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#尾野真千子

おおさかシネマフェスティバル表彰式—片山友希さんと尾野真千子さんコメント—

おおさかシネマフェスティバル表彰式—片山友希さんと尾野真千子さんコメント—

片山友希さんは、とにかく細かった!
浜村:素晴らしかった。あれは地ですか?
片山:いや、地ではないです。この役できるんだろうか、という苛立ちがケイちゃんとリンクしたのかな、と思っています。そういう意味では地下もしれません。
浜村:あなたが引っ張っていく場面がありましたね。
片山:実際には尾野さんに引っ張っていただきました。
浜村:難しかったのはどういった場面でしょうか。 
片山:全部すごく悩んでい

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連続テレビ小説「カーネーション」放送10年・岸和田市市政施行100周年『おかえり糸子!カーネーション ファンミーティング』トーク書き起こし(2022.3.5.開催)

連続テレビ小説「カーネーション」放送10年・岸和田市市政施行100周年『おかえり糸子!カーネーション ファンミーティング』トーク書き起こし(2022.3.5.開催)

尾:尾野真千子さん
城:城谷厚司さん(カーネーションプロデューサー)
比:比留木剛史アナウンサー

 尾野さんはなんと、ミシンに初めて触るときに来ていた矢絣の着物にグリーンの袴、赤い足袋におさげ髪(両手に赤いうちわ)、という姿で登場した。雰囲気はあの時のまま!↓

比:最初にご挨拶を。
尾:色々笑って、いろんなこと忘れて帰ってください。
比:今日は女学生時代の衣装で。尾野さんのアイディアですか?

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『茜色に焼かれる』:紹介文

『茜色に焼かれる』:紹介文

 シングルマザー、風俗嬢、いじめに遭う息子など、コロナ禍が浮き彫りにした「なめられる側にいる人たち」の物語。映画は「田中良子は芝居が得意だ」という一文で始まる。経済的に追い詰められた良子はスーパーのパートのほか、風俗店でも働くのだが、そんな状況を「まあ頑張りましょう」の一言で流しながら生きる。つまり良子はずっと芝居しながら生きている。ある日風俗業仲間のケイがそこに切り込み、良子は初めて本心をさらす

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毎日映画コンクール表彰式

毎日映画コンクール表彰式

 昨日は尾野さんが主演女優賞を受賞した毎日映画コンクールの表彰式だった。息子の純平役を演じた和田庵さん、風俗業仲間のケイちゃんを演じた片山友希さんも、スポニチ新人賞を受賞して、表彰式では三人が顔を合わせた。感激である。

 尾野さんは「女優をしていて孤独を感じることがあったが、この作品は皆で作った」といつもながらの、思っていないことは何も入っていない的確なスピーチをした後、「今はみんなと…飲みたい

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キネマ旬報ベストテン 主演女優賞に思う

キネマ旬報ベストテン 主演女優賞に思う

 尾野さんが『茜色に焼かれる』で五つめの受賞である。しかも、商業的なものではなく、純粋に映画を愛する人たちのための賞ばかり、というところに、ファンとして誇りと喜びを感じずにはいられない。
 ところで人間には二種類ある、と私は思っている。棚ボタのある人とない人である。これは決して、棚ボタを「うまいことやりやがって」などと貶したいのではない。100の力のうち100を出すことで物凄いものを見せる人と、な

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映画は、芝居だ—『茜色に焼かれる』、毎日映画コンクール女優主演賞—

映画は、芝居だ—『茜色に焼かれる』、毎日映画コンクール女優主演賞—

 私の心をとらえてやまない石井監督の映画、『茜色に焼かれる』がまたまた快挙を成し遂げた。尾野さんが女優主演賞、息子の純平を演じた和田庵さん、良子さんと語り合う仲であり、純平くんの想い人となるケイちゃんを演じた片山友希さんがスポニチグランプリ新人賞である。これで尾野さんは、TAMA映画賞主演女優賞、山路ふみ子女優賞、ヨコハマ映画祭主演女優賞、毎日映画コンクール女優主演賞と、4つめの受賞となった。まこ

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『茜色に焼かれる』について、作り手に聞いてみたいこと

『茜色に焼かれる』について、作り手に聞いてみたいこと

『茜色に焼かれる』は見れば見るほど色んなことを考えてしまう映画で、これまでとりとめもなく色んな角度からポツリポツリと考察を連ねてきたけれど、もし一つのまとまった形にするなら、どういう手順がいいだろうかと考えてみた。(『茜色』で卒論を書くなら、どんな章立てが可能か、ということである。)

1)作品の位置づけ:可視化された「社会的弱者」ということから、三つのキーワードに着目する。
 『茜色に焼かれる』

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『カーネーション』第三週「熱い思い」

『カーネーション』第三週「熱い思い」

13)糸子は「働きとうて働くんや」と女学校のみんなに挨拶をすませ、安岡のおばちゃんに「なんちゃらいう外国のごちそう」であるカレーを食べさせてもらう。初めての物でも美味しそう!と飛びつく糸子と、ご飯だけでええ、と怖気づくヘタレの勘助の態度に性格が現れる。「朝や!」の爽やかな目覚めは「8時!?」とはえらい違いで、勢い込んで行った桝谷パッチ店は、お茶の順番やら縦縦横横やら、知らないことがいっぱいあって、

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『カーネーション』第2週「運命を開く」

『カーネーション』第2週「運命を開く」

7)奈津は何を言ってもすげなく「何にも」で返し、糸子は三角に夢中になっている。大好きなはずのお裁縫の時間は、「好きすぎるっちゅうのも困ったもんで」、学校で習うことなどとっくに超越してしまっている。女学校というのは宿題だの何だのと制約も多いところで、糸子は「早う大人になりたい」と思う。謡の教室のエピソードで「学費がないこと」を示し、相変わらず集金が嫌いな善作は糸子を遠くまで集金にやる。そこでついに糸

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『カーネーション』第1週「あこがれ」

『カーネーション』第1週「あこがれ」

 BS12で『カーネーション』の再放送が始まった。再放送はこれで3度目であり、いかにこの朝ドラが特別なものかがわかる。今回は、月曜日に一週間分、連続6回の放送なので、見終わったらもう頭の中がパンパンになるのだが、せっかくなので週ごとにあらすじをまとめていくことにした。「時は大正、岸和田に、生まれた一人の女の子、名前を小原糸子と申します。着物の時代にドレスに出会い、夢見て、愛して、駆け抜けた、これは

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立教大学公開シンポジウム 「終戦から70年 ドラマ『カーネーション』に見る私たちの過去、現在そして未来」 2015.8.27.

立教大学公開シンポジウム 「終戦から70年 ドラマ『カーネーション』に見る私たちの過去、現在そして未来」 2015.8.27.

(2015年にTwitlongerに上げたものをこちらに転載しました。)

司会は立教大学長有紀枝先生。
冒頭、「二人糸子のうた」に続いて『総集編前編』のオープニング。続いて、『総集編前編』より、糸子、おばあちゃん、勝さんの三人暮らしのシーンから「お昼にしよけ」までが流れる。

長)今日は夏休み中の大学ということで、何人が来てくださるのかとドキドキしていた。それを渡辺さんに言ったら「数少ないのは慣

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『茜色に焼かれる』トークショー 尾野真千子×石井裕也 於キネカ大森 2021.7.31

『茜色に焼かれる』トークショー 尾野真千子×石井裕也 於キネカ大森 2021.7.31

 尾野さんは茄子紺のストンとしたワンピースに、黒と白のスニーカー。前髪がぱらっと垂れて、メイクは薄めでとてもナチュラルで、ものすごくきれいだった。

——最初のご挨拶を、では尾野さんから。
尾野:こんにちは。本日はお越しくださりありがとうございます。時間の許す限り、楽しんでいって下さい。
——改めて、撮影を振り返って。撮影当時の思い出、何かありますか。
尾野:当時(間が空く)、あー、何かあるかなー

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栃折久美子さんのご冥福を祈りつつ—『火の魚』ドラマと原作の比較—

栃折久美子さんのご冥福を祈りつつ—『火の魚』ドラマと原作の比較—

 栃折久美子さんの訃報に接し、ご冥福をお祈りするとともに、私に多大な影響を与えた『火の魚』について、ドラマと原作を比較してみた。これは以前Twitlongerに書いたものだが、こなれていない表現もあったことからそれを改め、また最後に今思うことを加筆している。

 原作『火の魚』は、『蜜のあわれ』という物語の表紙に、「私」の知り合いの折見とち子(言うまでもなく栃折久美子のアナグラム)が取った魚拓を用

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ルールを守ること—映画『茜色に焼かれる』を見て その6—

ルールを守ること—映画『茜色に焼かれる』を見て その6—

 『茜色に焼かれる』にはいくつかのルールが登場し、良子さんは「ルールだから」と自分に言い聞かせ、それを守ろうとする。けれど実際には、こうしたルールは良子さんと純平くんを決して幸せにはしない。「僕たちはいつもルールというルールに裏切られる。」では、二人はどんなルールに裏切られてきたのだろう。

 まず、ルールを守り、青信号の横断歩道を渡っていた陽一さんは、ブレーキとアクセルを踏み間違えた車によって殺

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