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西加奈子著『サラバ!』のススメ

要約

感想を書くことから、逃げたくなるほど良い小説


上巻を読み終わっての感想

前情報を入れずに読んだのでどういった類の小説なんだろうと戸惑いながら読んでいました。ただ、上巻を読み終わってみて私が主人公の圷歩(あくつあゆむ)だと言いたくなる程度には彼に馴染んできました。何年か経ったらこの小説の中の出来事なのか、自分に起こった出来事なのかわからなくなってそうで、ちょっと怖いぐらいです。

ちなみに上記のレビューには多少のネタバレが含まれているので知りたくない人は踏まない方が良いと思います。

下巻を読み終わっての感想

下巻読み終わって色々な思いが去来し、どうまとめたものか悩んだので一晩寝かしてみました。ただ寝かしても、結局どうまとめてよいかわからなかったので思ったことを、どういう小説なのかを書いてみようと思います。

どういう小説?

『サラバ!』は作者の思いを伝えるために書かれた小説なんじゃないかと思っています。その伝えたかった思いが、簡単に言い表せないから長い小説になって、既存の言葉に当てはめられないから「サラバ」と命名されたのではないでしょうか。なので、ここでそれが何であるかを書き表すことはできないですし、書きたくもないです。

というのも、私は『サラバ!』を読むことでいいものを受け取ったと感じています。ただし、そのいいものについてはここには書きません。なぜならそのいいものを私が無理やり明文化すると、ものすごい陳腐で安っぽい文章になって誤解を招きますし、それによって私が受け取ったものまでもいいものではなくなってしまいそうだからです。

良くできた小説と言うのは、主人公と一緒に笑い、一緒に泣き、気が付けば主人公そのものになってしまっている、そんな体験が出来るものだと思っています。

『サラバ!』はそういう意味で良い小説です。是非とも、圷歩を経験しておきましょう。読んだ後は、今より少し安らかに生きられるようになるはずです。


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