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ウガンダのルブゴ(バーククロス=樹皮布)

ガンダ国王とガンダの人々が戴冠式の時に纏う衣装はガンダ語ではルブゴ、英語ではbark-clothと呼ばれる木の皮を布状になめしたもので作られています。(写真はBlogspotよりお借りしました。)柔らかな風合と、赤みがかった明るい茶色、100%天然ならではの不規則な表面のテクスチャが魅力です。ガンダ王国の時代には、ルブゴは、体を覆う布、カーテン、カーペットとして、生活のあらゆる場面で使用されていましたので、ルブゴとガンダ文化は切り離す事ができません。ナントンゴ・プロジェクトでも、手作り作品の素材として2010年頃からルブゴを使用しています。ここで、改めてルブゴの特徴をお話したいと思います。

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生産技術

シンプルで、4つのステップで完了します。

1.ムトゥバ(イチジクの一種)の木の内皮を剥ぐ
2.柔らかくするために水に浸ける
3.木槌で叩いて薄く布状に伸ばす
4.天日干しで乾燥する

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ただし、木槌でたたく工程の手作業は長時間に及び、体力と持久力を要します。添加物を使用せず、人間の力だけを使って生産されるので非常に環境に優しい製品です。

ルブゴ生産の技術はユネスコの世界無形文化遺産として2008年に登録されました。ユネスコのYouTube動画をご覧になるとルブゴの作り方や、ブガンダの国王がセレモニーでルブゴを着用する様子がご覧になれます。

ガンダ文化の中でルブゴの役割

ウガンダ共和国の中央~南部を占めるガンダ族の地、ガンダ王国では、アラブ人や西洋人によって綿布が持ち込まれる以前には、ルブゴは生活のあらゆる場面で使用されていました。衣服、カーテン、シーツ等にされるだけでなく、ルブゴで納税も行われていました。ところが、西洋人のミッショナリーやイギリスの統治時代を経て、ウガンダ独立後には、政争で国王が追放され、内戦の時期を経て、ルブゴが使用される場面は次第に限定的になりました。葬儀の時、埋葬する遺体を包む事がルブゴの主な使用目的という時期もありました。1993年にガンダ王政が文化的・象徴的な役割として復活されると、ガンダ国王の衣装や、伝統行事に参列するガンダ族の人々の衣装等にもルブゴが復活し、ルブゴが、ガンダ人の誇りの象徴となりました。近年では、ウガンダのデザイナーやアーティストらによってその価値が更に見直され、アクセサリーやインテリア等、様々な用途に使用されています。外国人観光客向けのクラフトショップでも、バッグ、ポーチ等の小物やアート作品として加工されたルブゴを入手する事ができます。

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ルブゴが育む環境

ルブゴに加工されるムトゥバという樹木は、赤道直下の熱帯雨林気候で育ちます。
ルブゴに使用する内皮は、木の幹に切り込みを入れて5㎜程の厚さで剥ぎ取られますが、その跡を、周辺に生えているバナナの葉で包帯状に巻いて保護しておけば、半年~1年後に,再生産する事ができます。このようにして、一本のムトゥバは40年間、ルブゴを生み出し続ける事ができると言われています。皮を剥がれても木自体は健康なままなので、酸素の排出はもちろん、動物の食糧となる果樹を実らせることもできます。ルブゴの生産には、生産者の収入向上、環境保護、文化遺産の継承という3方向での重要な課題に貢献する可能性があります。

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ルブゴ作りを見学した際の詳しい様子を、別記事で紹介しています。

ウガンダの義理ママの村へ、ルブゴ(樹皮布)作りを見学に行きましたー①

義理ママの村にルブゴ(樹皮布)作りを見学しに行った話ー②



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