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2023年7月に読んだ本まとめ

文芸書

小川 哲著『ゲームの王国』

グロテスクな表現が多いですが、泥の戦闘後の解放よりも、どんどん処理されていく、ロベーブレソンの住民よりも、秘密警察による拷問の数々よりも、描かれている出来事の多くががルール設計によって起こっているってのがグロテスクだと思うわけですよ。私は。

記憶力が悪いからなのか、自分の記憶をあまり信用していないところがあります。反芻した記憶は勝手に改竄されてしまっているんでしょうし、実際のところ、反芻していない記憶はどんどん消えていってると感じています。

上巻から半世紀がたった下巻では、登場人物たちの記憶も怪しくなっている箇所が多かったりする、でも、私からするとそんなもんだよなぁと思ったりするわけですよ。こっちは前日に上巻読んだところだから色々覚えてるけど半世紀もだったら大抵のことは忘れてるか、誤って覚えてるんじゃないかと思うわけです。

そんな概念の塊であって事実の塊ではない、フワフワした記憶の上に我々は立って生きてるわけです。なので物語ってのは私を形作るパーツ足り得るわけですよ。これからはこんな甘酸っぱかったり、苦かったり、芳醇だったりする物語の上に立って生きられるわけですから、私は幸せだなぁと思ったりするわけです。

綾辻 行人著『Another』

非常に良かった。
読んでてひっかかってるけど、答えに結び付いてない色々が、一つの仕掛けでグワッと最後に結び付くので気持ちよい。個人的にはこれこそがミステリーの醍醐味なんじゃないかと思う。

呉 勝浩著『爆弾』

良いエンタメ小説で。ついつい読み進めてしまいました。
スズキタゴサクはなんでそうなったのかが全く想像つかないなぁ。その辺りの話はここで語られるのはズレると思うので、別であってもいい気がする。

ちなみに動画の再生数で処理を発火するってのは、セミプロじゃなくてもそんなに難しくないと思う。

実用書

ジョン・ソンメズ著
『 SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル 第2版』

ソフトウェア開発者とタイトルについていますが、現代においては多くの社会人に必要なスキルや心構えが「キャリア」「セルフマーケティング」「学習」「生産性」「資産形成」「フィットネス」「マインドセット」の7部構成で紹介されています。

すべてを著者のアドバイスに従う必要はないですが、同様の深度まで思考しておくことは現代を生きる上で有用だと考えます。ある程度の社会人経験のある人は、自身がこれまでそれぞれの分野についてどの程度考えていたのか、または考えていなかったのかをこの本を読むことで測れるので、不足していた点を深堀し、ある程度穴の無いスキル構成に近づくことが出来るのではないかと思います。

プロ奢ラレヤー著
『嫌なこと、全部やめても生きられる』

意外と生き方について真剣に考えている人は少ないので、こういった本は価値があるのかぁなと思ったりします。
特に『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』とかを読んで深く共感した人なんかは読むとよさそうな気がします。まぁ、水と油ということもありえますが。

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