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「SAND LAND」の感想(ネタバレあり)

鳥山明原作漫画の映画化。最近のドラゴンボール映画が面白い作品が続いてたし、結構期待していた。
もう上映終わりかけだったけど滑り込みで観れた。

原作の牧歌的な温度感から映画化にするにあたってかなりアレンジが上手く出来ていると思った。
例えば映画冒頭の暗闇の中からベルゼブブ達が国王軍の車を襲う所とか、原作だと完全にベルゼブブ目線でのアクションシークエンスになっているのだけど、今回の映画では襲われる兵士の目線から暗闇の中から魔物に襲われる緊張感とかが良く映画としての掴みとして上手くアレンジできてたと思う。

改変ポイントで一番大きいのはラストのゼウ将軍とのバトルで、原作に登場しなかった馬鹿でかい飛行艇や、虫人間の数も大増量で、見せ場としての派手さが増しているのが楽しい。
鳥山明の漫画の雰囲気ならサラッと終わっていく原作通りのラストでも味わい深くて良いのだけど、映画にする上でのケレンとしてちょっと地味過ぎる気もするので今回のバランスも素晴らしいと思う。

それとゼウとの決着という意味では今作の映画版の改変が最高に熱いと思う。
原作だとアレ将軍の攻撃でゼウがそのまま死んでしまうアッサリしたものなのだけど、今回の映画ではシバというあまりに大きな過ちを背負わされた人間がゼウ将軍をあえて「殺さない」という選択をするのが、一緒に旅をしたベルゼブブの意志に影響を受けたからこそという意味合いがより強調出来てて凄くグッときた。

鳥山明の映画化作品だともちろん言わずと知れた「ドラゴンボールシリーズ」が有名だけど、前回の「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」で初めて挑戦していたフル3DCGでのアニメ表現が今回も上手くかみ合っていたと思う。
良く考えてみれば3DCGで動く鳥山明の画って「ドラゴンクエストシリーズ」とかで昔から成功していてみんな見慣れている訳だし、お話とかに違和感なく入り込めるのも当たり前かもしれない。

冒頭のトカゲから映画で始まる所で「マッドマックス怒りのデスロード」を思わせる感じだし、こういうオマージュとかも観ていて楽しい。

映画自体の雰囲気が明るいし、ギャグも沢山あるので老若男女誰でも楽しめる映画にはなっているのだけど、良く考えるとお話自体は「戦争」や「偏見」の末にたどり着く世界の崩壊も描いていて決して軽くはない物語になっているのもバランスとして好みだった。

ほぼ主人公といって良いラウにしても戦争がトラウマになってしまった存在だし、彼がトラウマと自分の罪に向き合い、けじめをつけて、残りの人生をかけて贖罪していくお話だったと思う。

鳥山明らしい車や戦車等こだわりの乗り物描写も観ているだけで楽しい。
特に中盤の戦車4台とのバトルシーンは戦車映画としてもしっかりしたクオリティで見応えがあった。
やはりこういう戦争を知らない大量の軍人がたった1人の伝説の男に翻弄される展開は胸が踊る。

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