生は担任が全ての教科を教え、3年生からは教科ごとの先生が教えます。

クラス
・1クラスは25人〜最大30人
・特別クラスがあり、発達障害のある学生のための授業も行われています。

教科書
教科書&ワークブックがセットになったテキストを使用しています。

授業進行
・各部屋にプロジェクタがあり、先生が投影しながら授業を進行します。
・授業中に5−10分の小休憩を入れます。生徒達も外で遊んだりおやつをつまんだり、リフレッシュできる時間を設けていました。
・授業中に生徒に問題を解かせる時は一定時間を渡し、生徒各自で解かせていました。教室の前後に回答テキストがあり、終わった子から自分でチェックしていきます。各自の自立性に任せている印象です。

授業の様子/前のモニタに先生がテキストを投影

メンタルヘルス教育

常勤の保健の先生が勤務していて、節目の学年では生徒と保護者と一緒に個別面談を実施しています。
心身の健康状態について一緒に話し合ったり、健康指導を行っているそうです。

教室にはメンタルヘルスに関するポスター掲示
教室にあったホワイトボード/感情教育が行われていました


このような掲示は同時期に視察したデンマークでは見られませんでした。
フィンランドでは、メンタルヘルス教育にも力を入れてる様子が伺えます。

学習のケア

・生徒の学習の様子を見て、授業外に個別の学習指導を行なっています。
・フィンランド語が母国語でない移民の生徒のために、フィンランド語や教科の特別授業も実施しています。

学力の遅れが出ないようにするために、生徒を分けて、かなり細やかにサポートしている印象です。

校内の様子

学校見学の依頼は3年制が担当することになっているそうで、今回も4人の生徒が2つのチームに分かれて案内してくれました。

フードコート

学校の入り口にフードコートが設置されていて、あたたかい給食が提供されます。放課後は食事は提供されませんが、好きなことをしたり宿題をしたり、生徒が過ごせるようになっています。

ヴィーガン向けのメニューも用意されていました
木目調の天井や白熱灯で温もりのある雰囲気

職員室(職員スペース)

非常にまったりとした雰囲気。視察中も、授業の合間にここでコーヒーを入れたりスイーツを摘んだり。先生同士談笑する姿がありました。

椅子、ソファーがあり円形の配置

ちなみに、先生たちの授業準備はどこでしてもいい。カフェでも家でもOKということになっているのだそうです。

廊下・校庭

・図書室とは別に校内の廊下にも本やマンガが置かれていて、いつでも手に取れるようになっていました。
・読書が多かった子を表彰する掲示もありました。
・校庭はそこまで広くないけど、すぐ近くの森に出かけることもしばしば。冬は校庭に雪が積もるので、ソリをしたり冬ならではの遊びを楽しむ。

学び・まとめ

今回はデンマークとフィンランドの2カ国を視察する機会を得ましたので、
視察中の先生とのコミュニケーションや授業の様子などの違いから、フィンランドの教育の特徴で感じたことを。

デンマークでは、”全員違い・特別”という思想の中で、個々をサポートするとともに協働させることで違いを引き出し、その違いを肯定していけるようなデザインがあると感じました。

フィンランドでは、”違いを前提にケアする”というデザインがあると感じました。
例えば、フィンランド語のクラスとバイリンガルを分ける。フィンランド語が十分でない移民の子に対する特別な授業を実施する。教科学習について行けていない子は、別室のクラスで特別授業を受ける。などです。
違いを認めた上で、水準をあげていくためのケアが細やかであったことが印象的でした。

両国ともに個を尊重する思想を持ちつつも、アプローチに違いがあるところが非常に興味深いところでした。


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