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出窓の傍から

YouTubeでは語り尽くせないあれやこれを文章ならではの濃さでお届けします。 エッセイや日記が中心。日々感じることをなるだけ等身大で言葉にしていきます。何かの答えは書かれていな…
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2023年5月の記事一覧

だって、日常にタイトルなんてないじゃない

毎日のようにコーヒーを淹れる。 真っ黒の深煎り豆がしかるべき工程をひとつひとつ通り過ぎながらコーヒーという飲み物になるまでを見守る。その間にはいい音があり、いい匂いがあり、いい時間が流れる。工程は手が覚えているので、頭はそこまで使わない。ただおいしいコーヒーが飲みたくて生まれた習慣だけど、今ではそれ以上の何かであり、自分の中の小さな儀式のような、しかし日常に溶け込んだ、大袈裟ではない行為だ。1日の始めや、気分を切り替えたいとき、リラックスしたいときなどいろんなムードやシーンに

優しく、目立たない脇役でありたい

家の近所をぼーっと歩いていると、「こんにちは」と挨拶された。声の主はご近所の方。あわてて「こんにちは」と声をかけ返す。 いつもなら会えば挨拶をかわすだけ。その日もそのまま通り過ぎていくのかと思いきや、 「うち、明日引っ越しなんです」 と言われてびっくりした。そしてその言葉への自分の第一声が 「え、さみしい!」 というものだったことにさらに驚く。咄嗟に出た、うそのない「さみしい」。 会えば挨拶を交わすだけ、それでもその関係性や、その方が近くに住んでいるという何気ないこと

理由もなく、意味もなく、またひとつ歳をかさねる

誕生日って好きだ。 大切な人の誕生日はただそれだけでうれしいし、自分の誕生日の存在感も好き。 自分のものに関しては何かに期待するっていうより、 「ああ、誕生日だなぁ」 とただ感じることが、なんかいい。当日もそうだし、数日前から誕生日の気配にしみじみ、でもワクワクするのが好き。多分子どものころのワクワクを今でも体が覚えているんだと思う。 私は自分が生まれた季節もかなり気に入ってる。緑が一気に成長して、ゴールデンウィークの喧騒も落ち着いて、風が心地よい季節。子どものころは新生

景色みたいにさりげなく、ちゃんと存在してるって確かめる

この間、パートナーと長い散歩に出かけた。 丸1日かけてYouTubeに投稿する動画をつくる予定だったその日、いろいろあってそれができなくなってお昼すぎにふらっと外に出た。通ったことのない道を通って、とりあえず少し離れた大型リサイクルストアを目指す。 よく知ってる道を一筋はずれただけでまるで景色が違う。人通りも車通りもほとんどなく、民家とだだっ広い畑や田んぼ。おばけみたいに生い茂る雑草にはかわいいお花が咲いてて、アスファルトはガタガタで、政治家のポスターはツヤツヤで。 リ