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ガリーボーイの感想(ネタバレあり)

MOVIX京都で鑑賞。そこそこ混んでた。ヒロインが暴力をふるう度、笑いが起こるいい環境だった。

主人公は確かに貧乏な環境にはいるのだけど、女にはモテるし、なんとか大学にも行けてるし、おじさんに仕事を紹介してもらえるつてもあるので、正直そこまでドン底の生活ではない。貧しいけどなんとか生きてはいけるという状況。
ただその「生きてるだけでいいのか?」という所にこそフォーカスしているのが「クリード」とかにも通じる現代的な若者像の映画になっていると思う。

それでいて身分違いの恋人との恋や、家族との切っても切れない繋がりなど、馴染みのある王道なインド映画にもなっていて、他の映画ならミュージカルになりそうな所を今作はラップに置き換えているのが面白かった。

僕はインドのラップを全く聴いた事が無かったので、こんなカッコ良い人達が居るのか?とまず驚いた。
音楽は普遍的でどこの国の誰にでも心に響くし、自己表現として意味や形を変えて広がっていく様子にとても感動する。
何という曲かは分からないけど、最初の方で主人公がウォークマンを聴きながら父親が新しい妻を迎える結婚式シーンで流れるラップが厳しい状況とミスマッチだからこそピッタリハマるバランスになっていてとても胸に響く。あそこ大好き。

あとMV的なラップシーンとかもめちゃくちゃ決まっていて、音楽映画としての撮影も素晴らしい。

キャストも魅力的な人ばかり。まず若い時のレイチェル・ワイズみたいなヒロインが単純にめちゃくちゃ美人。
やたら暴力的な性格なのだけど、家族からの圧力を上手くかわす強かさもあるのが、とても新鮮なヒロイン像で好きになってしまう。

あと何といっても一番カッコいいMCシェールを演じたシッダーント・チャトゥルヴェーディーさん。あまりにカッコ良すぎて主人公が霞む。最初のライブシーンのヤジを飛ばした失礼な客に対してラップで反撃する所から心を鷲掴みにされる。
精神的に常に余裕をみせる人なのだけど、主人公と同じく父親との関係に悩んでいて終盤のラップ対決でそこを突かれた時の微細な表情の変化が切ない。結局決勝に行く事が叶わないのだけど、主人公の方をふり向いた時の笑顔の眩しさに思わず落涙。

スカイ役のカルキ・ケクランさんも良い存在感。フランス人の両親を持つボリウッド俳優さんらしい。人種不明なのに全く違和感なくそこにいる感じが素敵。主人公との恋愛関係の割り切り方がカッコいい。

でもこんだけキャラが立った人ばかりなせいで逆に主人公は割りを食った印象。
いやラップはもちろん上手いし、見た目もカッコいいし、物語的な成長も描かれるのだけどシェールとかの魅力に比べるとそれなりな気がしてしまった。物語の中ではシェールを超えた存在になったはずなのにあんまり説得力が無かった。
そしてフードしてるのあんまり似合ってない。

悪友との顛末もちょっと主人公に都合が良すぎて冷めた。特に理由もないのに子供を巻き込むな!という主張も、後の悪友の方の本心を知っると「何も知らないくせにでしゃばってカッコ悪かったな、こいつ」と振り返ってガッカリする描写になってた。
結局主人公が自分の意志で車を盗んだ件に対して何の罰もないのもかなりモヤモヤする。

あと不満点でいうと上映時間が実際長いし、観ていて長く感じた。
色々と要素が多過ぎて飲み込み辛かった気がする。
その割にヒロインが結婚するって嘘ついた件がうやむやでスッキリしないし、父親の所に嫁いできた新妻との関係とかも和解も決別も描かないので気持ち悪いし、なんだかモヤモヤが残る描写も多い。
実話モノらしいので実話故のバランスの悪さかも知れないけど個人的にはもっとシンプルに主人公だけに的を絞った語り口の方が好み。

そんな感じで、お話し的に不満点もあるけどインド発のラップ映画でここまでカッコいいものが観れることに驚いたし、音楽はどのシーンも素晴らしかった。
あと願望としてシェールがカッコ良すぎるのでスピンオフ映画をお願いしたい。

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映画好きです。京都の映画館で鑑賞してます。Twitter → http://twitter.com/77777nansuke

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