見出し画像

【アークザラッド】ニーデル名物 魚介のスープ考察

2023年1月25日、昼前のこと。仕事の息抜きで何気なくTwitterを覗いたところ、割と本気で心臓が止まりかけた。そうッ!!!アークザラッドシリーズの世界観デザイン担当「はやしひろし氏」のツイートである!!!!

私はこの投稿を目にした直後、しばらく声にならない声を上げてウロウロしていた。仕事場所が自宅でよかったよ……外なら絶対不審者だった。

シリーズ作品をある程度遊んだ方なら、おそらくこの投稿内容の“凄さ”をお分かりいただけることだろう。だが一応説明しておくことにする。

そもそもアークザラッドのシリーズは、2023年1月現在、“ある1つの星”を舞台にした作品となる。

いわゆる「剣」と「魔法」のファンタジーだが「機械」が発展しているほか、アルディアの「近代に割と近い街並みや文明」(ややスチームパンク系かも)をはじめ各地で多種多様な生活様式を確認できる点などから見て、比較的異色かつ独自の世界観を確立しているだろう。

作中で判明する事実こそ少ないが、発言や描写にその人物の生い立ちや、その地域の文明が垣間見えるあたりからも、世界の作りこみが伺える。

そして各地の文明には、どことなく私たちの世界に通じるものがある。例えば初代主人公アークの出身国スメリアには「漢字らしき文字」や「刀」はじめ、私たちの世界の日本を思わせる要素が各所に多くちりばめられている。

だからこそ実際の私たちの世界における文明・文化を掘り下げることで、アーク世界を考察しまくれるのだ!(ただしこれは公式で断言されているわけではなく、ただの1プレイヤーが勝手に考察して楽しんでいるだけだが)


さらに物語の根底には長い長い歴史が関係している。作中の記述だけで、少なくとも「七勇者の時代」~「精霊の黄昏時代」という約4000年分の歴史の存在が確認できる。最新作のRでは七勇者の関連描写が大量追加された上、それ以前の「“神”が星へ降り立った時代」の歴史までが紐解かれた。

またアーク世界には「時渡り」という、時を渡って歴史を“改変”する能力の存在が初代&2から明かされていることから歴史はそのぶん厚くなる。しかも時渡りにて行われた“改変”の全容が見えないからこそ、その厚みは無限大に広がりゆく。ほんとどんだけ壮大なんだ。

“現在”だけでも考察可能な量が半端ないのに、加えて壮大な歴史のぶんだけ考察できる範囲が広がるわけで……アークザラッドシリーズは考察のヒントと、1つのヒントから見える情報量が濃密にすさまじく、考察しがいのある作品なのである。


詳しくは「【アークザラッド】シリーズの歩みを時系列で振り返る【年表あり】」で解説

とはいえ流石に、発表から20年経った作品の考察というのは限界がある。作中のヒントは有限だし、それをもとに現実の要素を調べまくったとしても、しょせん歴史素人が掘り下げられる範囲は限られている。

最新の据え置き機タイトルなジェネレーションの発売から間もなく20年、シリーズ最新作のアークRで最後の物語『???』が更新されてから1年半が経過。考察勢としては慢性的な稼働燃料不足な点は否めない。


そこで突如!!!!!
先の「はやし氏のツイート」が登場したわけだ!!!

こちら、はやし氏が「アークザラッド好きなプレイヤーさんの個人予想」を補足する形で「作中の地域のモチーフとなった国」に言及したものだ。

今まで部分的にはそれっぽい作中描写や作品外での言及こそあったものの、おそらく「ここまで地域を限定する形での全域に渡る言及」というのは初めてのはず。(私はもともと地方勢でイベントとか全出版物とかはチェックしきれてないし、見落としの可能性もあるが)

つまり私にとっては前触れもなく一気に現実の十数か国分の情報が考察材料として容赦なく超大量投下されたわけである。というか多すぎて数日経った今でも咀嚼しきれてないし、一生かけても消化できる気がしない。やべぇ。

しかも同日に小山英二氏からもさらなる“小話”が投下された上、さらにもう1つ追加があって。こちらもこちらで私は物凄く興奮しまくったのだが、なにぶん先の大量投下時点で脳内処理可能な情報量を大幅に超えてしまったがために、まだこちらまで理解が追いついてない。あァもったいない……。

ねぇRって本当にサービス終了した?時々頂ける“供給”が豊富かつ濃密すぎて時々混乱しそうだよ!こういう情報にお金払いたいし、なんならサプライズだったRオフライン版(仮)分の御礼課金もできてない。

公式よ、設定資料集か続編的なやつを出してくれ。新作じゃなくても「現RオフラインDL版」とか「初代~をそのまま現行機リメイク」とか「今までのイラストまとめた画集」とか見た瞬間に大歓喜で即購入するから!!!

もちろん、はやし氏および小山氏の投稿はあくまで個人的かつ非公式の内容であることは十分に理解している。だが情報をふまえて勝手に考察&妄想するのは自由ってことで、今回も勝手に考察を進めてみようと思う。

物語のネタバレを含む記事です。
■記事内画像として、アプリ『アークザラッド R(以下、アークR)』のスクリーンショットを使用しています。


【関連記事】


ニーデル名物 魚介のスープとは?

さて「膨大な新規情報をふまえて何を考察するか」だが、直後にふと頭に浮かんだのが『ニーデル名物 魚介のスープ』である。アークRのカイルのキャラクエストにてその存在が明かされた料理だ。

ニーデル自体は初代アークザラッドから登場したが、作中で移動可能な範囲が狭いこともあり、他の国以上にモチーフ特定が難しい地域となっていた。ひとくちに魚介のスープといっても、地域の事情や文化によって使われる食材・調理法はさまざまであり、作中の情報だけでは特定が難しい。

それが今回の情報で「ニーデルはオランダがモチーフらしい(ただしソースは非公式情報)」と判明。これにより、実際のオランダの状況を考察に加えることが可能となった。

当然ながらあくまでニーデルはニーデルであり、オランダはモチーフにすぎないため同一視はできない。だが「もしかしたらこうかも?」という妄想を補強する程度の材料にはなるはずだ。


■参考動画 アークRキャラクエスト Part4(カイルは42:56~)


作中で判明した『魚介のスープ』に関する情報および、それから推察される情報は以下である。

  • ニーデル名物:ニーデルで入手しやすい食材&ニーデルで一般的な調理法が使われている確率が高い。かつ名物ということで、最近の創作アレンジでなく、昔ながらの伝統料理がベースのような気がする。

  • 魚介のスープ:ニーデルで入手しやすい魚介類が使われており、かつ汁状の煮込み料理であると思われる。

  • 美味しくて人気:尖った味ではなく、おそらく一般受けしやすい万人向けの味付けだと思われる。

  • アークスの食事として日常的に提供:アークスは庶民的な活動をしているため、高級食材ではなく、大衆的な食材&調理法が使われていそう。

さらに「ニーデルはオランダがモチーフらしい」という情報をふまえると、導き出される推測は以下だ。

  • 「オランダの昔ながらの大衆料理」に近いレシピ

  • 特別な日の料理や高級料理ではなく、日常的に食べられる料理

  • 「オランダで入手しやすい魚介類など」に近い食材が使われている。

  • 味付けは「万人向け」

  • アークザラッドの世界観をふまえ、おそらく現代ではなく「少し昔のオランダでも食べられていた伝統料理」を参考にしたほうがよさそう

なお“少し昔の大衆料理”となると、以下のように考えると自然だと思う。

  • 調理法:電子レンジとかを使わず、直火とかで煮込むor焼く感じ。

  • 食材:遠隔地から流通すると高級なので、大衆料理は現地物が基本。タレやドレッシングだと、最近編み出されたレシピとかはたぶん無い。

  • 調味料:同じ理由で現地で採れるor作られる物が基本。

もちろん何かしらの要因で「例外的状況」が生まれる可能性は十分にあるし、上記が確定とも言い切れないが、今回はこの方向性で考察を進めたい。

<余談>
一昔前のヨーロッパのレシピを考察する場合、特に「香辛料(昔は地域により高価だった)」、「じゃがいも(地域によっては意外と新しい食材)」あたりが要注意食材になりやすい。ただし現実のオランダは16世紀にスパイス戦争で割と恩恵を受けてるはずなため、それ以降なら香辛料は大衆に一般化したと考えられる。

さらにニーデルは私の記憶が正しければ、「大航海時代を制した」的な記述があったはず(←ちょっとソースを忘れたので、知っている方がいらしたら教えていただけるとうれしいです!)である。現実のオランダが大航海時代にあったのは15世紀~16世紀頃のこと。ということで、アークザラッドのニーデルにも既に香辛料が一般化していそうだ。

なおアークザラッド1&2に登場するアイテム『弱りの玉』は、2の鑑定で「中にはコショウが詰まっている」と書かれていることから、あの時代のアークザラッド世界に『コショウ』が存在したことだけは確定できる。




オランダの食文化とは?

まずは前提として、オランダの食文化について調べてみることにした。

私のオランダ食文化の理解度はこのレベル↑で、現地に行ったこともない。こんな知識ペラペラ状態でいきなりレシピを調べても、理解が難しいだろうということで。


<参考サイト>
【オランダ料理】の特徴・魅力を総まとめ!
オランダのスーパーと市場で買える魚
オランダ名物の魚ハーリング(Haring)ニシン
オランダ | 世界の料理
オランダの食|オランダ観光ガイド

上記のサイトによれば、オランダ料理の特徴は以下であるとのこと。

  • 素材の味を活かしたシンプルメニューが多い。

  • 古くから食べられている優しく家庭的な味のメニューが多い。

  • パンとニシンは欠かせないメイン食材。特にニシンの塩漬け。

  • 他にも、野菜/豆/肉/ソーセージはよく食べる。

  • オランダ料理は大きく分けると、北東部/西部/南部の3種類。

  • 西部だとニシン以外の魚介も割と食べる。

  • 西部以外はあまり魚介を食べないが、ニシンはどの地域もよく食べる。

  • 煮込み料理も多い。

  • 街中のお店では魚介類の取り扱い量がかなり少ない。

  • 現代のスーパーマーケットでは、サーモン/白身魚/海老/ムール貝あたりはよく生で見かけるが、それ以外は冷凍や缶詰などの保存食状態。

  • オランダのスープといえばエルテンスープ(エンドウ豆のスープ)が圧倒的に有名で、国民食的な存在。

どのサイトを見ても、とにかく「ニシン&パン&豆」って感じの印象。ただし中には“現代ならでは”の情報もあると思うし、状況に応じて取捨選択の必要がありそうだ。特に魚介類は腐りやすいものが多いため、流通状況をふまえて考える必要があると思われる。


今回の『魚介のスープ』はニーデル名物とのことなので、きっと「魚介が獲れる地域」or「魚介が気軽に買える地域」なのだろう。

先に書いた昔知り合ったオランダの方は、確か内陸部出身とか言ってた気がする。つまり魚介類が獲れない地域の方なので、今回の『魚介スープ』のレシピを考える上で、この方の話はいったん考えなくてよいかもしれない。




実際にレシピを検索してみた

さてオランダのスープ料理を調べると、日本語サイトではとにかくエンドウ豆で作った『エルテンスープ(Erwtensoep)』一色で、他はあまり見かけなかった。

エルテンスープ【オランダ王国】 | 世界の地方料理 スクリーンショット

エルテンスープは基本、エンドウ豆・肉・野菜で作るスープらしく、魚介類が入っているレシピはざっと探した限りでは見当たらず。他の切り口で探したほうがよさそうだった。

この時点で日本語サイトでの情報収集の限界を感じたので、ここからはオランダ語で検索していくことに。


オランダ料理ではニシンがメイン食材ということで、次の切り口はニシンで攻めてみることにする。ニシンは独特のニオイがあるので、「もしかしたら香辛料とか使うのかな?」なんてわくわくしながら検索したら……

「Nederlands haring recept」検索結果 スクリーンショット

オランダのニシン料理、そもそもスープが見当たらねぇ!!!

パンにはさんだり、野菜と和えたりなどがメインで、スープにして食べてる感じがほぼほぼないのである。


というわけで今度は“ニシンのスープ”縛りで検索。

「Nederlands Haring soep recept」検索結果 スクリーンショット
「Haring soep recept」検索結果 スクリーンショット

今度はニシンのスープいっぱい出てきた!

だけど個別のレシピをちょこちょこ確認してみると、最近の創作料理系アレンジな料理っぽい紹介ばかりが並んでいる。“名物”というぐらいだから、たぶんこういう系統じゃなくて、もうちょっとシンプル系で昔ながらの定番っぽいレシピだと思うんだよなぁ。この方向性もいったん却下……。


……と、まぁこんな感じで色んな検索ワードを試しまくるうちに、ようやくそれっぽい検索結果が見つかった。

「Nederland traditionele keuken soep recept mosselen」検索結果 スクリーンショット

日本語に訳すと「オランダ 伝統料理 スープ レシピ ムール貝」である。

さらに周辺の物流の歴史をちょこちょこかじり、日持ちしやすい/しにくいなどもふまえ、古くから手に入ったはずの食材・調理法をふまえると、このあたりが正解な気がするなぁ……。


ってことでここからは、数時間ひたすら検索しまくって見つけた結果から、厳選した候補レシピをピックアップしてご紹介しよう。

紹介サイトは基本ほぼオランダ語だが、最近の翻訳ツールは割と優秀なので一括で自動翻訳などかけていただければ、かなり解読しやすくなるはずだ。

※注:以下、紹介する外国語サイトの翻訳は、すべて私の判断となるため、実際の意味と異なる可能性あり。もし実際に作る場合はご注意ください。




候補1:TRADITIONELE MOSSELSOEP(伝統的なムール貝のスープ)/ムール貝+クリームスープ系

https://www.nederlands-dis.nl/dis/soep/mosselsoep-traditionele/

画像:上記サイトのスクリーンショット

■スープの材料
ムール貝/バター or ラード/ネギ/玉ねぎ/にんじん/パセリ/セロリ/塩こしょう/セボリー/ビール or スープ/卵/生クリーム/レモン汁/粗挽き黒コショウ
■仕上げ用の材料
パセリ/チャービルの小枝/レモン/ホットオイル

※鳴海注1:セボリー(セイボリー)はスパイスの一種
※鳴海注2:記事から推測すると、材料内の「スープ」はたぶん野菜でとったもの。(現代日本で作るなら「野菜コンソメ」で代用するのが手軽かも)
※鳴海注3:「ホットオイル」は、コショウ/ニンニク/クローブ/タイムなどをオリーブオイルに漬けて作る香味油のようなものらしい

レシピを見た限りではムール貝を使ったクラムチャウダーに近い味わいだと思われる。生クリームやバターなどをたっぷり使うあたり、おそらくかなり濃厚で食べ応えのあるクリームスープだろう。ムール貝の煮汁を捨てずに加える上、野菜だしorビールも使うあたり、複合的な旨味も楽しめるはずだ。

記事によれば、「焼き立ての全粒粉パンと一緒に食べるのがおすすめ」とのこと。パンをちぎってスープにひたしながら食べるのもおいしそう!


なおこちらの記事には、以下の内容も紹介されている。

  • 伝統的にオランダの海岸では多くの魚介類が食べられていた。

  • ムール貝/カキ/甲殻類は安価で、庶民の食卓によくあがった。

サイト内の他ページの記述から推測するに、甲殻類としてはエビなどが挙げられるらしい。さらに別ページでは↓のような食材情報も紹介されていた。

オランダの現地物エッセイ的な読み物としても興味深い記事が多く揃っていたので、また時間ができたら読み進めたいサイトである。




候補2:VOOR GEKOOKTE MOSSELEN: traditioneel voor een grote pan(ムール貝の調理法: 大鍋で作る伝統料理)/ムール貝+酒煮系

https://www.nederlands-dis.nl/dis/hoofdgerecht/mosselen-gekookte/

画像:上記サイトのスクリーンショット

■スープの材料
ムール貝/リーキ/玉ねぎ/セロリ/パセリ/月桂樹の葉/辛口の白ワイン or ビール/粗挽き黒コショウ
■一緒に添えるソースの材料/レムラードソースの場合
ケッパー/マヨネーズ/マスタード/パセリ/ピクルス/タラゴン
■一緒に添えるソースの材料/マスタードソースの場合
マヨネーズ 1/3、サワークリーム 1/3 粒マスタード 1/3

※鳴海注1:「リーキ」は“ポロねぎ”“西洋ねぎ”などとも呼ばれる野菜で、日本の一般的な白ねぎとは味が少し異なる。代用するなら白ねぎの中でもやわらかい「下仁田ねぎ」あたりが近いとのこと
※鳴海注2:「レムラードソース」はマヨネーズベースのソース。香味のきいたタルタルソースみたいな味に近いが、配合により味は大きく変わる。
※鳴海注3:「タラゴン(エストラゴン)」はハーブの一種

こちらはスープとは断言されていない。だが汁ごと盛り付ける伝統料理で、使われる食材もオランダの伝統料理らしさあふれるものとなる。さらに「候補3(※スープと断言)」と作り方も近いので、スープの一種とも考えられるのではないだろうか。

レシピでは「ムール貝は貝の殻が開いたらOK(意訳)」とのことで、日本でいう“あさりの酒蒸し”みたいな感覚だろう。

香辛料や香味野菜をたっぷりきかせた白ワイン煮のため、貝の臭みをカバーする調理法になっていると思われる。焼きたてパンか厚めのチップスを添え、熱いうちにソースと一緒に食べるのがおすすめだそうだ。




候補3:Traditionele mosselsoep(伝統的なムール貝のスープ)/ムール貝+トマト+酒煮系

https://www.receptenvandaag.nl/recepten/eten/soep/674/traditionele_mosselsoep

画像:上記サイトのスクリーンショット

■スープの材料
ムール貝/白ワイン/パセリ/完熟トマト/オリーブオイル/にんにく/コショウ
■味の調整に使う調味料など
好みで、唐辛子/生クリーム/パスティス、など

※鳴海注:パスティスはお酒の一種

オリーブオイル/ニンニク/トマトなど、イタリア料理にも通じる方向の材料で、候補2と同じく“酒蒸し”的な料理だと思われる。ただし候補2とは材料が違うので、味はだいぶ異なるはず。

こちらのレシピを紹介しているのはオランダの団体が運営するサイトで、「伝統料理のスープ」と記事内で明言されている。

サイトによっては「ニンニクがオランダで使われるようになるまで期間を要した(意訳)」というような表記もあり、案外、ニンニクは新しめの食材かもしれない。だがニンニクがオランダに入り一般化してからはオランダ料理でも割と使われはじめたらしいとのこと。

他の伝統料理の記述と総合するに伝統料理にはニンニクが使われているものもあると考えられそうだ。もしかしたら“伝統料理の中では新しめ”、“もともとは一部地域だけで作られていた郷土料理”などの可能性はありそうだが。




候補4:Maaltijdsoep met mosselen en tomaat(ムール貝とトマトの食事スープ)/ムール貝+トマトスープ系

https://www.boodschappen.nl/recept/maaltijdsoep-met-mosselen-en-tomaat/

画像:上記サイトのスクリーンショット

■スープの材料
ムール貝 /オリーブオイル/オリーブオイル /玉ねぎ/ニンニク/パプリカパウダー/オレガノ/粗挽きチリペッパー/小麦粉/トマト缶/セロリ /白インゲン豆/パセリ/レモン

このレシピは“伝統料理”との記載が紹介サイトに見当たらない。だが『ニーデル名物 魚介のスープ』 自体が作中で伝統料理と決まったわけではないので、一応候補の1つとして紹介した。

ただしオランダでよく食べられる豆が含まれるなど、食材や調理法、他のスープ(現在のオランダでよく食べられるスープ)あたりから見て、少なくとも「今のオランダ料理っぽい魚介スープの一種」だと思う

レシピを見た限り、スパイスのきいたムール貝入りミネストローネみたいな味だろうか。こちらも焼きたてパンと一緒に食べるとおいしいとのこと!




候補5:Texel Fish Soup/Tesselse vissoep(テセル島の魚スープ)/白身魚+トマトスープ系

http://www.godutch.com/newspaper/recipes.php?id=62

■スープの材料
ハドック or オヒョウ/玉ねぎ/ニンジン/セロリ/にんにく/トマト/バター/白インゲン豆の缶/スープストックキューブ/ウスターソース/タバスコペッパー
■トッピングの材料
パセリ/フェタチーズ

※鳴海注1:ハドックは、タラ科の白身魚。イギリスではフィッシュアンドチップスによく使われる魚でもある。
※鳴海注2:オヒョウは、ヒラメの仲間な白身魚

こちらは私がTwitterで嬉々として延々考察を垂れ流していたところ、親切なフォロワーさんが教えてくださったレシピである。感謝!!

こちらはテセル島(オランダ北部の島)のタラやカレイを使ったスープとのこと。「淡泊で加熱後のふっくら食感が特徴的な白身魚」と「旨味と酸味がぎゅっと詰まったトマト」の組み合わせは、現代料理でも王道だ。野菜を煮込んでから、魚を切り身で加えさらに20分煮込むとのことで、しっかり煮込み味が染みた魚を味わえるトマトスープに仕上がるだろう。


サイトでは「オランダの伝統料理紹介(意訳)」というカテゴリの中で紹介されていることから、伝統料理の1つと考えてよいはずだ。材料としてはやや新しめな伝統料理といえるかもしれない。

さらにオランダ伝統料理カテゴリでは様々なスープのレシピも紹介されている。これらを研究すれば、伝統料理のスープに使われる食材や調理法の傾向を探ることもできそうだ。中にはニンニクもあることから「ニンニクを使っていてもオランダの伝統料理扱いできる」との解釈の補強にもなるだろう。

こんなにたくさんのスープレシピがあるにも関わらず「魚を使ったスープはこの1つだけ」で、ほとんどが肉か野菜がメインとなるようだ。「オランダ伝統料理における魚介スープの立ち位置」が間接的に伺える。




候補6:ZAANSE MOSTERDSOEP(ザーン地方のマスタードスープ)/小エビ+マスタード+クリームスープ系

https://www.nederlands-dis.nl/dis/soep/zaanse-mosterdsoep/

画像:上記サイトスクリーンショット(マスタードスープのイメージで、エビ入りじゃないかも)

■スープの材料
魚のスープストック/生クリーム/ザーンセ マスタード/小エビ(grijze garnalen)/卵黄/コーンスターチ/牛乳/粗挽きコショウ/塩/ホットオイル
■トッピングの材料
ディル or フェンネルグリーン

※鳴海注1:魚のスープストックは、あらかじめ魚や野菜でとったスープらしい。野菜のスープで作って、エビのかわりに細ネギの輪切りを入れるとベジタリアン仕様になるとのこと。
※鳴海注2:「ホットオイル」は、コショウ/ニンニク/クローブ/タイムなどをオリーブオイルに漬けて作る香味油のようなものらしい。

小エビ(grijze garnalen)は“日本の一般的な小エビ"とは異なる。オランダなどでよく獲れる種類らしい。日本のものとだいぶ味が違うようなので、機会があったらぜひ本場の食材で食べてみたいものだ。

そしてこちらのレシピは、ザーン地方(Zaanstreek)で第二次世界大戦直後頃から親しまれているメニューだと紹介されている。地元で買えるマスタードブランドがあるようなので、現地の調味料の味がそのまま郷土の味になっているのだろう。


マスタードスープというのは、もともとオランダ料理では定番メニューとして知られているとのことこちらのサイトではサーモン入りのマスタードスープを実際に食べる様子を見ることができる

ただしマスタードスープは魚介類限定ではなく、肉だったり野菜だったりなど、家庭やその時々によって具材が変わるようだ。確かにマスタードと合わせれば、色々な食材がおいしく頂けそうである。




おまけ:ERWTENSOEP(エンドウ豆のスープ)

https://www.nederlands-dis.nl/dis/soep/soep-erwtensoep/

画像:上記サイトのスクリーンショット

こちらはエンドウ豆やお肉を使った、伝統的なオランダ料理のスープである。日本語サイトでは例外なく「エルテンスープがオランダ料理の定番」だと紹介されているし、オランダ語や英語のサイトでもエルテンスープの紹介率は高かった。

多くの伝統レシピだと、じゃがいもやニンジンなどを使わず、セロリやエンドウ豆や肉で作るとのこと。おそらく「肉の旨味がたっぷり詰まったエンドウ豆の粗越しポタージュ」のような味だろう。鍋いっぱいに大量に作って、作った翌日に食べるとおいしいらしい。

探してみたが、魚介入りのエルテンスープのレシピは見当たらなかった。だがエルテンスープ自体は間違いなくオランダの王道の伝統料理である。ということでこの派生形に魚介スープがあってもおかしくないとは思う。




まとめ

今回は『ニーデル名物 魚介のスープ』に近いレシピを探してみたわけだが、オランダの食生活を少しうかがえ、とてもワクワクできたと思う!

個人的な予想ではオランダの食生活をふまえると、使われている魚介類は「ムール貝系の貝」か「白身魚」あたりのような気がする。ただの勘だが。

味付けは塩コショウ、香辛料やハーブが定番のようだ。

スープのベースとなる味は、クリーム/酒煮/トマトなど、伝統料理だけでもいろいろなものが見つかった。さらにオランダにはカレースープも割と昔からあったようなので、案外そのあたりも候補に入れられるかもしれない。

<余談>
こちらの参考記事によれば、現代のカレー粉のように「スパイスを炒めて味を引き出す手法は一般的じゃなかった」とのこと。昔のカレー粉の味を再現するには、市販のカレー粉ではなく「個別にスパイスを調達し、あまり炒めずにそのまま混ぜて使う」ほうがよいかもしれない。

だがアークR時点のカレー粉の扱いが「昔のオランダぐらいの理解度だったか?」は不明なため、割り切って現代日本の市販カレー粉を使っても、それはそれでありだと思う。というかそっちのほうがたぶん一般的な現代人の舌に合うはず。

案外アークザラッド世界でも、何らかの流れ(例えば、料理人の誰かが凄く旨いカレーを考案して広まったなど)で「現代カレーに近いカレー」が食べられている可能性は十分にある。


機会があれば、いろいろなレシピで実際に作って試してみたいところだが、地元っぽい魚介のスープを作るなら、まずは新鮮な現地の魚介類を手に入れることが先決である。

私は海沿いに住んでいるわけではないので、白身魚はともかく、新鮮で旨いムール貝や現地の小エビ(grijze garnalen)を入手できるあてはないし、今のところ海外旅行の予定もない。

とはいえ最近は冷凍をはじめ食材保存の技術も発展していることもあり、何かしら手段がないか、気が向いたら調べてみようと思う。


【関連記事】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?