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ひとり旅デビュー

数年前から切望していたひとり旅、ついにデビューした。これはその日記である。

「ネットで見た駅!」と到着1秒で興奮

行き先は千葉県の佐原。水郷のまち、小江戸と呼ばれ古い町並みが今でも残っている。なぜデビューをここに決めたのかは…たいした理由ではない。ただ単に、小説で読んだからだ。

しいて言えば、ひとりでなければまず行かないだろう場所をチョイスした。せっかくひとりなのだから、家族で出かけるレジャースポット、みたいなのは避けたかった。

あの舟にも乗ったよ

若い頃のわたしは、ひとりで何かをするとかどこかに出かけるとか、そういうのがことごとくできない女だった。できないものだと思いこんでいたし、きっとひとりでは楽しめないだろうと。当時の恋人もみんなそうだと言った。わたしは男がいなければ何もできない女だったし、彼らもわたしにそういう女であることを望んでいた気がする。だからきっと、一生ひとり旅なんてすることがないと思っていた。本当は、ひとりの時間を楽しめる女性に憧れていたのに。

どこへ行くにもひとりが楽だし、意外と楽しいことに気づいたのはここ数年だ。考えてみればわたしは昔から、大人数でワイワイと賑やかなのよりも少人数を好んだし、またひとりで過ごす時間がとても落ち着くタイプだった。少し考えてみれば、もっとおひとりさまを楽しめる人間だとすぐに思い至っただろう。なんだろ、なんか呪いにかかってたのかもしれないな。

佐原名物 小堀屋本店の「黒切りそば」

旅の予定は入念に立てた。ひとり旅の醍醐味といえば、その日その時の気分でふらりと好きなことをしたり好きな場所へ行くことなのかもしれないが、なにせわたしはビギナーだ。そこまで自由度を高くしてしまうと、結局何もできずに後悔する気がした。

目的には優先度をつけ、「必ずやる(買う)」と「可能ならやる(買う)」に分けた。そのあたりはその時の気分やコンディションで調整すれば、ひとり旅っぽさも味わえるはずだ、と。

包装がかわいいラー油
買い物がゆっくりできるのも嬉しい!

わたしは車の運転ができないので、どこへ行くにも電車やバス頼り。これもとても新鮮だった。夫をはじめ、過去の恋人はみんな車移動を好んだので、わたしはあまり電車の旅をしたことがない。わたし自身は車窓を流れる景色を眺めながらぼーっと考え事をするのが好きなので、電車で遠出するのは結構好きなのだけれど。

ちなみに佐原はとても遠くアクセスが良くないので、電車の時間だけは非常にシビアだった。

香取神宮にて

前置きが長くなったが、結論としてひとり旅は最高だった。最高オブ最高。なんでもっとはやくやらなかった? と思うレベルで楽しかった。

もちろん、誰かと行く旅にはそれなりの良さがある。でもひとり旅にはまた別の良さがあることを知った。

よくひとり旅には「人との出会い」があるなんて言われる。とはいえわたしは他人とふれあうタイプの人間ではないので、それには一切期待していなかった。でも意外とあるもので、佐原駅前から香取神宮へ向かうために乗ったタクシーの運転手さんとちょっと仲良くなったりした。
おかげで、本殿の御朱印だけいただいて帰ろうと思っていたのに奥宮にも行けたし、参道で厄落とし団子なるものも買えた。旅の思い出をありがとう、運転手さん!

運転手さんにもおすそ分けしてみた


人生2度目の夜行バスチャレンジ

このデビュー旅は、自分自身がひとり旅を楽しめるかのテスト旅でもあった。だからテストついでに、行きは一度痛い目を見た夜行バスに再びチャレンジしたし(前回は4列シートでぎゅうぎゅうだったので、今回は3列シートかつ女性専用席にした。なかなか快適で、旅っぽさも加わって悪くない!)、旅そのものを楽しむために準備も結構しっかりしていった。荷物はちょっと多くなったしお金もちょっとかけすぎた気がするけど、別にいいんです。ここからコンパクトにしていけばいいので。

慣れないことをしたからアクシデントもいろいろあったけれど、大目的さえ達成できてればOK。何より、空気を読んで周りに気を遣う癖のあるわたしには、「何かトラブルがあっても困るのはわたしだけ」という謎の安心感が心地良かった。

インスタで見つけたおしゃれキャッフェにも行きました

わたしは移動しながらぼーっとしたり、考え事をしたりするのが好きなのだけど、ひとり旅はこれと最高に相性が良い。誰かと行く旅とは性質がまったく異なるわけで、こんな旅もあるんだなと思いながらぼんやりと海を眺めていた。

観光船にて。ハチャメチャに吹き荒れる風

ミニ三脚として有名なゴリラポッドを購入して、旅のおともに連れて行った。子どもが生まれ、歳を重ねるごとに自分の写真なんてどんどん撮らなくなっていったのだけれど、オール物撮り&景色撮りになってしまうのもちょっと寂しいかなということで。

絶望的なほどにピント合わせに失敗している

実はこれも結構楽しかった。いかにうまいこと景色と自分を画角におさめるか。カメラ目線でなくあえて外したエモみのある写真を撮るにはどうしたら…? などなど、試行錯誤が楽しいのだ。はたから見たら相当に痛々しい人かもしれないが、この際旅の恥はかき捨て、である。

ちなみに、標準カメラで撮ると自分の顔にガッカリするので、美肌カメラアプリがめちゃめちゃ活躍した。実物より相当綺麗に写るので、テンションが上がる。

千葉みなとのポートパーク、ずーっと眺めていたいほど綺麗だった

今回の旅で、自分がひとり旅に何を求めているかがなんとなくわかった気がする。もっと大きなことを言うなら、今の自分が何を欲しがっているのか、だろうか。いい年して自分探しの旅みがあって、ちょっと恥ずかしいのだけれど。

やっぱり、定期的にひとりの時間が必要なんだなと再認識した。誰にも何にも邪魔されず、ひとりでぼーっとする時間。そういえば、わたしにまだ「ひとり」の時間がたっぷりあった学生の頃はよくそうして物思いに耽っていた気がする。

というわけで何度も言うけどひとり旅最高。家族がOKを出してくれないと行けないのでそう頻繁には無理だけれど、そこはもうご理解いただこうと思っている。

今度はどこに行こうかな。

何か素敵な写真を撮ろうとして失敗している写真




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