Instagramで、ことばと言語聴覚士について毎日発信しています
こんにちは。言語聴覚士のななさんです。
言語聴覚士はきこえとことばの専門家で、国家資格です。こどもから大人まで、ことばのお悩みや困りごとを抱える方の相談・支援をなりわいとしています。
さて、このたびInstagramで情報発信を始めました
主にお子さんのことばの発達について、ちょっぴり言語聴覚士について、グラフィックにまとめてわかりやすくを心掛けつつ配信しています。
もともとは、コトリドリルの宣伝アカウントとして12月からゆっくり運用を開始し、相談室ことりのオープンを目前とした3月中旬より毎日更新に切り替えて継続しています。
どうせ宣伝するにしても、ことばの発達を支援する専門職として、やれることはないか。考えた結果、いまのような形になりました。
おかげさまで、お子さんのいる保護者の方、子どもを支援する職種業界の方などからご好評をいただいています(4月12日現在、450人の方にフォローいただいています)。
発信する上で心掛けていること
・専門職でない人にわかりやすい
・気持ちがしんどいときにも見られるデザイン
・繰り返し使える
・先生たちが説明する資料として共有したり活かしてもらえる
専門職でない人にわかりやすい
これはもう、言わずもがなではあるのですが、言うは易く行うは難しの最たるものだと思います。
専門用語とは便利なもので、
○他者の視線の先を追い、同じ物事を共有する=ジョイント・アテンション(共同注視)
○ことばを構成する音ひとつひとつを思い浮かべ、適切に並べ、指令を送り出す=音韻操作
専門家同士だと、たったひとことである程度通じてしまいます。
しかし、お子さんは言語聴覚士と過ごす時間よりもご家庭で、園で、学校で、放課後デイで過ごす時間のほうが圧倒的に長い。そこでかかわってくれる大人の方にこうしたことを理解していただき、心強い味方になっていただいたほうがメリットが大きい。そのために、伝わりやすくわかりやすいを目指すことにしました。
余談ですが、言語聴覚士はコミュニケーションの専門家をうたっており、音声コミュニケーション(聴く・話す)がなんらかの理由で難しい人のために拡大・代替コミュニケーション(Augmentative & Alternative Communication: AAC)を提案するのも仕事のうちのひとつです。しかし、現行のカリキュラムでは聴覚系や脳の言語処理のメカニズムについて豊富に学ぶことはあっても、視覚コミュニケーション(=デザイン・視覚心理学など)を学ぶことはありません。実は、”見やすさ”や”見てのわかりやすさ”、”伝わりやすさ”の工夫を、独学だったり手探りでやるしかない現状。わたしがインスタを続ける隠れ目的として、ここらへんの勉強の成果をアウトプットする修行の場という目的もあります。
気持ちがしんどいときにも見られるデザイン
発信の対象としてInstagramを選んだのは、0~7歳くらいのお子さんをお持ちのお母さんがいちばん多いメディアだと聞いたから。インスタといえばオシャレ、のイメージでしたが、いまはインフォグラフィックスを製作したり漫画を掲載したりして情報発信に使用する人もけっこういらっしゃいます。みてみると、当事者側の体験談は豊富にあるのですが、専門家側からの発信が少なく、なかには誤情報が出回っていることも。
お子さんの発達は、非常にデリケートな問題で、保護者の方は精神的なタフネスが求められます。ことばの発達が遅いのかも、自身のお子さんに障害があるかもという不安を肩代わりしてあげることはできませんが、見て負担を強いない優しいデザインにすることはできる。ぶっちゃけ、心が弱っているときに、いかついフォントのどぎついカラーリング、文字量大量の啓発テキストとか見たくないと思うんですよね。
わたし一人の力量では限りはありますが、内容はできる限り正しく、デザインはやわらかく、を努力目標にしていきたい。
先生たちが説明する資料として共有したり活かしてもらえる
もうひとつの拡大的な目標として、言語聴覚士や児童発達支援の先生方、ことばときこえの教室の先生、特別支援教育の先生、臨床心理士や作業療法士、そのほか医療職の先生方にstkotoriインスタグラムを保護者の方向けの説明資料として活用いただけたら、というのがあります。
たとえば、わたしのつくったグラのなかで最も閲覧数の多いこのポスト。
お子さんの発音獲得の順序をピラミッド(階層)で示した図です。こちらは発音練習の開始時期の説明や、いま目指したいお話の状態を親御さんと共有するのに、お使いいただいている言語聴覚士の先生がいます。
わたしも、ことばの相談室ことり に相談にみえる親御さんにこれらの図を持ち出し、説明を行うことで仕事がぐっとラクになり、介入の質に厚みが出て、ゴールのイメージ共有がしやすくなったように感じています。
多くのコストを掛けてつくるなら、わたしも最大限、繰り返し使えるし、ほかの先生方にも活用いただける。そんなインフォグラフィックスを製作しています。
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