20200221リスクとは何か

【リスクとは何か】適切なリスクテイクのススメ

(1)リスクとは何か
「リスク」ほど、多種多様な意味を持つ言葉は珍しいのではないでしょうか。この言葉の意味を整理すると、主に3つの用途があると思います。
①危険:最も一般的な意味。「リスクがあるから止める」というときによく使います。
②リターンに対するバラつき:投資の分野でリスクというとこの意味です。
③目的の達成に影響を与える事象:企業のリスクマネジメント等に使います。
 ①は、マイナスの意味しかありません。しかし、②は、高いリスクを取れば、高いリターンが得られる。③は、大きな目標は、達成に影響を与える不確実な要素がたくさんあるけど、達成すれば、前人未到の偉業を成しえる。といった、プラスの意味もあります。
 かつては、「リスク」といえば、単に危険を意味する言葉でした。ところが、近年では、「リスクを取らなければリターンは得られない。」、「リスクを取らないリスク」と言われ、適切なリスクを取り、リターンを追求することが大事と言われるようになりました。これは、どちらかというと②、③に近い意味ではないでしょうか。
 そもそも、リスクの語源は、ラテン語の「risicare」(勇気をもって試みる)だと言われています。勇気が必要なことだからこそ、危険が多い。しかし、勇気をもって試みるからこそ、得られるものがある。逆に挑戦しなければ何も得られない。そういう先人の知恵が、この言葉には詰まっているのではないでしょうか。

(2)リスクと向き合う方法
  では、具体的にどのようにリスクと向き合えばよいのでしょうか。
リスク管理には、以下のステップがあります。
①リスクの洗い出し:目標達成に影響する要素を洗い出す。
②リスク評価:各リスクの影響度合いを測る。発生確率×影響額で評価。
③リスク対策:評価したリスクに優先順位をつけ、対応策を講じる。
〈主な対応策〉
㋐ 受容:大したリスクではないので、何も対策しない。
㋑ 回避:リスクが許容できないので、事業から撤退する。
㋒ 活用:リスクテイクする。
㋓ 低減:大きなリスクを小さくする。耐震補強など。
㋔ 共有:第三者とリスクを分け合う。保険をかけるなど。
 このようなステップを経て、自分の周りにあるリスクを認識し、対策を講じることが重要です。最近では、リターンを得るために、積極的に取るべきリスク(リスクアペタイト)を定め、ルール化(リスクアペタイトフレームワーク)し、従業員に周知する企業も現れてきています。サラリーマンもリスク管理を学ぶ時代が来ているのかもしれませんね。

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