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『ふれる』刊行に添えて:あきらめから歩み寄る

二日間ぶっ通しで本を編集しました。そういうイベントがあるのです。

こちらを担当させていただきました。朝昼晩ずっと著者さんとやりとりしていると、ふしぎと作品を通して自分のことも俯瞰できたりします。

紀野しずくさんが上梓したこの小説、とにかく、ドラマがありすぎます。
ピックアップして書かないと、ひとつの記事ぐらいじゃまとまらない。まとめられないのです。

今回お伝えするのは、

歩み寄りのはじまりは、あきらめから

──この考え、案外ネガティブじゃないと思いはじめています。
否、はじまりはネガティブに変わりないのですが。でも、そこは単なる起点であり、憔悴した気持ちからだんだんと段階を踏んでいって、人を受け入れていくのが今作では描かれています。

最初は、自分のためにあきらめる。ほんの少し気が楽になる。

ひとたび許してみれば過去のことになって、頬杖をついて考えてみる余裕が生まれる。

振り子のように行き場のない気持ちが、ニュートラルな自分に還ってくる。

自分を取り戻して、疑心暗鬼を振り払う。相手を正面から見て、正直になる。

ー ー ー

──ここまで理想的なコンボは、忙しくて消耗一辺倒の日常ではなかなか決まらないかもしれません。そりゃそうで、満員電車に押し込められればそんなことに思いを馳せる余裕もないでしょう。

でも『ふれる』はそんな、がんじがらめになった心を解きほどいてくれる作品だと思います。重たい現実を、少しずつ、やがて大きく包み込んでいく力がある。

かなり抽象的な話となってしまいましたが、
その「具体的なところ」はぜひ書籍で見ていただきたいと思います。

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芸術文/実用文の間、物書き/編集者の間をフラフラと行ったり来たりしながら、何かしら新たな価値が生まれないかと日々試行錯誤しております。
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