怨讐
(2020年1月24日作成の掘り出し物)
「待った?ごめんね!」彼女は手を合わせて笑顔で言う。
「…いや。別に、大丈夫だよ」
私は、無理に笑顔を作った。
今日は彼女と遊ぶ。色々な所を回って、食事して。でも、私は、今日は大事な日だ。そう、人生がかかった、大事な日だ───
「どこ行こっか」
「…どこでもいいよ」
「お腹空いたから、あそこに食べにいこう!」
無邪気な笑顔で言う。
「そうしよう」
私たちは歩いて、レストランへ向かった。
レストランに入る。
席に座る。
「何食べよっか!」
「うーん…あんまりお腹空いてないから、コレにするわ」
私はサラダを選んだ。
「あ…そうなんだ。私、ハンバーグにする」
「どうしたの?何か元気ないよ?」
「ん…?何もないよ」
「…そう?だといいけど…」
そのあと、公園に行って、喋って、ブラブラと街を歩いた。
「あ、そうだ。この間の事なんだけど…」
「何のこと?」
「もう、やだなー、忘れてる訳ないでしょ?」
「……」
「あいつを奪った代償はでかいよー?」
「……」
「口止め料、持ってきた?」
「私が被害者なんだけど?」
「まーだいってる笑 逃げちゃダメだよー」
私は黙って封筒を差し出した。
暫くして、少し暗くなってきた。
「じゃあ…そろそろだね」
「…うん、そうだね」
「あー、もうちょっと喋りたかったな!」
「うん」
「じゃあ、また今度ね!バイバイ!」
彼女は後ろを向いた。
その無防備な後ろ姿に、私は、ナイフを突き立てた。
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