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「グリーンランド -地球最後の2日間-」の感想(ネタバレあり)

イオンシネマ京都桂川で鑑賞。

ワンデーフリーパスを使ったけど、久しぶりに3本くらいのハシゴをしてかなり疲れた。

お約束の中にある人間の尊厳

予告のイメージで街が破壊されるビジュアルや主演がジェラルド・バトラーだし派手なアクションシーンとかで勝負してくる作品なのかなぁ、と勝手に予想していたけど、今作はどちらかと人間ドラマ描写に力を入れていて、良い意味で期待を裏切られた。

めちゃくちゃジャンル映画的な設定だし、起きる事も世界終末モノでよく観る展開ばかりといえばそうなのだけど、そういう一つ一つのお約束的な展開の中に作り手がこちらの心に爪痕を残そうとしているのが伝わってきて、僕は全く嫌いになれない作品だった。

例えば、最初のパーティに参加していた旦那さんの思わずカッとなってしまった後の謝り方や、シェルターに入れないのに頑張って職務を全うしようとしている軍人、途中息子を誘拐した夫婦の奥さんの「この子は乗せてあげて!」という最後のセリフ、飛行機の運転手の命がけの着陸、少ししか登場しないキャラクターにも命の危険が迫った中でのギリギリの尊厳みたいなモノを掬いとっている。
そしてその殆どの登場人物が亡くなってしまう訳で、後から振り返ると「あなた達の事忘れないから!」という気持ちになる。

今だから響くパニック描写

市井の人たちは、単に彗星が近づいて「うわー綺麗だなー」みたいな呑気な空気の中、政府関係者のみが裏で動いている感じが凄く怖い。でもド級の悲劇が襲ってくるのが分かった時に出来るのが少しでもパニックにならない様に情報を開示しないというのは、嫌だけど説得力がある。

シェルターに入れる選抜メンバーがただ単にお金持ちとかではなく(まあ権力者はもちろん選抜されているんだろうけど)、医者や建設作業が出来る人など世界が滅んだ後に再建に役立つ人物に絞っているのがなんともリアルだ。

そして、あんなスマホとかテレビとかに選抜者へメッセージ送って、極秘で人の移動なんて出来る訳ないじゃん!と思ってたら案の定大パニックになっていて、飛行場での銃社会アメリカならではの大惨事になるのも怖い。

こういう国が緊急事態の土壇場で良かれと思ってやった作戦が、全然思い通りにいかず収拾がつかない感じ、今のコロナ過の現実の状況と遠くなくて一般の人がパニックでおかしくなるのも、より切実に感情移入して観てしまった。

主人公家族

ジェラルド・バトラーが珍しく武闘派じゃないというか、どちらかというとインテリなのが新鮮だった。
こういう映画でこの人が出ているならもうちょっとアクションがあってもいいようなものだけど、あくまで状況に翻弄され常に慌てふためいているのが面白いし、試練の重ね方が巧みなのでかなり感情移入してしまう。
唯一のアクションシーンである走るトラック内でのリストバンドの奪い合いで一線を越えてしまう所は思わず声が出てしまった。その後、他人の家で水を飲んで我に帰る様に後悔してしまうシーンも辛い。
ジェラルド・バトラーが人を殺す所なんてめちゃくちゃ観てきたはずなのに、改めて演技めちゃくちゃ上手いんだなぁ(当たり前だ)。

ラストの飛行機乗るために強引に止める所は、荒っぽくていかにもジェラルド・バトラーって感じ。

奥さん役のモリーナ・バッカリンも良かった。
旦那に対する複雑な感情を漂わせているのが、彼に送る視線だけで伝わってくる。
ただでさえ今回のジェラルド・バトラーはそんな強くないし、浮気したりして頼りないのに、中盤から彼が別行動になり彼女と息子が2人きりになる展開はめちゃくちゃドキドキした。
しかも息子が病気というのもサスペンスとしてかなり効いていて、「薬局に薬を取りに行かないと、、、」から、地獄の様な試練が連鎖していく展開は、観てて息つく暇もなくてしんどかった。

ディザスター描写

そんな感じで人間ドラマ重視の作品でもありつつ、ディザスター描写自体も結構良かった。

テレビで彗星近づいてきた!みたいなお祭り描写から、映像が消えて外に出てみたら時間差で衝撃波が襲ってきて大パニックになる感じは凄い怖いし、こういう隕石系のパニック映画はどういう規模で、どのタイミングで来るか分からないので常に緊張感がある。

赤い空に隕石降ってるビジュアルもベタだけど、地獄ー!って感じがストレートに伝わってきて良い。しっかりお金かける所はかけていて安っぽくなかった。

でも自分ならどうするか考えたけど、彼らの様にとにかくがむしゃらに行動は出来ないだろうなぁ。途中出てきたもう彗星見ながらお酒飲んでパーティーしているのとか凄い分かるもん。もう何も考えたくないと、なっちゃう気持ち分かり過ぎる。

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