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創作集-空想

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2021年10月の記事一覧

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貴方がこうしてちょっとした嘘を、吐いた、今も、
誰かが嚔をして、洟を啜った今も、
同じ時を、進んでいて、
誰かが今産まれて、誰かが死んで
私はその時、何をしてたんだろう、何を?

とっくに冷めたスープを無表情で啜っていた、か。

そしてどこかの誰かは誰かと騒いで、笑いあって、楽しい、楽しい時間を過ごしていると思うと、

この箱で無表情でいる私がこの世で一番不幸なんじゃないかって、

そんな訳ないか

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怨讐

(2020年1月24日作成の掘り出し物)

「待った?ごめんね!」彼女は手を合わせて笑顔で言う。
「…いや。別に、大丈夫だよ」
私は、無理に笑顔を作った。
今日は彼女と遊ぶ。色々な所を回って、食事して。でも、私は、今日は大事な日だ。そう、人生がかかった、大事な日だ───

「どこ行こっか」
「…どこでもいいよ」
「お腹空いたから、あそこに食べにいこう!」
無邪気な笑顔で言う。
「そうしよう」

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(2019/7/22 作成の掘り出し物)

僕は、僕は一体何者だ?
どうして生きているんだ?

毎日そんな事を考え、煙草に火をつけ、酒を飲み、ゴミを放ったらかして、いつの間にか寝ていて、気づいたら朝になっている。同じ繰り返しを、かれこれ数年は続けている。テレビをつけると、胡散臭いコメンテーター、幸せそうなOLが写っている。僕はすぐにテレビを消した。

「つまんねぇ。」

そんな事を口走りながら、ま

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私達が消えた世界と私達の新たな世界。

(2019/7/20 作成の掘り出し物)

"死は、生きている以上、誰にでも訪れるものです。あの子も、あの子もあの子も、みーんな、いつかは死にます。それは50年後、ゆっくりと訪れるかもしれないし、1秒後、唐突に訪れるかもしれない───。"

私は横断歩道を渡った。その時…
気づいた時には遅かった。

「……あれ?ここは…」
私は目を覚ました。学校だった。
「夢…だったのか。」
私は安堵した。目の前

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