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HOMESTAYの感想(ネタバレあり)

シネマクティフ東京支部さんでやっているPodcastの「Diggin' Amazon Prime Video」というコーナーに参加させて頂いていて、先月のお題作品になっております。こちらではネタバレなしでお話しさせて頂いております。↓

他の映像化作品と比べて

原作は児童小説という事らしいのだけど、この客観的な目線から嫌いな自分と向き合っていく主人公に思春期的な普遍性があって、世界中のいつの時代の若者にも響くお話なんだろうなぁと思った。
今回のHOMESTAYに至るまで色んなバージョンがあったので、観れる分だけ観てから挑んだのだけど、その比較が面白かった。

まず原恵一監督のアニメ映画「カラフル」、その次に2019年に公開の実写映画でタイで製作された「ホームステイ ボクと僕の100日間」、この二作がU-NEXTにあったので予習してから今回のアマゾンプライムビデオオリジナル版を観た。この他にも田中聖主演の一番初めに実写化された「カラフル」という作品があるらしいのだけどそれは近所のTSUTAYA等を調べてもなかったので末鑑賞。あと原作も未読。

原恵一版「カラフル」

原恵一監督の「カラフル」は今回初見だったのだけど、主人公が他二作が高校生だったのに対し中学生でかなり幼い印象。
前半はその幼さもあり学校生活での色恋の話より家族内での空気の重いやりとりがメインで主人公自体も中二的な反抗期全開だし、なかなか陰鬱で観てるだけで結構キツかった。特に母親への当たりの強さが最悪で目を覆いたくなる恥ずかしい感覚。
こういう地味で繊細な家族描写の演出はさすが原恵一監督といった感じで、主人公の成長との寄り添い方が都合が良くなくて真摯。

そんな重いトーンから主人公が初めて出来る友達、早乙女君とのエピソードで一気に軽やかになっていく感じがとても楽しい。
彼をきっかけに進路を決めて自分の人生に目覚めていく展開がとても爽やか。
他二作が結構恋愛要素が重要だったのに対し男同士の可愛らしい友情で感動させてくる感じが良い意味でボンクラ感があって楽しい。

タイ版「ホームステイ ボクと僕の100日間」

タイ版のホームステイは冒頭から凄いVFX描写満載で、主人公が死後の世界に片足を突っ込んでる事をさ示す描写がケレン味たっぷりでいきなり楽しい。
原恵一版カラフルが家族描写や男の子同士の友情描写に力を入れていたのに対しこちらはかなり恋愛描写に比重が割かれていて、よりキャッチーな青春映画というバランス。
それでいて説明セリフや心象ナレーションに頼らないシーン毎の映画的な演出もしっかりしていて実写化という意味でもかなりレベルが高いと思う。

「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」のスタッフが手掛けているという売り文句があっただけに学力社会の闇的な要素がかなり印象的で原恵一版カラフルとはまた違う理由で男性に搾取される女性がきつく描かれているのが日本の青春映画と一味違う雰囲気、、タイならではのアレンジなのかなと思う。

あとヒロイン役チャープラン・アーリークンさんがとても可愛らしくてちょっとビックリするレベル。バンコク版AKBグループBNK48のキャプテンらしく、彼女のアイドル映画としても素晴らしいと思う。

「HOMESTAY」

そんな感じで過去作を復習して観た今作なのだけど、基本的にはかなりタイ版のホームステイに近い印象。
色々な要素が盛り沢山だったタイ版とは違いこちらは大分スッキリしていて上映時間も他二作に比べると結構短め。映画館と違い家のテレビやスマホで観るのを前提に製作された配信限定作品なのであまり映画を観慣れていない人にも集中しやすい作りにしているのだと思う。
心象ナレーションなどが多いし、メインじゃない登場人物の記号っぽさ等、個人的には映画としての見応えはタイ版に比べると低いとは思うけど、それでも役者さんの演技は主要登場人物みんな良かったので結構楽しめた。

特に八木莉可子さんが演じた美月先輩が良かった。前二作がその時勢によって男性から搾取される女性として描かかれていたけど、今作の彼女が抱える葛藤がとても現代的で、主人公との関係もよくある青春映画のヒロインという所に納まらないで彼女にも彼女の人生があるというバランスになっているのに好感を持った。まあ彼女の秘密がバレる過程とか(あんな所から撮影している奴の異常性よ、というか誰?)、その後の記号的すぎる周りの彼女への冷たい反応とかはもうちょっとどうにかならなかったのか、、、とは思うけど、、、。

という感じでこれ一作の感想というより他の作品と比較しながら観るのが面白かった。

あとAmazonプライムオリジナル映画で日本製作の作品は今回が初らしいけど、今後もどんどん色んな作品が作られるといいなぁ。

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