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サービスブループリントのすヽめ


はじめに

こんにちは。Startup StudioでProduct Managerをやっているnaniwanです。
今回は新規サービスを検討する上でとても頻繁にお世話になっている”サービスブループリント”について、話していきたいと思います。

サービスブループリントとは?

サービスブループリントは、1984年に当時銀行役員であったリン・ショスタック(G. Lynn Shostack)氏がHarvard Business Review誌にて公開したフレームワークが始まりと言われております。

サービスブループリントを端的に説明すると、「プロダクトやサービスがユーザーに提供されるまでのプロセスを、ユーザーに見える部分(フロントステージ)からユーザーに見えない部分(バックステージ、サポートプロセス)まで時系列に可視化するフレームワーク」です。ブループリントが日本語訳で「青写真」という意味になるので、「サービス全体の完成予想図」といった意味合いで用いられることが多いです。


サービスブループリントの位置付け

似た用途で用いられるものでカスタマージャーニーマップやサービスフローが存在しますが、それらとの違いを4象限で表してみると以下の通りに説明できると思います。

フレームワーク比較4象限

簡単に解説すると、カスタマージャーニーマップは、顧客の体験を時系列に視覚化したものです。フレームワークに感情を乗せることにより一連の体験の中でどこにボトルネックがあるのか、顧客がペインに感じている箇所がどこなのかを突き詰め、潜在的に潜むソリューションを想起しやすくするという目的があります。また、サービスフローは、業務フローという言い方もしますが、実際に行っている(行う想定)の業務プロセスを網羅的に可視化するツールになります。細かいプロセスを可視化することで、一定ルール化された業務の分析や課題抽出を行い自動化やITツールの導入などの業務改善を行う際に役立てることができます。
上記で記載の通り、各々のフレームワークで目的が異なるため、現状どんな課題があり何を整理したいのかに応じて活用するフレームワークを選定する進め方が良いと考えます。

なぜ、サービスブループリントがおすすめなのか?

サービス開発を進める上でサービスブループリントの活用が良いと考える背景は、「顧客、および社内のビジネスサイドやエンジニアサイドのどのステークホルダーにとっても、かなり理解しやすい」という点にあると思います。私個人の経験においても、事業会社のプロダクトマネージャーだった際には、新規のプロダクトを検討する上でサービスブループリントを活用してプロダクトオーナーや経営陣とコンセンサスを取ることができておりました。また、現在のStartup Studioで大手企業様の新規事業をお手伝いさせていただいている際にもサービスブループリントを活用して、企業様に対して業務要件を満たしていることをレビューいただいたり、同じアウトプットを用いて協業を検討しているITベンダーにも説明し納得いただくことができています。
以上のように、サービスの全体像を様々なステークホルダーに理解いただくにはこれ以上にないフレームワークということが言えると思います。また、このフレームワークは、今までの積み重ねがない新規プロダクトのサービス検討にあたって最も力を発揮すると考えております。

サービスブループリントの書き方、例

サービスブループリントはシステム観点で語られる場合とUX観点で語られる場合の2パターンがあると思います。どちらの観点もフレームワークの構成としては変わりませんが、各要素の意味合いが若干変わってくるという点だけご留意いただいて、今回に関してはシステム観点で整理した場合の書き方について解説をしていきたいと考えます。

まずは、各要素についてご説明いたします。

Physical Evidence(物的要素)

店舗や、Webサイト、顧客の領収書や電子メールなど、ユーザーが接触するデザイン可能でフィジカルな物がこの中に含まれます。

Customer Actions(カスタマーアクション)

ウェブサイトへの訪問、注文、カスタマーサービスに関する質問など、ユーザーが目的達成するために実際に行う活動を指します。

Front Stage Actions(フロントステージアクション)

確認メールの送信や、顧客からの質問への回答など、ユーザーが目にすることのできるサービス提供側の活動を指します。

Back Stage Actions(バックステージアクション)

ウェブサイトのコンテンツ作成、注文の処理など、ユーザーの目に触れないサービス提供側の活動を指します。

Support Process(サポートプロセス)

組織の他部門、外部パートナーや第三者システムなどによって実行される活動を指します。

サービスブループリント(テンプレート)

これらの要素を意識しつつ、サービスブループリントに各要素をマッピングしていく流れになります。
記載にあたり手順などの明確なルールはないですが、個人的な進め方としては、まず初めにCustomer Actions(カスタマーアクション)を記載しその次に他の要素を付け足していく流れで一列完成させます。縦のラインが一通り埋まったら次のCustomer Actionsを埋める(あとはその繰り返し…)が、一番違和感なく進めることができております。
一通り頭からお尻までCustomer Actionsを埋めてから、他の要素をマッピングしていく進め方でも悪くないと思います。

ここでお伝えしたいこととしては、ユーザーのゴールを常に念頭に置いておくことが大事です。

上記の要素説明、手順をもとに教育コンテンツのマーケットプレイスであるUdemyを例に作成してみたサービスブループリントが以下になります。

サービスブループリント事例(Udemy)

事前準備

冒頭でもお話しした通り、サービスブループリントはサービス全体の青写真であり理想の姿(To-Be)であるため、理想を考える上で必要となる現状の姿(As-Is)と課題などの情報収集、整理が必要になってくると思います。そういった中で事前準備に適したフレームワークをご紹介したいと思います。

リーンキャンバス

 こちらはターゲットとそのターゲットが持つ課題、課題に対して我々として提供すべき独自の価値、それをどういったソリューションとして提供するのか、などを一枚で整理したフレームワークになります。この一枚に必要な情報を埋めて関係者と合意形成を図っておくことをおすすめします。もし埋まらない場合は、その理由を明らかにした上でその時点でインタビューなどの情報収集を行うべきか、後続工程への申し送りとするかについても合意しておくとスムーズにプロジェクトを進めることができると思います。

カスタマージャーニーマップ

 手前の章で「顧客の体験を時系列に視覚化したフレームワーク」とお伝えしましたが、現状(As-Is)のカスタマージャーニーマップを整理しておくことで、顧客が目的達成するまでの一連のストーリーの中での課題の解像度を高めておくことができます。リーンキャンバスだけだとどうしても簡潔な分具体的な根拠に乏しく、チーム内で納得感を醸成することが難しい場合があります。このような場合にカスタマージャーニーマップも併せて整理しておくことをおすすめします。

まとめ

今回は最近少しずつ話題になってきているが、まだまだメジャーではないサービスブループリントというフレームワークについてご紹介させていただきました。
新規事業や起業など、チームで新しくサービスを構築したいと考えられている人にはなくてはならないフレームワークになると思います。
ぜひ、実際の業務で活用いただけますと幸いです!

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