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【デモ報告】9.4全国一斉アクション 入管法改悪反対デモ in 東京

開催趣旨

 2022年9月4日に全国各地(仙台、東京、高崎、名古屋、大阪、京都、高知)でデモ・集会・スタンディングアクションを行いました。
私たちが全国一斉行動で求めていたのは、

①改悪入管法提出阻止
②ウィシュマさんのビデオ全面開示
③帰国できない当事者に在留資格を

です。

2021年3月6日、名古屋入管収容施設でスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが亡くなってから、今月で約1年半が経ちました。

しかし、今年3月に提訴した国賠訴訟では、政府、法務省、入管庁はウィシュマさんの死の責任を認めず、ビデオ開示の必要はないと主張し、事件の真相解明・責任追及をする姿勢は全く見られません。

さらに入管庁は、国際基準からかけ離れた厳しい認定基準により、難民や在留資格が認定されず母国に帰れない人たちなどを“送還忌避者”とし、全員を無理やりにでも母国へ送還するために、入管の権限をさらに強化する入管法改悪案を通そうとしています。

こうした入管の姿勢、動きに対して反対の声を上げるために、東京ではサイレントデモを敢行しました。

当日の様子

 全国10か所(札幌、山形、仙台、高崎、東京、浜松、名古屋、京都、大阪、高知)で約500人、東京のデモは約200人の方々が参加しました。

東京では、多くの人々が行き交う上野・御徒町の街中で、サイレントデモを開催しました。15時に上野恩賜公園野外ステージを出発し、約30分デモ行進をした後、竹町公園にて集会を行い、数名の支援者や当事者から参加者に向けてアピールをしました。

仮放免者やその配偶者、学生をはじめとして、年代、性別、国籍問わず様々な方々が参加しました。

直接デモに行くことができない東京入管の被収容者の方々から、面会を通してメッセージや絵が届けられ、それらもプラカードとして掲げました。

当事者の方々と連帯し、社会、世論に対して、問題の実態や当事者の方々の悲痛な叫びを訴えることができました。

開催日は日曜日だったこともあり、多くの人が立ち止まり、私たちの訴え、行動に目を向けていました。

普段は無関心な人々に入管の問題を知ってもらう、立ち止まって考えてもらう、関心を持ってもらうきっかけにもなったと強く感じました。

また、歩道から声をかけて応援する方、動画を撮影する方、途中からデモに加わってくださる方もいらっしゃいました。

 参加したメンバーの感想

*学生メンバーAさん
参加者は3歳くらいの子どもから80代くらいの方まで、そして仮放免者や外国ルーツの方も多く参加しました。
これまでは閑静な通りで(法務省前、東京入管前)デモを行ってきましたが、今回は上野の繁華街で行いました。そのため、開催趣旨・基調報告を思いを込めて叫ぶメンバーの声にも熱が入り、行進する参加者もしっかりプラカードを通行人に見せつけるようにしていました。
プラカードや手紙を被収容者から預かって参加者・通行人に思いを届け、道理ある当事者の立場に徹底して立って連帯することができました。
デモ開催が目的ではありません。当事者の命を脅かし心身共に苦しめる入管法改悪、そして送還一本やりを撤回させ、ウィシュマさんのビデオを全面開示させ、一刻も早く出すべき人にビザを出させるよう、今後も私たちは当事者の声に連帯して活動を続けます。
カラフルで少しポップなプラカードのおかげで、そして若い人も参加していて、通行人の方も自分達世代の人がやっている、なんだろう、他人事じゃないかもなと感じたのではないかと思います。より多くの市民が当事者に連帯して声を上げることが重要です。

*学生メンバーBさん
私はこれまでデモという行為自体に抵抗感や恐れを抱いていたのですが、今回 「仲間といっしょに歩く」 ことの楽しさ、心強さ、充実感を知りました。そして、自分の声が確かに届いていると実感することもできました。 
今回のデモは、「入管」 という言葉に耳なじみのない市民の方にも、差別や人権侵害が続いている現状を知っていただくとともに、私たち市民連合、引いてはこの問題に関心を持っている全ての人と、目指す方向や闘う姿勢を確認し合う、貴重な場になったと肌で感じました。 
当事者の方を目の前にし、お話をうかがうたび、涙が出そうなほど苦しくなるのですが、(集約でもあったように)この思いを自分の中にとどめておくのではなく、「連帯」という形で示すことに価値があるのだと思います。
また、終了後に参加者の方がおっしゃっていた 「(外国の方に対して)親切にしたら(自分たちに)返ってくるかもしれないのに」 という言葉、視点が強く印象に残っています。 

*学生メンバーCさん
それぞれバックグラウンドの異なる200人以上の人たちが、同じ思いのもとに東京デモに集まったことが何よりもすごいことだと思います。
街頭から沢山の視線が注がれていましたが、1人でも多くの方にとって、この問題に関心を持ち、考えるきっかけになればと思いデモ行進をしていました。共に声をあげる仲間の輪が広がっていくことを願っています。
今回のデモは決して一瞬のパフォーマンスではありません。
絶対に入管法改悪を阻止する。
ウィシュマさんのビデオを全面開示させる。
帰国できない当事者に対して在留資格を出させる、その強い思いがあってのものです。
誰のためにもならない現在の入管の方針を変えるため、これからも当事者と連帯した草の根の活動を続けていきます。

 

BONDから今後に向けたメッセージ

今回のデモは、多くの人々に入管の問題を知ってもらうきっかけとなりました。

 しかし、私たちはこのデモで終わりにするつもりはありません。

入管が“送還忌避者”として収容施設に長期収容されている人、働けない・健康保険に加入できないなどの自由が制限される仮放免状態に置かれている人は、母国に帰らないのではなく“帰れない”人たちです。

当事者は日本に家族がいる、母国に帰ると命の危険があるなど、深刻な事情を抱えています。

国連の恣意的拘禁委員会も、日本の入管収容は国際法違反であると述べています。 

にもかかわらず、政府は多くの帰国できない外国人にビザを与えるのではなく、「入管長期収容問題の解決」、ウクライナ避難民の保護という名目で、これまで以上に当事者を国籍国に強硬的に送還することを可能にする入管法改悪案を再提出しようとしています。改悪案が見送りになったという報道がありましたが、完全に廃案になったわけではありません。
 これは明らかな民族差別、人権侵害です。

国籍や民族が違うだけで差別や抑圧の対象とされてしまう現状を変え、一人一人の人権が尊重され、差別・抑圧・搾取のない共生社会を築けるよう、これからも入管法改悪案の廃案、ウィシュマさんのビデオの全面開示、一刻も早く帰国できない当事者にビザを与えることを求め続けていきます!

 関心の輪を広げ、皆で団結し、徹底的に当事者の立場に立ち、連帯して、共に声を上げていきましょう。