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「閑散として、きょうの街はひときわあかるい」

TOLTAのプロジェクトに呼んでいただき、最終的に一冊の詩集に参加することになりました。ご購入は下記や、「うたとポルスカ」店舗でも置いています。いい本ですのでみなさま是非どうぞ。

作り方の詳細は公式を見ていただければわかるかと思います。

4月20日から5月19日までの間の記録。
・職場は閉館していましたが、私はそれでも三日に一日くらいは職場に出て働かなければなりませんでした。
・それ以外の日は自室にこもり、時々「杉原一司歌集」の発送をする以外は冷暗所でじっとしていました。
・魘されながら短歌時評を書いていたけれど、これが何のための仕事なのか最初から最後まで分からない。
・時々発作的に長い距離を散歩して、書店に行きました。吉祥寺のルーエ、池袋のジュンク堂が開いていたのが救いでした。
・近所の店は、王将だけずっとやってて、王将が、近隣の独居老人(?)たちのデイケア施設のごとくになっているのを見届けていました。

というような話は特に書いておらず、本にも載っていません。
もっと断片的なものが16人分、集積されています。
読み返してみると、私の部分がどれに相当するのか、意外と忘れていました。明らかに私だ、というのももちろんあるんですが、そのパートを記したのがだれか、とかあんまり意味がない。

ルールは以下のように設計されていました。(あとがきから)

1 参加者はインターネット上で一つのGoogleスプレッドシートを共有する。
2 二〇二〇年四月二〇日から五月十九日までの三〇日間参加者は原則として一日一回、一つのマスを選んで一つまたは複数の文を入力する。入力された内容は即時に参加者に共有される。
3 入力の際参加者は必ずなんらかの数字を含んだ記述を行う。一回の記述の長さは五文字以上四百字以内とし、単語のみの入力は不可とする。
4 「数字が含まれた文が一つ以上ある」というルールを守っていれば記述内容に制限はない。
5 入力期間の終了後、スプレッドシートの最大四二〇マスに書かれた文章(合計33524字)をTOLTAが再構成して詩集を制作する。

完成物としての本ももちろんいいんだけど、成立過程、マスをみんなで埋めているときの様子がとてもよかったなと思いかえしています。
知らない観光地の、神社の池とか。オフィシャルな賽銭箱ではなくて、なんでか水底に小銭が散らばってたりする場所あるじゃないですか。明確な目的は無いのだけれど、定期的に人々がやってきて何かそこに置いて帰っていく仕掛け。楽しかった。

短歌の類もそのくらいの密やかさで差し出していけないかしら。
という意識で次に作ったのが、「六月が七月を迎えて、あらゆる朝に」でした。


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